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「ねえ由佳ちゃん、めいなちゃん須藤くんに告白されたってほんと?」
目線が、動いた。
「、、あ、うん。昨日めいなちゃんに言われて」
「えーーほんとなんだ!?すごいね、須藤くんに告白されるって」
平然を装って、自分の席に行きかばんを置いた。
須藤とかあんなハイスペ、
どうあがいても勝ち目がない。
「あの、笹木の話って、本当?」
そんな気にしてはないけど、一応聞いておこう風の態度。
「、、篠谷くん、聞いてない?」
「うん、全く」
「篠谷安心しなって、めいなちゃん断ったみたいだよ」
後ろから「断った」という言葉が聞こえた瞬間、一気に体に血が通っていく感覚がした。
「あ、そ、なんだ」
いや、安心しなってなんだよ。
「でもこの話、あんまり広めるとかはやめてほしくて、須藤くん人気だし、めいなちゃんに何かあったら嫌だから、、既に噂になってるかもしれない、けど」
「うん、わかった」
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「木曜いつも浅井と帰ってなかった?」
「由佳今日委員会あるんだって」
テニス部は木曜がオフだから、一緒に帰ろうと言われた。
聞きたいこと、聞いていいのだろうか。
「あ、今度飯行こ」
「え?ああうん、なんで急に?」
「この前のケーキのお返しで飯奢ろうと思って」
「あれは私がお礼としてあげたやつだって」
笹木は笑って言った。
「須藤のこと、なんで振ったんだよ」
笹木は黙った。
「、、ああ、浅井がクラスの人たちに聞かれてるの、聞いてさ」
「、、なんでって、好きじゃないからしかなくない?」
いや、まあそうだけど。
「いやその、すごいじゃん、須藤って」
理系クラス、水泳部。俺が出会ってきた人の中で断トツでイケメン。体育で何回か話したことがあるが、本気で良い奴だった。
「あんなかっこよくて良い人他にいないだろ 」
あんなん、男でも惚れる。
「じゃあ愁は、ずっと好きな子がいるけど学年一かわいい子に告白されたら付き合うの」
「え?」
「愁も好きな子選ぶでしょ」
理解が、追いつかない。
「、、そんな話したっけ、好きな人いるって」
冷静に、平常心。
「話すわけないよ」
俺、全然良い恋してなかった。
「愁だから」
「…………..え?」
理解が、追い、つけ。
「愁のこと、ずっと好きだよ」
「、、、、、いや、あ、え?」
「、、、帰るよ」
「いや、ちょっと待てって」
夢じゃないんだ、これ。
「俺も、ずっと好きだよ 」
好きでいつづけて良かった。
「冷たそうに見えるけどほんとは優しくて、誰か困ってたら絶対見放さないとことか、しっかりしてんのにたまに面倒なとことか。、、どんな髪型しても似合ってて、文化祭とか体育祭とか一番、、 」
いちばん。
「笹木が、一番かわいいよ」
「、、、もっと早く言ってよ」
「ごめん」
4年間、ずっと言えなかった。
「でも、笹木だってずっと言わなかったろ」
「女は待つから」
「男が先に言うとかそんなルールねえじゃん」
「だから言ったじゃん私から」
「、、ごめん」
情けねえ、俺。
「笹木」
一歩、笹木に近づいた。
「俺と付き合ってください」
「はい」
笹木は微笑んだ。
やっと、咲いたんだ。
4年間ずっと蕾だった花が。
「笹木」
「めいな」
笹木はそう言って俺を目を見た。
「好きだよ。めいな」