自動販売機からお金を払わずにジュースが飲めるなんて
初めての経験でした
キラリはドキドキしながらも 鍵を開け
その中身を拝見し
ジュースを二つ取り出しました
この自販機もおばちゃんの
ガチョウだったなんて・・・・
。.:*・゜+.。.:。.:*・゜+.。.:
キラリはすっかり興奮していました
学校の授業なんかより
よっぽどおばちゃんの教えの方がエキサイティングでした
今になってよく考えたら
普通中2の女の子が資産運営の話なんて
興味なんかあるはずもありません
初めてあった時からこのおばちゃんはどこか
普通の友達のおばちゃんと違うと思っていましたが
その変わっているおばちゃんの話が大好きだった
キラリもまた・・・・
変わっていたのだと
大人になって理解するのですが
キラリはすっかり
このおばちゃんの魅力にとりつかれていました
「自動販売機経営って・・・・儲かるの? 」
「それは難しい質問ですな
儲かるとも言えないし
儲からないとも言えません
物事を人に話す時にはバカでも分かるように
話すのが私のモットーですけど・・・
特にお前さんのように学校の成績はともかく
人間としての基本的な知性がある子にはね」
ふふんとおばちゃんは笑った
「やり方次第・・・・
とでも答えときましょか
まぁそれは何にでも言えることですけど 」
キラリはわけがわからなくなっていました
そして
ほめられているのかどうかもわかりません
でも
おばちゃんの所有するこの
白いアパートの何もない空き部屋で
おばちゃんと差し向かいでジュースを
飲んでいることは陽子ちゃんも知らなくて・・・・
おばちゃんと共有している
秘密のようでワクワクしていました
おばちゃんはさらに続けます
「自動販売機経営も
アパート経営も似てる所はあります
労力からしたら自動販売機の方が
その見返りはアパート経営よりも小さいと思いますが
もう少し具体的に言うなら
利益というものはいろんな要素が結合して
起こることです
これは雇われてる人間には理解できないことでね」
おばちゃんはUCC缶コーヒーをゴクリと飲んだ
「夏場は少し利益が出ますけど
自販機購入代と年間の場所代の支払い
まぁ・・・これは
ここはうちの土地ですからいりませんけど
一週間に1~2度ジュースの補充
さらにジュースを仕入れる手間と
在庫を持つリスクを考えたら
割りに合わないビジネスだと思ます
ただ・・・・ 」
「ただ? 」
おばちゃんはニヤリと笑って言いました
「自動販売機は文句を言いません
コイツは24時間365日
私のために働き続けてくれます
朝5時だろうが夜中の2時だろうが
ずっと光って待ちの体制で
ずっとジュースを売り続けてくれます
冬で寒かろうが 夏で暑かろうがね 」
先ほどおばちゃんに抗議をしてきた
あの若い職人さんをキラリは思い出しました
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