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母と妹が好きだった
三人で過ごし流れていく時間が虚しかった日々
鬼みたいにクソほど怖いけど
本当は娘を一番考えてくれてる優しい母
無口の美少女キャラと思わせて
言いたいことはキッパリ言う強過ぎる妹
そんな過去形の言葉となった
私の苦痛たちの話を恋人にする
恋人は青紫のマフラーがよく似合う男
ただ静かに何も言わず
私の弱ったとこを見守っている
「一つ言っといたるわ」
「アンタが思うほど私はいい女じゃないし、彼氏彼女で良くても」
「旦那と妻になったらまた変わってくるかもよ」
自分ですら何を言い始めたか分からない
言葉にすればするほど辛くなる
締め付けられていくと分かっていながら
私の口は黙ろうとしない
でもそれは隣にいる男もそうだ
「一つ聞くが、お前は何で俺に話そうと思ったんや?」
「ポロッたんやったらまだしも、自分からその話を持ち出してきたやろ」
「俺にとってはそれがいっちゃん謎や」
責めるわけでもなく
優しく慰めるわけでもない
ただ質問を私に投げかけた
「アンタが私に深入りしないため」
「まあ、そこに多少の信頼とかもいれてこの結論を出した」
「悪かぁないやろ、私なりの自己防衛」
「自己防衛って言う割には、今泣きそうな顔してんのはなんなんよ」
「ええやん、人間泣きたいときはいくらでもあんねんからさ」
彼の方は見ずに
家のベランダから見える
チカチカと光る満天の星を眺めた
涙目な私の瞳を
その美しき光で誤魔化すため
「お前は…珠麻はどうしたいん?」
「どうゆうこと?それはそっちでしょう」
おかしな質問だと思って少し笑った
普通に頭がいいくせに
変なことを言う男に笑うことしかない
「俺は別れへんよ、それともお前は俺が軽い男やとでも?」
「思てへんよ、むしろ一途すぎる男でこっちが気まずい」
「そんな男に堂々と公共の前で告ったんは誰やねん」
「恥じらいなんて持ってどーすんのさ」
話が脱線しそうになるも
またその時間が好きで仕方がない
でも男は話をちゃんと戻す
「…それで?お前は俺にどうしてほしいん?」
「今まで俺のほうがお前にゆうこと聞いてもらってたし1つや2つ俺は叶えるで」
優しく微笑むその顔が
今の私には酷く辛いものだった
そもそもこの話をしないといけないとこまで
男との関係を持ってきてしまった
自分も馬鹿なのだと気付く
「私がまだ中学3年の中盤あたりに」
「家族3人で近くの海まで足を運んだの」
言葉をぽつぽつと零していくと同時に
過去の色褪せた記憶が蘇っていくのが分かる
苦しいようで
懐かしい過去を振り返る
「その日はすっごく晴れてて、ざ!夏!みたいなくらい暑かったのを今でも覚えてるんやけどさ」
「夕方の海は綺麗で、広くて、いつも長く見ちゃうんよ」
「そん時もせやってんけど、昼ごろに行ったはずやのにもう夕方」
「悲しくなる赤ちゃんの気持ちが何となく分かった気がした」
ぬるい風が後ろから押してくる感覚
潮の匂いが鼻の奥をくすぐるあの感じ
3人で行けばどんなとこでも楽しかったと
嫌という程記憶に刻まれている
「んでさ、そろそろ帰ろ~ってなっていつも通りの道を帰っててんけどさ」
「いつも通りの…道をさ…」
思い出しただけで
胃の中に異物が入ったように気持ち悪くなる
潮風に混じったあの嫌な匂いは
さっき起こったことのように鼻に残っている
「無理に言わんでええよ、そんな辛いことわざわざ話しさせてる俺が言うのもやけど」
「いや…言う、今後のためにも話しときたい」
「それで別れようが、アンタはまた私を友人として見るだけでしょ?」
話を承諾したのか
また黙って私の方を真剣に見つめた
「それで…それで妹がいきなり目の前に飛び出て」
「前にいた母の体を勢いよく押して」
「次見た時には妹は跳ねられた勢いで飛んだ」
あの時まさに
空中に妹がいた時間は
私には時間がゆっくり動いているように見えた
「その時は必死で、母を気遣うよりも周りに助けを求めたよ、情けない話だけどね」
「…その後は?」
私が話す中
男は一言そういった
その後のことなんて薄々気づいてるくせに
「もちろん、妹は亡くなった」
「病院に着く前にはもう息をしてなかったんよ」
「最後に聞いた言葉なんて、明日の夜はシチューがいいなっていうしょーもない話」
「でも…そんなしょーもない話を覚えてる私も結構酷いのかも」
記憶の中で映画のように思い出す
私しか知らない2人の母と妹
「その後、私は養護団体の老夫婦に預けられた」
「ママはその後、趣味だった絵画と一緒にどっかに消えた」
「それで今はこれ」
「どう?こんなクソ重シリアス女好きになれる?」
「母親も父親もいない、そんな女を選んだらクソメガネ坊ちゃまはどーなるんだろうね」
無理矢理口角を上げた
笑って過ごせば辛くない
そんな馬鹿が言った言葉も
時にはこうやって役立つんだなと
少し感心をする
「聞きなさい」
「アンタも苦労は色々してきたんだろうけど」
「私もまた苦労してきた、だから曖昧に応えずはっきり言って」
「アンタはそれでも私にその指輪を渡すの?」
過去の話をして
打ち明けれることをすべて打ち明け
それで悪かろうと良かろうと食いはない
でも私は知ってるから
「佐藤 珠麻さん」
「改めて俺と結婚してくれませんか?」
彼が律儀で決めたことを曲げない人だって
「私で良いのであれば喜んで」
出演: 我幸 烹亥/wrwrd! ni様
佐藤 珠麻/私はお偉いさん(クソガキ共)の
坊っちゃんの家庭教師
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