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数分後、春海は用事があると急ぎ足で骨董品屋を出ていった。それから少し経って骨董品屋の外に白いミニバンがやってきた。きっと彩が帰ってきたのだろうと凛は外へ出た。
「まだいたんだ。もう遅いけど?」彩が言った。
「あの鍵の件、真相がわかった」と凛が言うと彩の顔がパッと明るくなり、早く早くと言わんばかりに視線を送った。
「わかったから」
二人は骨董品屋の中へ入り、休憩スペースへ入った。そして、先程春海から聞いた話を伝えた。
「なるほど〜不倫が原因だったってことね〜」
「うん。ところで、あの鍵があった隙間がなかったのってなんでだろう?」
「それなんだけど錯覚みたいなものじゃない?」
「そっか…あと一個だけ話したいことあるんだよね」と凛。
「うん。いいよ?」
凛が深呼吸をする。そして口を開いた。
「実は…」
数分前の出来事。
「少しいいですか?凛さん」
「あ…はい。全然」
春海にそう言われた凛は休憩スペースにてとある話を聞いていた。
「紀彦さんが孫と言ってましたがきっと私はそのお孫さんと腹違いの兄妹でしょう。母が娘と言っていたのはきっと彼女だと思います。確か彩さんでしたよね?たまにお話は聞くんですよ紀彦さんからね」
「そうなんだ…」
「ええ。それで伝えてほしいんです。彩さんは幸せになってほしいと。どうか母親は責めないでほしいと」
「え?責めない?」
「母親だってああはなりたくなかったでしょう。頑張って育てた息子を殴るなんて。母も自分を攻めるでしょうね。昔の私だったらこういった考えはしないでしょうけど20代後半になって考えは変わりました」
「……」
「かと言って父親が悪いとは一概には言えません。まあ賭博にハマって迷惑かけたのは許しませんけど。借金をしなかった。きっとそれは父親のいい部分でしょうね。まあ彩さんには先程行った言葉を伝えてください。絶対幸せを掴み取ってほしいそれは兄の願いだと」
凛は先程、春海から伝えられたことを彩に話した。
「…お母さん…」
「それがお兄さんの言ってたこと」
「…よくお母さん私の兄のことを話してくれたの。でもどんな人なのかは全然知らない。ある日、お母さんの口から兄を虐待していたことを聞いたの。最低だなって私は思った。そんな人が母親なのが嫌だった。でも、凄いね兄は。悪くないなんて一生言えないと思う」
彩の目には涙でいっぱいだった。
「会ってみたいな…お兄ちゃん」
数日後、この日は学校だった。憂鬱気味になりながらも凛は教室の中へ入った。すると、元気そうに飛び出してきた彩が「やっほ〜!おはよ〜!」と言った。
「おはよ〜」凛もそう挨拶をした。
「前はありがと。なんかもやもやが消えていい気分!」
「お礼を言うならお兄さんに言ってよ」
「ん〜確かに…お母さんに言ってみようかな…」
凛はそうランドセルを下ろした。
その後、授業はいつも通り進んだ。その時、凛はとある事を考えていた。紀彦と春海の話。なにか矛盾がある。引っかかることがあるのだ。その理由がなんのか凛は分からなかった。
下校時間となり凛と彩はいつもの通学路を歩いていた。そしてあの雑貨屋を超える。そしてその先にはほんの少しの隙間の路地がある。それを見て彩がこう呟いた。
「そいえばあの猫はなんで鍵なんて飲み込んでたんだろう?」
「ん〜…」
「まあでも猫ちゃんに感謝だね。兄の気持ちを聞けたしさ〜運命ってことにしとこ〜」
「うん…だね」
その瞬間、凛の頭に一つの矛盾点が浮かんだ。
“調べたのだがあの鍵、作者名が彫られていた。名は「エドワード・ウオール」イギリス人の鍵職人”紀彦は鍵に彫ってあったものは一つと言っていることになる。しかし、“写真を見ていると一部くぼんでいるところが二箇所ありました。一つはエドワードの名前が。ですがきっとそこにはオリビアの名前が彫られていたのでしょう”骨董品屋を営んでいる人がそんなことを間違えるだろうか。老眼だとしてもおそらくメガネはかけるだろう。そういえば春海は鍵の居所についてこんな事を言っていた。
「その鍵はきっと私の“父”に送ったと思われます」
鍵はなぜ猫の胃へ入ってしまったのだろうか。紀彦が何かを隠しているまたは春海が嘘をついているか。いやまだまだ可能性はある。拾った鍵が偽物の場合もある。もしかするとトミーも作っていたのかもしれない。だが本当の真相はわからない。
林澄小学校(りんとうしょうがっこう)に通っている二人の10歳の少女がいた。そんな二人はある日、不思議な体験をした。