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亜麻色の髪に、翡翠の瞳。相変わらずの無表情で、感情なんて感じられない。けれど、その瞳は曇っていなくて、真っ直ぐと私を捉えていた。日の光を浴びて、かすかに亜麻色の髪が輝く。

何で彼がここにいるのか。




「グランツ……グランツ!?」

「声が大きいです。エトワール様。名前を呼ばれたのは分かりました」

「え、え、そうじゃなくて、え?」

「話はあとでするので、まずは、この場を切り抜けましょう。俺一人では、少し荷が重いので」




と、グランツは、後ろの紅蓮を、そして、目の前の紫色の髪の男を睨み付けた。


確かに、敵が多いといえば敵が多い……のか?

グランツから見たら、敵がいっぱいいるという風に見えるだろう。グランつからしたら……闇魔法の家門は、人間は全て敵で、忌むべき相手なのだ。




「グランツ・グロリアス!?」

「ラヴァイン・レイ。先日は……いえ、かなりの時間眠っていたようなので、先日ではないですが、お世話になりました」

「は、ははっ……お前、いつ起きたのさ」

「答える必要ないですよね」

「生意気」




そういって、ラヴァインは何処か興奮気味に笑う。グランツが現われたことによって、それまで、倒れていたラヴァインは顔だけを向ける。まだ、麻痺が抜けきっていないのか、立ち上がれはしなかった。そんな、ラヴァインとは対照的に、グランツは凪いだ顔で、アルベドの方を睨み付けた。アルベドは頬を引きつらせる。これまた、ラヴァインとは対照的だと思った。




(というか、グランツっていつ目覚めたの?)




まず、そこが疑問だった。だって、あんな、死んだ風に眠っていたのに、完全回復したみたいな。考えても、分からないし、私はグランツの腕に抱かれているし。結局逃げ場はなかった。




「ラヴァイン・レイ」

「何さ。亡国の第二王子様」

「エトワール様を、逃がす時間、稼いで貰えませんか。貴方なら、造作でもないでしょう」

「この状況でいう?」




いや、鬼畜過ぎだろうと、私もラヴァインに賛同してしまった。だって、ラヴァインは今し方、アルベドの攻撃を喰らって、動けない状態なのに。それなのに、時間を稼いでくれって、鬼畜以外の何ものでも無いと思った。

けれど、味方が、ラヴァインだけ、と言うことはグランツも分かっているそうで。




(ラヴァインに任せて大丈夫?だって、アルベドに負けたんだよ?)




負けて記憶喪失になっていたっていうのに、また同じことをするのかと。今度は、逆になっているんだけど。前までは、グランツとラヴァインがあるベトと私の敵だったけど。それが、今では逆になっていると。




「エトワール様、少し失礼します」

「わっ」




よいしょっと、聞えそうなくらい少しもたつきながら、グランツは私を持ち上げた。まだ、完全に回復しきれていないのではないかと不安になって、顔を除くが、彼の顔から、感情を読み取るのは、無理に等しい。

私は、黙って捕まっていようと、ギュッとグランツに抱き付いた。彼の小さな心臓の音が聞えた。あまり、脈拍が早いほうではないのだろうか。本当に聞えないくらい小さかった。




(心臓、弱いのかな……)




判断材料が少ないのでなんとも言えないけれど、でも、息が上がっている姿は見たこと無かったし、その線は薄いか。まあ、まずは、この場をどう切り抜けるかが重要である。グランツは、魔法なんて使えな……いこともないけれど、使ったところを見たことが無い。ユニーク魔法は魔法を斬る魔法だから、魔法を使っているという感覚が無いというか。




「貴方まで裏切るんですか!グランツ・グロリアス!」

「元々、貴方方の味方ではないです、俺は、お前達のことが嫌いだ。闇魔法の奴ら、全員滅べばいいと思っている。そうでなければ、俺が皆殺しにでもしてやる」




と、グランツは強い言葉を吐いた。憎悪、殺意の籠もったその言葉に、場の空気が一気に冷えた気がした。まだ、彼は、闇魔法の者に対して、強い殺意や憎悪を持っているのかと、何だか悲しくなってしまった。


そんな中、ラヴァインだけが何処か楽しそうに「怖いねえ」と、笑っている。少しだけ、麻痺が解けたのか、手をつきながら、立ち上がる。まだその足はふらついているけれど。




(本当に大丈夫なの?)




心配で仕方がないんだけど。そう思いながらも、今頼れるのは、ラヴァインだけだと思った。アルベドがグレーであるなら、ラアル・ギフトは黒で。でも、ラヴァインが確実に白だとは限らない。




(でも、私はラヴァインを信じる……)




アルベドを信じていないわけじゃないけれど、兎に角今は、ここから抜け出すことを優先しなければと思った。ただ、このグランツも怪しくはあるけれど。

そう思って、ちらりとグランツを見れば、彼の翡翠の瞳とばっちりと目が合った。もう、何を考えているのかよく分からない瞳で、私をじっと見つめている。本当によく分からない人。

思えば、ラヴァインもグランツも同い年で私より年下ということになるけれど、そこの所は彼ら二人はどう思っているんだろうか。考えても数年の誤差だとは思うけど。




「おいおい、何処に連れてくつもりだよ。エトワールの騎士様」

「アルベド・レイ……」

「ずっと目覚めてないって噂に聞いてたが、いつ目覚めたんだ?もしかして、狸寝入りだったりするのか?」

「答える必要がありません」




と、突っかかってきたアルベドをはねのけて、グランツはいう。


詰めた言い方に、アルベドへの殺意が隠し切れていないなあ何て思う。本当に、まだ嫌い何だと実感する。ただ、グランツは誤解しているところがあって、アルベドは快楽としてグランツの母親と兄を殺そうとしたわけではないこと。それを、グランツが気づいたとき、どう思うのか。それと、どんな風にアルベドへの感情を変えていくのか。また、これも気になるところだった。

アルベドは、いわないつもりだろうし、グランツも考え方を改めなければ、アルベドを悪だと決めつけている。二人は、どうしても馬が合わない。

わかり合えば、かなり戦力になるだろうし、これまでお互いを見合ってきたから、それなりに連携も取れるのではないかと、密かに思っている。まあ、そんなの一生来ないだろうけれど。




「お前は、適任じゃない。エトワールを置いて、ラジエルダ王国に帰れば良いじゃねえか。第二王子様よぉ」

「ッ、誰のせいで……誰のせいで、王国が滅茶苦茶なったと思ってる!」




アルベドの言葉に、ピキッと何かが走ったように、そして張詰めていた糸が切れたように、グランツは叫んだ。彼の腕の中で、彼の憎悪にまみれた声を聞く。頭にまで響いて痛かった。やはり、わかり合うことなんて出来ないと、そう思えるほどに。彼らの仲は最悪だった。




(どうして、アルベドはいつもそうやってグランツを挑発するようなこと言うの?)




嫌いというわけではないだろう。どちらかといえば、アルベドは、グランツを弟みたいに見ていた感じがしたし、世話が焼ける弟みたいな。

でも、こうやって挑発して、彼の痛いところを逆鱗に触れて、何が目的なのかよく分からなかった。グランツも我を失って、アルベドに食らいつこうとしてる。




「ぐ、グランツ。ダメ」

「エトワール様……」

「助けに来てくれたんでしょ?だったら、今は、私を助けて。私の護衛騎士でしょ。今、やるべきことをやって」




そう、私は強く言った。

命令とか嫌いだったけど、彼を黙らせるにはこれが一番だと思った。グランツは、アルベドにまだ未練があるように翡翠の瞳を曇らせると、すぐに私の方を向き、一度目を伏せた。次に開かれたときには、その人身は輝きを取り戻していた。何だか、少しだけ、チョロいと思ってしまう。




「そうですね。俺は、エトワール様の護衛騎士ですから」


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