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ジョセフは無機質な施設の地下に連れて行かれ、冷たい鉄の檻に監禁された。
隣には先ほどの鬼がぐったりと横たわっていた。暗い空間には、不気味な静寂が漂っていた。
秘書は冷ややかな笑みを浮かべて言った。「調印式までここにいてもらいます。」
ジョセフは怒りを抑えきれずに叫んだ。
「いいのか、こんなことして!調印式には警察のお偉い方が来るんだぞ!これを知ったら…」
しかし、秘書は冷たく言葉を遮った。「脅しのつもりですか?調印式には警察を始め、
政界の方々もお見えになりますから、失礼のないよう心がけてください。」そう言うと、
秘書は鍵をかけて部屋を出て行った。
ジョセフは苛立ちと絶望を感じながら呟いた。
「いったいどういう意味だ?それにしてもポテトのやつ、裏切りやがって!」
ジョセフの脳裏に、船着き場での出来事が鮮明に蘇った。ポテトの冷たい言葉が耳に残る。
「ポテト、いったいどういうことだ?」ジョセフは問い詰めた。
ポテトは冷ややかな目でジョセフを見つめ「先輩が悪いんです。こんな素晴らしい場所を
出て行こうとするなんて許されません。ましてや、
警察の代表である先輩が途中で帰るなんて考えられませんよ。」
と言いながら、秘書からスティック状のゼリーを受け取っていた。
ジョセフはその光景を思い出し、怒りを込めて呟いた。「あいつ!完全に飼い慣らされてる!」
ジョセフの心は混乱と裏切りの痛みでいっぱいだった。この島の闇は深く、
どこまで広がっているのか見当もつかない。
冷たい檻の中で、ジョセフは愕然としていた。絶望感が胸に押し寄せる中、
微かなうめき声が聞こえた。鬼が目を覚ましたのだ。
「うぅう」と、痛みを訴える声を上げている。
ジョセフは心配そうに声をかけた。「おい、大丈夫か?」
鬼はうつろな目でジョセフを見つめ、「うぅ、あれを食らうとしばらくは動けないんだ」と答えた。
ジョセフはさらに問いかける。「ここの鬼はみんな友好的じゃないのか?」
鬼は苦々しい表情を浮かべた。「友好的?あいつらが勝手にこの島に来て、
俺たちを奴隷のように扱ってるだけだ。」
ジョセフは驚いた。「奴隷?」
鬼は重々しく頷いた。「ああ、あいつらが俺たちをだまして契約を結んだんだ。
この島で永遠に幸せに暮らせるようにって。でも、その代わりにこの首輪をつけられた。」
鬼は重々しい口調で契約の詳細を語り始めた。
かつて鬼たちが暴れていた頃、桃猫太郎がやってきて鬼たちを成敗し、
その後彼らに他の種族との共存の道を示した。鬼たちは、自分たちの過ちに気づき、
改心して桃猫太郎に感謝した。そして、もう二度と暴れないと約束した。しかし、
その後やってきたのが桃次郎だった。
自分の事を「伝説の英雄の子孫である」と言う桃次郎は、突如としてこの島に現れ、
鬼たちの力を奪い、島を制圧したという。そうして、
鬼たちは平和のために桃次郎一族と契約を結び、首輪を装着されることを余儀なくされた。
しかし、そんな彼らの決意を桃次郎はあざ笑うかのように裏切り、鬼たちを奴隷の如く扱うようになったのだ。
ジョセフは鬼の話を聞きながら、島の本当の姿を理解し始めた。
この楽園と思われていた場所は、実は鬼たちの苦しみの舞台だったのだ。
「どうしてこんなことに…」ジョセフは呟いた。
鬼は悲しげな目でジョセフを見つめ、「俺たちはただ、平和に暮らしたかっただけなんだ」と言った。
冷たい檻の中、ジョセフの隣にいる鬼が意を決したように囁いた。
「なあ、あんたがいなければ調印式はなくなるかもしれない。ここから逃げてくれ。」
ジョセフは驚きと困惑の表情を浮かべた。「逃げると言っても、どうやって?」
鬼は静かに答えた。「船着き場に行けば俺の仲間がいる。俺が帰ってこないのを心配して探しているはずだ。」
そう言いながら、鬼は何かの袋をジョセフに手渡した。
「これを仲間に見せれば助けてくれるさ。」
ジョセフは袋を受け取り、訝しげに尋ねた。「これは?」
鬼は淡々と答えた。「俺の睾丸だ。」
ジョセフは一瞬言葉を失った。「……金〇ってこと?」
鬼は頷いた。「そうだ。それを見せれば俺だとすぐにわかるはずさ。
睾丸ぐらい取っても、またすぐに生えてくるから心配すんな。」
ジョセフは袋を見つめながら苦笑した。「……持ち歩くのがいやだな。」
鬼は笑みを浮かべ、「さあ、夜が明ける前に」と言って、鉄の格子に手を置いた。次の瞬間、
ドンという音とともに電気が流れ、鬼は痛みに耐えながらも渾身の力で隙間を作った。
「これくらいの隙間があれば逃げられるだろう。」
ジョセフは感謝の念を込めて尋ねた。「あなたは?」
鬼は気絶しそうになる中、辛うじて答えた。「俺のことはいいから急いでくれ……」
ジョセフは鬼の勇気に感動し、自分の名前を名乗った。「俺はジョセフ、あんたの名前は?」
鬼は意識を失いかけながらも微かに微笑み、「マイキーだ……」と言った。
ジョセフ(思ったより洋風な名前!?)
ジョセフはマイキーの犠牲を無駄にしないと心に誓い、隙間から這い出し、
船着き場へと急いだ。彼の手には、マイキーの睾丸が入った袋がしっかりと握られていた