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なんでもないなんて口を結んで、言葉を飲み込む
そんな彼奴をただ、俺は追いかけた
本当の事を言えって言ったって彼奴はきっと、
「えぇ〜?何言っとるか分からへんわぁ」
なんてヘラヘラと戯言のように笑うだろう
だからこそ、追いかけた
追いかけて、追いかけて
手を掴んで
「なんで掴むん?辞めてや」
鬱々しい雰囲気を自分の前に出しながら、そういう彼はヘラヘラなんてしてなくて、真剣な顔だった
『…お前が壊れる気ぃしたんや』
「…僕は賢いからさぁ、…生きてる間は壊れへんの」
『…お前だったらッ…!、死んでから壊れるって言いたいんか』
「…まぁ、…そやね」
「死んでからきっかり壊れるからさ、安心してや」
そんな事を抜かして、俺から本当に離れていってしまいそうだったから俺は追いかけた
でも、彼奴は足を早めて
俺を見て見ぬふりをするからそんな彼奴に
『行かんといて』
なんて声を掛けてしまった
すると、彼奴は驚いたような顔をして
いつものようなヘラヘラとした笑いじゃなくて
ふわりと優しく笑って
「大丈夫や」
「僕は何処にも行かんよ」
そう言う瞳は本当に何処か行ってしまいそうな
今すぐにでも壊れてしまいそうな
そんな悲しい瞳をしていた