テラーノベル
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第2話
裏方に入って着替えが終わると、袋の中身が気になった。
「紅茶……?」
私は、緑色の袋の中を見つめながらそう呟いた。
紅茶の箱と、高そうなアソートセットが入っていた。
『……暖かい紅茶と、安眠ができる場所です』
あ、そんな事も自分で言ったような気がする……
ありがたくもらうか。
その日の夜。
川田さんから貰った紅茶をすすりながら、作業をしていた。
私は、大学生とアルバイトと、ハンドメイド作家という肩書きを持っている。
ハンドメイド作家は、殆ど誰にも言ったことが無いけど。
主に、ビーズのピアス、ネックレス、指輪……そこら辺を商品として作っているけど、人気は、並以上あるはずだ。
今日は、イアリングの福袋を作っている。
前に作っておいた物を袋詰めするだけだから、すぐに終わる……って事も無い。
イアリングに合った台紙を作り、袋の中で良い感じに並べて、デザインに合うマスキングテープで袋とじをしてからの、値段をつける作業だ。
でも、私の睡魔は、思った以上に早く来てしまって机の上で寝てしまった。
湯冷めしないように、暖房は欠かせないで付けているけど、布団の無い夜は寒かった。
次の日。
目が覚めると、身体中痛くて痛くてしょうがなかった。
……机の上で寝た代償か。
今日は、朝からシフトが入っている。
今から準備しても間に合う時間だ。
私は、急いで準備して、自転車に跨った。
運転中、急に眠くなってきた。いや、さっきから眠かったけど段々、眠気が増してくる。
うとうとしていると、ガッツリ車道側に傾いて転んでしまった。
かすり傷だし、気にすること無い。
私の後ろから来た車は、物凄いブレーキ音を鳴らして止まった。
私は、急いで立ち上がって、車の方を向いた。
車の運転席には、澤部さん――店長だった。開いた窓から顔を出している。
……え? 転んだところから見られてたって事……?
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「大丈夫ですか?」
「あ、はい」
「……なら、またコンビニで」
「は、はぁ……?」
一体何をしたかったの……?
それから、レジ打ちと、品出しと……って色々やってたら来たよ。川田さん。
私は、棚に商品を並べてたけど……川田さんの気配がどうしても気になる。
ずっと、一定間隔で追いかけてくる。
……何をしたいの? え?
私がクシュン、とくしゃみをした時に、川田さんとの距離が詰められた。
あ、マズイっ……
「紗奈ちゃん。こんにちは」
「いらっしゃいませ」
よし、顔には出してない。
私の仮面破るなんて、倍生きていても無理でしょう?
「今日は、レジ打ちしてくれないの?」
「……後輩に任せているので」
「そっかぁ……じゃあ、また来るね」
その、また来るね。が少し怖かった。
でも、こんな事で怖気づくんじゃ、生きていけないよ。
「その足、朝転んだ拍子に、怪我をしたんじゃないか?」
店長が急に話しかけてきた。
「……だとしても店長には関係ないはずです」
「怪我をしながら、業務させている。なんて広まったら、この会社が壊れる」
「……そうですか。忠告ありがとうございます」
私は、痛む足を動かして、その場を避った。
裏方に入って、時計を見た。
十三時、三十六分。
まだシフト予定の時間は二時間残ってる。
私は、少し遅めのお昼ご飯として、家で作った素朴なおにぎりをかじった。
只の塩むすび。
一人暮らしというものもあって、少し節約中。
私が怪我の手当てをしなかったのも、それか理由だ。
心配させてるのは、ちょっと引けるけど、店長かぁ……言えないな。お金に困ってるなんて。
仕送りも、あまりされないのに。
「先輩。大丈夫ですか?」
唯ちゃんだった。かなり心配している声に聞こえる。
「え?」
取り敢えず、とぼける。
私は自分の苦しみの理由が分からない程、馬鹿でも無い。
「いや、さっきの店長との会話、聞こえちゃって……どんな関係なんですか?」
はぁぁ? 嘘……
黒歴史、量産して、る……
でも、そんな事思ってないような冷淡な表情で「貴女とさほど変わらないよ。でも朝、自転車で転んだところ見られちゃって……」と苦笑した。何も詮索するなと言ってるように。
「へぇ~。残念。先輩、顔立ちいいし、店長もイケメンだから、てっきり、カップルかと……」
「「違うっ!」」
誰かとハモった。何か、嫌な予感……いや、嫌な現実……
小うるさい店長――もとい、澤部さんだった。
「はぁ……店長まで盗み聞きですか?」
私は、澤部さんから視線をずらした。
コメント
1件
第2話読んだけど、もう続きが気になって仕方ないんだけど!!😭💕 紗奈ちゃんのハンドメイド作家って裏設定、めっちゃ推せる〜!!ビーズアクセサリー作家でコンビニバイト掛け持ちって、ヒロイン属性強すぎでしょ✨ それにしても川田さんの「また来るね」が怖くて優しい絶妙な距離感でドキドキするし、店長の意味深なセリフも「!?」ってなる! 自転車転んでるところ見られてるの恥ずかしすぎるけど、紗奈ちゃんの「仮面破るなんて無理」って強がりにグッときた🫶 唯ちゃんとの会話で店長とハモるところ、青春って感じで笑ったw 続き読みたくて仕方ないよ〜!!🌸