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この世界は‘“呪い”等の呪物的なものは知られていて、専門的に魔女が扱う。“怪異”は存在しないもの、そもそも怪異自体を知らない、と言った風だ。なので、この世界には陰陽師等の祓い屋がおらず、年に数十人、不思議な消え方をする者がいた_____









コトリバコ事件から数週間後、私宛にとある依頼が届いた。その依頼の内容はまだ確認していない。本当なら届いた時に中身を確認するものだが、その手紙は気付いたらそこにあったもので、何かあるのではと怪しんだ私が中身を見ずにいたのだ。何故か、数分見ないうちにどこかに行ってしまったが。まぁ窓際に置いてあったし、風で飛ばされたのかとその時は気にしていなかった。


「あの手紙、なんだったんだろ。少し嫌なオーラあったし、怪異関係だとまたあいつ起こさなきゃ行けないからなぁ〜。体力結構持ってかれんだよね」


コトリバコの時に現れたあいつ。私とあいつは、ある事件を境に、運命を共にすることとなった。あいつは元々私の中にいたのではなく、外から入ってきたものだ。ま、寄生虫とそう変わらないかな。あいつは基本私の中で眠っていて、私が危険な時だけ起きてくる。意思疎通出来るし会話もたまにするけど、全部あいつの気分次第。


「ベリアンが言ってた依頼って、どんな依頼なんだろ」

「それと、そろそろベリアン達にも私の事説明しなきゃね。ベリアン達ならきっと受け入れてくれる」


なんて思うの、これで何回目だろう。言わなきゃ、言わなきゃって思うだけで実際言ったことは無い。きっと、私は臆病になってしまったんだ。大切な物が出来て、手放したくなくて、離れていくことを恐れている。まるで昔の自分に戻ったみたいだ


《そんなに苦しんでまで言う程のものか?くだらんな》

「…お前はわかんないと思うけど、人はそういうもんなの」

《人?何を言う。あの時からお前はこっち側の人間だ》

「…………」

《まァ、どう思うかはお前の自由だがな。俺には関係ない》

「じゃあなんでつっかかってきたの」

《理由なぞいるか?》

「はぁ…そういやお前はそういう奴だったね。忘れてたよ」


それでもいつか、言わなければならないことなんだよ










「それでベリアン、さっき言ってた依頼の内容は?」

「それが、詳細が書いていなくて…」

「え?そんなことあるの……?」

「いえ、余程の緊急では無い限りないかと。それでもおおよその内容は書かれているはずですが…」

「グロバナー家から来たんだよね?」

「はい」

「どこかに行け、とかは書いてあるの?」

「いいえ、それも記入されておりませんでした。」

「ん、ちょっと見せて。……っ!これは、まずいな…」


ベリアンから渡された手紙を受け取った私は一瞬固まった。何故なら、それは私の元に届いた手紙と酷似していたからだ。手紙に違い等殆どないだろうし、気の所為で済まされるだろう。だが、手紙から発せられるオーラが私に気の所為ではないと確信させ、危険を訴えた。


「主様、まずいとは?何かあるんですか?」

「いや…説明している時間はない、取り敢えず皆を集めよう」

「わかりました、では呼んできますね」

「ベリアンだけじゃダメ。私も行く」


そう言って私はベリアンと共に行動することとなった。皆を呼ぶべく、部屋の扉を開けると、いつもとは違う異様な雰囲気を醸し出した廊下が視界に現れた。ベリアンも何となく感じたらしく、冷や汗をかいている。


「遅かったか……。ベリアン、私から離れないでね」

「…主様はこの不気味な感じの原因が分かるんですか?」

「うん。これは私の専売特許だから!」


この禍々しい雰囲気、この屋敷に怪異が現れていてもおかしくない。バスティンはディシカが居るから他の人よりかは大丈夫なはず…ハウレスにはトリシアがいるし__取り敢えず、皆を見つける事は変わらないからごちゃごちゃ考えてないで行動した方がいいな


「皆〜!!どこにいるのー!?私の声が聞こえたら返事して!!!」

「ロノくん!バスティンくん!ハウレスくん、フェネスくん……!皆、どこにいるんですか?!」

「はぁ…っあれは、アモン?」

「…なんだか、様子がおかしくありませんか?」

「……アモン、そっちはダメだよ。………アモン・リード!!止まれ!!!!」

「ぅあっ!?主様!?え、なんで俺ここに…庭に居たはずじゃ……」

「説明してる暇はないの、取り敢えずこっち来て!」

「わ、わかったっす!!」


昼間なのに屋敷の中は薄暗く、窓から見える空は赤黒く染まっている。2人とかはまだ私の霊力だけで守れるけど、16人ともなると結界を使わないといけなくなるな…。気配的にだいたいの位置はわかるけど、結構皆離れてるな。それに、ムーが居ない…?人間を取り込む呪物だから猫であるムーは弾き出されたのか?


「気配が近い…こっち!」

「主様、皆がどこにいるかわかるんすか!?」

「なんとなくだけどね!正確な位置は集中しなきゃならないし遠すぎたりすると無理!」

「ここら辺にいる誰かいる!そろそろ見えてくるはず…!」

「えっと…あ、居たましたよ!あそこ、ナックさんっす!」

「ナックくん!大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫です…ちょっと目眩がしてしまっただけですので」

「目眩って…ここ瘴気が凄いから目眩ってレベルじゃないよ!?私一応巫女だったから浄化出来るよ、こっちきて」

「すみません、主様…」

「大丈夫だよ。私の能力はこれくらいでしか使えないから」


あいつが居なかった頃でも、私は霊力が強く、触れれば浄化出来る程だった。ただ、あれだけ瘴気に当てられてしまったら浄化も少し時間が掛かる。でも他の執事も探さなければならないし…仕方ない、式神を呼び寄せよう


「前鬼後鬼 悪鬼滅殺 急急如律令」

《《ギィィィヤァァァァァ》》

「2人とも、ナックを持ち上げて運んで!私の大切な人だから大切に扱ってね」

《《ギャァァイ》》

「うわぁぁぁぁ!?なんなんすかこれ!」

「ナックくん…!主様、この子達は……」

「大丈夫、私の式神だよ。いい子達だから安心して!」


前鬼と後鬼は少し小さい為、2人でナックを運んでもらう。見た目はまぁちょっと怖いけど、大丈夫でしょ!


「仕事だぞ。出てこい  急急如律令  白虎」

《何やら焦っているご様子。何用で?》

「私の仲間がバラバラになっているの。白虎ならだいたいの位置が匂いでわかるでしょ?」

《…少し瘴気のせいでぼやけておりますが、問題ありません。お任せあれ》

「頼りにしてるよ。丁寧にね」

《承知した》


私一人では無理そうなので、白虎を呼んで手伝ってもらう。この濃い瘴気当てられてしまってはまずい為、自体は一刻も争うことになる。普通はナック達に待ってもらって後から私が全員集めるのがいいんだけど、ここの屋敷全体が怪異化してるからそれは得策とは言えない。


「ッ…力を使い過ぎたかな、あいつが目覚めた」

「目覚める、とは?」

「………ちゃんト説明すル、けど、もゥオさえらレナい」

「でキればこノ姿はミセたクなかッタ」


驚きで普段よりも大きく見開かれた瞳に映り込むように、その瞳に私の醜い姿が映し出される。本能からか、ベリアン達は先程より少し距離を開けて私の後ろをついてくる。


「……正解ダァ。こうナっタ私八自分でもとメられナい」

「っ」


振り返らずともアモンがびくっ、と肩を跳ねさせたのがわかった。この顔をあまり見られたくなかった私は、前を向きながらそう言った。けれど、アモンの表情が気になってチラ、と後ろに視線を送ると、アモンの瞳が不安で揺らいでいた。____それでも、私の事を不気味がる事はなかった


「どんな姿でも、主様は主様っすよ。けど、終わったらちゃんと説明して下さいね!?」

「当然です、どんな主様でも愛しています!」

「…ァア。わカってる。ソレト、ここで愛ノ告白はいラナィ」

「残念です……主様、ロノくんとバスティンくんは恐らく厨房に居ますよ!!」

「…確かニ、ソッチの方向かラ気配ガスる」


ロノとバスティンと合流すべく、私達は厨房へ向かった。ずっと走っているから、ベリアンとアモンも少し疲れてきてしまっている。瘴気もあるし、早く終わらせなければいけないという焦りが、私の中で生まれ始めた


「………」

「ロノくん!ここに居たんですね…バスティンくんと一緒ではないんですか?」

「………」

「ロノ、返事をシロ…………」


反応がないロノを、私は怪訝そうな顔をしながらもう一度名前を呼ぶ。そうすると、ロノはゆっくりとこちらに顔を向けた。その顔は___口だけを三日月状に描き、ニヤリと笑っていた


「ッヤバ、しくっタ!!!!!」

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コメント

8

ユーザー

ロノ、なんかに取り憑かれたのかな?わかんないけど。主様の反応見るに、結構ヤバい状況だから呪い?怪物?そのものがロノに取り憑いてる可能性もあるかな、わかんないけど。まあ、その何者かがロノの身体から出たところでちょこまかと逃げ回りそうだけど…。まあ、逃げ回らずにロノの身体から出た時点で祓われてる可能性もあるかな。(返信欄に続く())

ユーザー

え!?何!?ロノどしたん!? いや続き気になる終わり方すぎな!?神か!?神なのか!?あ、もう神ですねはい。←うるせぇ アイツ?が目覚めたあとの言葉書くの大変そ…←おいメタいぞ

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