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🍄「カンマやん!!」
🍬「え、まじで?!ゾノランさんきた?!」
🌼「はいはいカンマだよ〜」
ガヤガヤ、と言うよりギャーギャーわちゃわちゃと言う方が正しいだろうか。蘭華が来たことによってさらに騒がしくなった有兎家。
菜瑚芽と雅は、泰が夜ご飯を準備している間蘭華に今日あったことを語りだす。
🍄「今日さ、昼休み終わった後に野良猫がめっちゃおったんよ。」
🧸「どう言うこと???」
🍬「いや僕らにもわからんよ。なんだったのあれ」
――回想
昼休みが終わり、五限目の授業の号令後のこと。
「なんかねこめっちゃいねぇ?」
🍄「何を言うてんの」
「いや見てみろって」
菜瑚芽がクラスメイトに促されるまま窓の外を見れば、確かに野良猫が大量に迷い込んでいた。3階の教室からでも猫と判断できるくらい大量に。
先生もその事態に気付いたのか、校内放送が流れる。
『緊急事態により、教師は至急会議室に集まるように。』
教室が一気に騒がしくなる。自習を言い渡したあと、菜瑚芽の担任も教室を出ていく。誰一人として自習を始めようとするものはいなかったけども。
🍄『外見た?』
🍬『みた。なにあれ』
⚔️『ぬこちゃん行ってみたら?』
🍬『ガチで行きたい。行っていいかな』
🍄『怒られる勇気あるならええんちゃう』
🍬『ざけんな』
猫好きの雅が外に出たそうにしている様子が頭に浮かんでくる。猫をみてキラキラと目を輝かしているんだろう。
実際、1年の教室で雅は外に出たそうにうずうずしていた。すぐそこに大好きな猫がいるのに近くに見に行けないもどかしさ。先生たちが外に出てきて、猫を学校の外に出そうとしている、そんな様子を見て、ついに雅は痺れを切らしてしまった。
🍬「えいっ」
自分の手元に魔法の毛糸を取り出すと、カバンの中から裁縫道具を取ってきて、何かを編み始める。
あっという間に完成したそれは毛糸でできたサメのぬいぐるみ。そのまま教室を飛び出して靴を履いて外に出る。
「ちょっと!有兎?!」
🍬「そーれそれ!」
「って、ちょっと!」
手に持ったサメのぬいぐるみをちょいちょいっと動かしながら猫をあやす、そんな雅の姿を見たのか3階から菜瑚芽が飛び降りてくる。
スタッと綺麗に着地すると、そのまま走りながらよってくる。
🍬「え?!なめちゃんなんで来たの?!」
🍄「え、楽しそうやったから。俺にもやらして〜」
🍬「むりむりぜんぜんむり」
🍄「はぁ?」
3階から菜瑚芽が飛び降りてきたことにはもう先生たちも驚きやしない。校庭に散らばっていた猫たちが雅と菜瑚芽の方にどんどん集まっていく。
🍬「わっわっ、いっぱい集まってきた!なめちゃん!猫いっぱい集まってきた!」
🍄「それ動かして外誘導したらええんちゃう?」
🍬「え〜外だしちゃう?」
🍄「当たり前やろ、授業潰れてんねん」
「有兎お前、授業受ける気あったのか……」
🍄「えっ、先生俺の事なんやと思ってるん…?」
仕方ないな〜と言いながら、雅はサメのぬいぐるみを器用に操る。ひとりでに動き出したサメに猫たちは興味津々で着いていく。
校門の外まで猫たちを誘導したあと、雅はサメを空高くに打ち上げる。
🍬「そーれとってこーい!!!」
🍄「よう飛んだな」
高く、それはもう空高くに飛び上がったサメのぬいぐるみは、猫たちの目でも捉えることが出来ないくらいで、そんなぬいぐるみを取りに、校門前に溜まっていた猫が蜘蛛の子散らすように居なくなっていく。
サメのぬいぐるみはといえば、ふわっと浮かびながら雅の手元に戻ってきていた。
🍬「はい、なめちゃんあげる」
🍄「いらんよ」
🍬「え、いるんじゃなかったの?」
🍄「欲しいわけじゃないんよ、猫あやしたかっただけなんよ」
🍬「あっそう。じゃああえちゃんにあーげよ」
またヒョイとぬいぐるみを打ち上げる。サメはそのまま空を泳いでいった。
――
🧸「そんな経緯で送られてきたぬいぐるみやったんかい」
🍬「そう、可愛いでしょ」
全て話し終わった後、阿英がサメのぬいぐるみを持ってきた。
🧸「可愛いのはわかるけど急に動かしたりせんといてな」
⚔️「てか結局なめこくんも外出てたんかい。ぬこちゃんは出てってると思ってたけどさ」
🍬「え、僕が外出てると思われてんのなんで?」
やいのやいのとまた小競り合いを始めた二人を制すように文悟が割り込んでくると、むにむにっと瑠羽斗と雅のほっぺを掴む。
むぅっ、と二人して腑抜けた声を出すと、文悟は思わず吹き出す。
🦩「ふふっw」
🍬「ひゃめへ(やめて)」
⚔️「やい(なに)」
🦩「いや、また喧嘩してるから止めようと思って」
🌼「仲良いねぇほんとに」
呆れたように全員の頭を撫でる蘭華に、文悟が話し出す。
🦩「そうや聞いてカンマ!今日さそりくんがやらかしてん!」
🦂「やめて!」
🍄「ガチで嫌がってるやんw」
❄️「なにしたの」
🦩「ラテアートやろうとして火柱あげてた」
🦂「あーもーほんとに」
そんで俺があっつあつのコーヒー飲ませられたんだよ!と不満げに叫ぶ文悟を陽桜はペチペチと叩く。
他に聞いてた兄弟と蘭華はまだ状況を飲み込めていない。まぁ確かにどう言う状況か飲み込むのに時間がかかるような事件ではあるが。
🦔「はい、出来たよ〜。ご飯食べるよ〜」
🍄「どう言うこと……?」
🦂「火柱が上がっちゃったの!」
⚔️「なんでラテアートして火柱が上がるんよw」
🍬「疲れてるよ、寝な?」
🦂「それ文鳥にも言われた」
🦩「だってさそりくん普段そんなミスせんし」
みんな揃ってダイニングテーブルに座って、泰の作った夜ご飯を頬張る。
そして毎日恒例の、今日のMVPのコーナーが始まった。
🦩「俺的にはさそりくんやけどね。火柱あげたし」
🦂「やめて」
⚔️「高校的にはぬこちゃんは救世主やったけどね」
🍬「じゃあ僕か〜」
🍄「いーや、さそりやね!」
🍬「じゃあさそりくんにこのサメのぬいぐるみを贈呈しよう」
🦂「いらんよ」
🧸「俺にくれたんじゃなかったん?!」
結局、今日のMVPは陽桜になったのか、陽桜にサメのぬいぐるみが渡されたのか。
🍬「じゃあ新作をさそりくんに贈呈しよう」
🦂「んん……」
雅が新しくエビのぬいぐるみを作ると、寝てる陽桜の枕元にそっと置いた。
次の日の朝、誰よりも早く起きた雅がぬいぐるみを操って陽桜を起こすのはまた別の話。
🦂「雅ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
🍬「やばいさそりくんが雅って呼んできた!ブチギレや!」