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───金曜日まで、残り1日───
『明日泊まりに来ません?』
ふとそう言ったのは、イヤホン越しに聞こえるぺいんとの声だった。
え、と困惑の声を出すと、相手は笑うこともせず、ただ普通に『泊まって課題進めましょうよ』と話した。
急な誘いにどきりと心臓が跳ねたが、意味がわかればなんてこともなかった。
「わかった。じゃあ明日の放課後、ぺいんとの家に帰る感じでいい?」
『それでおっけーっす!!』
課題の進捗は1割。びっくりするほど進んでいない。無論、そんなすぐに終わるとも思っていなかったが。
ただ…
(意外、だな。)
ぺいんととのペア課題であるのならば、仲間思いであるぺいんとからすれば簡単なものなんじゃないかと思っていたため、案外夏休みの前半で終わるかと思っていた。というか、夏休み前に終わる勢いもつくんじゃないかと思っていたくらいだ。
意外な進捗に焦りながらも、明日だけが夏休みということでは絶対にないので、焦らずやろうと考えた。
「───ちゃんと飲んだの?」
ふと聞こえた、階段下から響く母の声。ただ確認するような声色に、「うん」と大きく返事をする。 すれば、相手は「わかった、おやすみ〜」と寝る前の挨拶をして気配を消した。
飲んだのか、と聞かれれば逆に不安になるためやめてほしい。いや、この【感情】が不安と言えるのかわからないけれど。
「───おやすみ。」
誰もいない。けれど、寝た。今日は寝れた。昨日みたいに何も考えることなく。
そうして、毎日の日課のようにそれを心に留めた。
───明日も、偽り続けれますように。
……………
───金曜日まで、残り0日───
───あと4時間───
午後5時。これが春であればどれだけぽかぽかと穏やかな気持ちでいられるのだろう。夏である今は、ただただ蒸し暑い。
蝉の声は月曜日と比べると倍以上だ。
「あっち〜!!!」
そう言いながらエアコンをつけ、床に寝転がったのはぺいんとだ。
ナチュラルな家具はオシャレな雰囲気を醸し出しており、暖色系で光る電球は落ち着く。綺麗に片付いたぺいんとの家は、俺たち2人以外は誰もいない。
どうやら、ぺいんとの両親は遠くへ出張らしく。ぺいんとに関しては学校があるためここ二日間ほどは1人で過ごすらしい。
「クロノアさん、先にお風呂どーぞ!」
「じゃあ、入らせてもらうね。」
少し早いお風呂だが、汗をたくさんかいたのだ。早くお風呂に入りたくもなってしまう。汗の張り付く感覚がいまだに慣れない。
シャワーで体を洗い、微かな湯気がたちのぼりながらもパジャマへと着替え、ぺいんとにお風呂の順番を譲る。
広い家に1人。聞こえるのは、遠くで響くシャワーの水音だけだ。それをBGMがわりにするように、夏休みの課題を地道に終わらせていく。
「今上がりました〜!!」
頭に白く清潔なタオルを被りながらラフなパジャマ着で登場したぺいんとに「おかえり〜」と返事をする。
「クロノアさん、ペア課題進めます?ご飯でも食べながら!」
ぺいんとの提案に、少しの間考えてから首を縦に振った。
「そうだね。」
今の時刻は午後6時。ぺいんとと共に課題を進めながら、休憩タイムに入れば寝る場所だったり家を案内してくれたりした。
どうやらぺいんとの部屋はあまり広くないらしく、2人分の寝るところは置けないからと別々の部屋で寝るらしい。
そんな俺の寝る場所はリビングだ。というか、リビングにしかソファだったり寝るところがないため、決める余地もなくリビングに決定した。
「じゃ、ペア課題進めますか。」
「そだね。」
そこからは、無言で個人的に作業を進めた。
頭の脳裏に浮かぶ、いつもの日常。おみくじがみんな大吉に揃った時、どう感じたか。クラスが友達と同じ時、どう感じたか。
些細なことをメモしていく。綺麗にまとめながら。
結局、結論としては全部”わからない”になってしまったが。
コメント
3件
一話だけでもめっちゃめちゃ感情?が伝わってくる!!!!!!!!!!!!!!!しかも続き気になってたからめっちゃめちゃ嬉しい!本当に二酸化炭素さんは神様です!!!!!!!!!!!!!!!✨ぺんちゃん推しだからめっちゃめちゃ嬉しいです!ぺんちゃんのお母様の「飲んだ?」ぺんちゃん「うん」←そこの所めっちゃめちゃ意味深ですごく興味深い!読ませていただきありがとうございます!