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※このお話を読むときのポイント💡
情景や、登場人物達を自分の自由に想像しながら物語を読むと、より楽しめますよ♪
第十二章花火の丘で
ヒュ~…ドン!
花火が上がった
正に夏、という感じである
今日、日比谷さんはいない
隣には清水だけだ
理由は星空観察の日の夜
トラブルが起きたからだ
流星群の後__
山を登り始める僕らだったが…
〈いや〜、きれいだったね!✨️〉
『そうだな!』
「あ、やばい、カメラのスタンド忘れてきた…」
『まじかよ!?』
〈え!探しに行こうよ!!〉
「……いや、いいよ」
「どうせそんなに高いものでもないし、ここには僕らだけだ」
「多分大丈夫だろ…」
「明日の朝明るくなってからにするよ」
「今はさすがに暗すぎる」
僕の判断は正しいはずだ
でも、少し心配になる
あれは、父が使っていたものだ
あまり思い入れがあるわけでもないが、何故か持っている
……もしかしたら、また会いたいなどと戯言を思っているのかもしれない
〈……私探してくる〉
『え、ちょ、!』
『やめとけよ…、こんなに暗ぇんだぞ…?』
清水が日比谷さんの手を掴む
……今何故か、不快な気持ちがしたのは気のせいだろうか?
わからない、まだ僕にはわからないみたいだ
……わかりたくないのかもしれないが
そんなことはどうだっていい
それよりも、こんな事を考えているうちに走り出してしまった日比谷さんを追わないといけなかった
あれから何分経っただろう
無茶だ
こんな暗闇で、崖の多い山
登山道からも外れてしまった
虫だって多い
こんな中、日比谷さんを見つけられるのか…?
『おい!琉生、夕華見つかったか…?』
ふるふると、首を横に振る
『まじかよ…、こんだけ探してんのに…』
『先輩達にも手伝ってもらってんのに…』
『どこにいっちまったんだよ、夕華…』
……まただ、こんなピンチな時なのに
僕は清水が日比谷さんのことを名前で呼んでいることに不快感を感じている
何故だ…?
別に今までと変わらないだろ
今まで通り清水は呼んでいるだけだ
なのに……
清水を妬ましく思ってしまう
こんな僕は嫌いだ
…い…
…る…い
『琉生?大丈夫か?』
はっと、我に返る
「大丈夫、ごめん」
『いいよ、そんなことよりも早く見つけないと…!』
そうだね、と軽く返事をしてまた暗闇へと潜っていく
走り林を抜け、気づいたら見晴らしのいい絶景のスポットへと足を踏み入れていた
探していたことなんて忘れてしまうほどに、とても綺麗だった
遠くの方に連なる山々と、どこまでも続く満天の星空に見惚れてしまう
すると、何処からかすすり泣くような声が聞こえた
なんだ、と疑問に思いながらも、嫌な予感がして声のもとを探すことにした
いた
彼女がいた
満天の星空の下、泣いていた
腰を下ろし、髪荒れがひどい
地面の雑草や菫の花びらに雫を落としながらも、輝くような姿に僕は__
カシャッ_
シャッターを押していた
僕の意思ではない
何かに突き動かされるように、衝動で
そして、音に気づいた様子で振り返る日比谷さん
僕は意地悪に、
「こんなところにいた、ここで何してるの?」
「寒いから、早く帰ろう」
なんて、言ってやった
僕の姿を見て安心したのか、さらに泣きじゃくってしまう
僕はそんな日比谷さんをいつの間にか抱き寄せていた
手が伸びていた
衝動に駆られて、今すぐにでも触れたいとでも思ったのだろうか
僕なんかが触れていいはずもないのに……
日比谷さんは驚いたような表情をしていた
でも、それはすぐに消え、嬉しそうな、微笑ましい笑みへと変化した
日比谷さんが泣き止むまで、僕は彼女の背中をさすり続けた
____なんて事があったから
だいぶ神経にこたえたんだろう
だからお休みだ
彼女の両親も心配していた
だから清水と二人で、最初のように胸苦しく来たのだ
いつものように、清水は僕の浴衣袖を掴んで離してくれない
でも、これが彼なりの優しさだということは知っている
感じ方1つでこんなにも優しくなれるのだと僕は思い知った
『おーい!これも買って、あそこ行こうぜ!』
「うん、そうだね」
あそことは、恐らく花火がよく見える丘のことだろう
僕は両手にご飯、飲み物などを持って、向かった
今日は、迷わない
大丈夫
ヒュ~…ドン!
花火が上がり始めた
僕は一人、丘の上で見ていた
清水はというと、まだ買うものがあるから先に行けと言われ、待っている
でも遅すぎだろ……
始まっちゃったよ
僕は先ほど買ってきたとても甘く、美味しい林檎飴を頬張る
普段は買わない
でも、日比谷さんが美味しそうに食べていて、僕も食べたくなったのだ
「……それにしても遅い」
「少し様子を見てくるか」
独り言を言い、林を抜けようとした
そのとき、僕は信じられないものを目にした
日比谷さんがいる
何故?休んでいたのでは…
というか…隣に
なんで清水がいるの?
なんか、もやもやする
なんで、何故…?
わからない、わからない…
二人は、浴衣姿で横に並び、買っていたものを手にして
鳥居の方へと歩いていた
なんだ、わからない
僕を置いていくのか…?
僕と来たのに、
いや、そうじゃない
そっちじゃない
僕は……
清水にムカついているのか
僕を置いて帰ったから
何も言わずに楽しそうにニコニコしてたから
………日比谷さんと一緒に居たから
………
「…戻ろう」
「見間違えかもしれないから」
「清水はそんな事しない」
「きっと戻ってくるから」
「大丈夫、大丈夫だから」
僕は味がしない林檎飴を頬張った
結局その日、清水とまた相まみえることはなかった
第十三章墓参り
1週間前の花火の日のことが頭から離れない
僕はどうしたのか…、僕にもわからない
妬んでいるのか、怒っているのか、嫉妬しているのか
自分の感情が読めない
気持ちを落ち着けるため、僕は家を出た
目的地はない
ただ、ただ、今は家にいたくなかった
ブラブラと歩いていると、昔よく遊んだ公園についていた
懐かしいと感じる中、心の何処かで浴衣姿で笑う二人の姿が消えてくれない
でも、あの小さな頃とは違い、背丈は変わり、目に見える景色も変わっていた
成長をしたことをこんな所で実感するなんて思わなかった
少し立地の高い公園から見る街はとても綺麗で、どこまでも遠く澄んだ青空が心までも浄化してくれそうで好きだった
そこでぼーっとしながら、数十分がたった
そろそろ動かなければと、腰を上げる
次はどこへ行こうか、家には帰りたくない
宿題はもう終わっているし、何もすることはない
……あ、あるじゃないか
墓参りに行っていない
祖父や曽祖父など、先代の方々のお墓
毎年行っていたんだった
一人で
数年前までは、両親と妹と行っていたのに
そう思うとなんだか悲しくなった
そんな思いを消し去ろうと、僕はまた一人歩き出す
そんなこんなで、墓場へ着いてしまった
持ってきたものは、その辺のスーパーで先程買った、墓参り用の花と祖父と祖母が好きだった和菓子
お寺の何十とある階段を登り、先の井戸へ向かう
この辺はまだ過疎で、井戸がある
井戸桶を使い、冷たくて気持ちのいい水を汲む
僕の非力な腕では少し重たい水を先祖の墓へかける
買ってきた花を花瓶に入れ、和菓子を添える
最後に線香の火をつけ、手で仰いで火を軽く消す
手を合わせて、お祈りを行う
もう慣れたもんだ
昔、両親がやっていたものを見様見真似でやっていた始めの頃とは違うように
手際よく、効率よく
あの頃は、手を合わせている両親達の表情を眺めるのが好きだった
真剣そうな表情で、何をお祈りしているのか気になって
僕はお祈りを終え、片付けをし、階段へ向かう道を歩いて…
向こうから誰かが来た
ここは先程も言った通り、過疎地域だ
ここの墓場なんて、もうほぼお参りに来る人はいない
僕も、過去にここへ来て、人に会ったことはない
誰だ……?
誰かが階段を登る音が響く
僕はそんなことどうでもいいと、登ってくる人の横を通り過ぎようとした
……一瞬、一瞬だけ、
昔よく見て、大好きで、会いたくて会いたくて、会えなかった人のような顔が見えた
僕は振り返るのが怖くて、先へ進もうとした
__が、止められた
__母と思わしき人の声に
第十四章:懐かしい頃
メモ
恐らく、この先、後3.4話で終わると思う…!
(まだわかんないけど!w)
初めての完結見てってねー!
コメント
3件
すごい⋯真冬なのに夏が来ちまったよ、(