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「放してください……っ! 嫌だ、触らないで……!」
フランスの邸宅の一室。激しい抵抗も虚しく、イギリスは両手首をベッドのヘッドボードに細い絹の紐で縛り付けられていた。
かつて世界を震撼させた『大英帝国』の誇りなど、今の彼には微塵も残っていない。涙でぐしゃぐしゃになった顔を歪め、ただ恐怖に身を震わせている。
「ひどいな、イギリス。僕がこれほど君を愛して、すべてを捧げてあげているのに、そんな風に拒絶するなんて」
フランスはベッドの端に腰掛け、イギリスの濡れた 睫毛(まつげ)にそっと触れた。その指先を、イギリスは首を振って必死に拒もうとする。
「愛……? これがあなたの愛なのですか!? 嘘の情報を流して、私の仲間を奪い、世界中から孤立させて……! あなたがしていることは、ただの卑劣な犯罪です……っ!」
「犯罪? 誰が僕を裁くっていうの? 君の言葉なんて、もう世界の誰も信じない。今ここで君がどれだけ叫んでも、この部屋の防音壁を通り抜けることすらできないんだよ」
フランスは冷酷な笑みを浮かべ、手元にあったスマートフォンをイギリスの目の前に突きつけた。画面に映し出されているのは、国際ニュースのタイムラインだ。
『イギリス、依然として行方不明。疑惑への説明責任を果たさず逃亡か』
『国連、イギリスに対する大規模な経済制裁への最終調整へ』
「嘘……、そんな……っ」
「ほら、見てごらん。君が僕を拒んでこの部屋を出たところで、待っているのは冷たい檻と、世界中からの罵声だけだ。アメリカも、他の連中も、誰も君を助けにこない。君をこの世界で『イギリス』として扱ってくれるのは、もう僕しかいないんだよ」
画面の文字が、イギリスの瞳に絶望として焼き付いていく。
彼の心に、フランスの言葉は冷酷な事実として突き刺さった。
本当に、自分の居場所は世界のどこにもない。
自分を信じてくれる人は、目の前にいる、自分をハメた張本人しかいないのだ。
「う、あ……、あああああ……っ!」
イギリスは天を仰ぎ、声をあげて泣き叫んだ。大粒の涙が耳の後ろへと流れていく。
プライドも、希望も、すべてが音を立てて崩壊していく。 その絶望に染まった美しい姿を見つめ、フランスの独占欲は心地よい絶頂を迎えていた。
「可哀想に、僕の可愛いイギリス。たくさん泣いて、全部吐き出しちゃいなよ。君の涙を受け止めてあげられるのは、僕だけなんだから」
フランスは横たわるイギリスの身体を優しく抱きすくめ、耳元に唇を寄せた。
「ねえ、もう諦めて? 僕の腕の中で、僕だけの可愛いお人形になってよ。そうすれば、これ以上悲しい思いなんてしなくて済むんだから」
「嫌、だ……。私、私は……っ」
拒絶の言葉を紡ごうとするが、声が震えてまともな言葉にならない。フランスの大きな手が、イギリスの背中を、髪を、まるでおもちゃを愛でるように這い回る。
その圧倒的な支配の前に、イギリスの心は急速に光を失い、深い闇へと堕ちていくのだった。
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#イラスト
しおもも
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