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「嘘ついてよかったの?エトワール」

「アンタだって、嘘の塊みたいなものじゃん」




ひっど、と後ろでいいながら、馬鹿にするような様子もなく、私をじっと見ていた。それから、視線を漂わせ、ラヴィンは、ベッドで横になっているグランツに視線を向ける。




「起きないね、そいつ」

「……その内起きるでしょ」

「でも、気になって見に来たんでしょ?」




と、ラヴァインは突っ込んだ。


その通りだ。気になるから、毎日来ている。もし、心臓が止ったら、呼吸が聞えなくなったら。考え出すと怖くて、止らなくて、どうしようもない。

彼にも、それなりに情があったから。

何度もグランツには悩まされてきた。年下のくせに、私よりも賢いところがあって、強くて。でも、感情を表に出さないから何を思っているのかさっぱりで。それが、グランツだった。私の護衛をやめるっていったとき、何を思ったのか、未だに分からない。後々、彼の執着心から来た、黒い感情だった、何て分かったけど、私には到底理解できないものだった。


恋は人を狂わせる。

それが恋と分からなくなるほどに。




「てか、トワイライトとの会話聞いてたの?相変わらず趣味悪いわね」

「違うし、たまたま聞えたんだよ。エトワール探してたら、ちょうど話しているの聞えてさ。まあ、割って入るのも場違いかなって思ったから、そのまま聞いてただけ」

「なら、普通、その場からはなれるでしょ。場違いっていうなら」




相変わらずよく分からない人だ。

でも、ラヴァインらしいっていえば、ラヴァインらしい。もう、この言葉も何度使ったか分からない。慣れたといえば慣れたが、いい思いはしていない。だって、盗聴というか、そう言うの最悪じゃん。




「はあ……」

「俺がいる前で、溜息つかないでくれる?」

「別に、アンタに向かってついてるわけじゃないから良いじゃない」

「それでも嫌だ」




と、子供の屁理屈のように、ラヴァインはいう。なら、何なら良いのか教えて欲しいぐらいだ。今、私とラヴァインは、アルベドを取り戻すために協定を結んでいるようなもの。だから、それが終われば、この歪な関係は終わるだろう。別に、普通の関係に戻るだけ。今だけ味方、とか、この問題が解決したら敵に戻る、とか、そう言うのではないけれど。でも、やっぱりラヴァインが隣にいるのは、何というかまだ慣れないかも。




「アンタとさ、グランツってどんな関係だったわけ?」

「どんなって、何が聞きたいの?」




物わかり悪すぎ。と言いかけたが、私も言葉足らずだった気がすると反省する。私は、ラヴァインの方を向いて、「ヘウンデウン教にいたときのこと」と付け加える。あまりこの言い方はよろしくないかも知れないけれど、これしかいいようがなかった。

ラヴァインは、少し困ったように、眉を曲げると頭の後ろで腕を組んだ。




「別に。年が同じだっただけっていう、それだけ。まあ、話があったとか、そこら辺」

「同い年だったの」

「多分ね」




何故多分といったかは不明だが、年が近いから話もわかった、とかそういうことなのだろう。でも、グランツは、アルベドの事を恨んでいたし、同じ血が流れているラヴァインのことも嫌うと思っていた。だから、以外だったのだ。




「何かに執着してるっていうの共通点があったからかな」

「執着?」

「俺は、兄さんに。グランツ・グロリアスは兄さんへの復讐とエトワールへの恋心」




眠っている相手のことをべらべら話すのはいけ好かないが、ラヴァインはそう言うと息を吐く。かつて、自分がアルベドに執着していたんだ、と過去を振返り懺悔するような目を見て、私は、よっぽどアルベドの事が好きなんだろうと察する。

憧れは執着に、酷い嫉妬に変わっていくものだから。

恋心だって、いきすぎれば殺意になりかねない。人間の感情って複雑で、解けないものだ。




「凄く不思議なんだけど、アンタはグランツに嫌われたりしなかったの?ほら、グランツは、アルベドの事恨んでいたわけだし」

「そーだね。俺が、兄さんを殺したいぐらい好きって言ったら、そうですかって、言われたぐらい。利害の一致とか。彼奴の中では、あくまで兄さんに殺意を向けて、兄さんを殺す事だけ考えてたんじゃない?」

「そう……というか、アンタもアルベドの事殺そうとしてたの?」

「あの頃の俺は、可笑しかったから。兄さんのこと殺そうとしてたよ」




と、ラヴァインは隠すことなく言った。何がそこまで彼をかき立てていたのか、聞くも恐ろしいが、私はスルーして、もう一度グランツの方を見る。


死んだように眠っている彼を見て、何かしてあげられることはないかと探すが、これといってしてあげられることは何一つなさそうだった。魔力を送ってあげたら、少しは回復するだろうか。ブライトに一度聞いたところ、もしかしたら、目覚めたくない何かのせいで、目覚めないのかもと言われて、拒絶されているのかも知れないと、私はグランツに手を出せなかった。彼にも聞きたいことはあるし、また護衛に戻って欲しいってちゃんといおうって決めているから。




「早く戻ってきなさいよ、バカ」




私は、グランツの手を握ってそう言った。こんな祈りで、目覚めるならもうとっくに目を覚ましているだろうけど。祈ることしか出来ない私を許して欲しい。




「健気だねえ」

「……一言多いのよ。何も言わなくても良いじゃない」

「ん?だって、羨ましいじゃん。エトワールに思われてさ。妬いちゃうかも」




そう言うと、ラヴァインはグランツを見下ろした。それは、馬鹿にするようなものでも無く、ただ純粋に彼も祈るように言うのだ。




「早く起きなよ。お前のお姫様が待ってるんだからさ」




(……珍しいこともあるもんだなあ……ラヴァインって人のこと考えられるんだ)




と、凄く失礼なことを思いながら、私は、ラヴァインを置いて部屋を出ていく。彼は私を追ってすぐに部屋から飛び出してき、それから私の横に並ぶ。そこが、自分の席だとでもいうように、ニコニコといつもの笑顔を向けてくる。


前言撤回、ラヴァインはラヴァインだ。




「アンタも祈ったりするのね。人の為に」

「祈りっていうか、かついれたというか?まあ、何にしろ、俺としても彼奴は目覚めて欲しいって思ってるし」

「何で?」

「そりゃ、兄さんに勝つため。もう、彼奴の中に兄さんへの殺意はないかもだけど、グランツ・グロリアスのユニーク魔法は、必ず兄さんと戦う上で役に立つ。エトワールもそう思うでしょ?」




同意を求め、にこりと笑う。

確かに、それもあって目覚めて欲しいとは思っている。私の考えること何てお見通しだと、ラヴァインは笑うのだ。まあ、分かりやすいといえば、分かりやすい。

そう、グランツが目覚めて、彼のユニーク魔法があれば、戦況は有利になる。私達の魔法じゃ、力不足ではないけれど、アルベドにまだ勝てる気がしないのだ。今の毒気の抜けたラヴァインじゃ、アルベドに勝てそうにないし。私も、アルベドが敵だと思ったら何だか、心苦しくて戦えなくなってしまう。そんなこと、思った方が負けるのに、それでも思わずにはいられない。あとは、可能性があるのはリースか。

そういえば、リースが本気で戦っているところ、見たことが無いなあ何て思い出して、アルベドとリースだったらどっちが強いか気になった。




「何考えてるの?」

「別に。これからどうなってくかって……不安なだけ」

「不安、不安いってても仕方ないからさ。面白いこと考えようよ」

「楽観的するぎるのよ、アンタは」

「いいじゃん別に」




そう言ってラヴァインは笑う。その笑顔に幾らか救われた気がして、私はこれからの作戦、さらなる情報収集に向けて動こうと前を向いた。


【番外編~巡廻~】乙女ゲームの世界に召喚された悪役聖女ですが、元彼は攻略したくないので全力で逃げたい

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