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#普通
野々さくら
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ありあ
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累は夕焼けに染まる窓の外へ視線を向け、小さく息を吐いた。
「それから俺は毎日、沙月の病室に通ったよ」
静かに耳を傾ける信愛たちを前に、累は少しだけ目を細める。
「目覚めた時に抱きしめてやりたくて」
拳を握り締め、言葉を続けた。
「ずっと好きだったって、そう伝えてやりたくて」
その願いは、ただひとつだった。
だが現実は、あまりにも残酷だった。
「けど去年、沙月は死んじまった」
その一言に、その場の空気が凍りつく。
さくらも茜も、焔垂も言葉を失った。
累は苦笑するように俯く。
「俺は自分の弱さを呪ったよ」
肩が小さく震える。
「俺が弱かったばっかりに、沙月を死なせちまった」
自分を責め続けた日々。
その傷は今も癒えていない。
「そう思ったら、もう何もかも
どうでも良くなっちまってさ」
乾いた笑みを浮かべる。
「沙月の後を追おうとか、バカな事を考えたりもした」
誰もその言葉を軽く受け止めることはできなかった。
累は静かに続ける。
「そんな時に霊貴冥孤の噂を耳にしたんだ」
死者の声を代弁する霊媒師。
そんな噂だった。
「死者の声を代弁してくれるって・・・」
信愛は納得したように頷く。
「なるほど・・・」
累は自嘲気味に笑う。
「今思えば、なんであんなの信じたのか分からねーけど」
視線を落としたまま呟く。
「多分、相当参ってたんだろうな・・・」
信愛は静かに口を開いた。
「でも、沙月の声は代弁してもらえなかった
それどころか毎回無駄に
霊視料として金を払わされる毎日」
苦笑ともため息ともつかない声が漏れる。
「俺も、騙されてるんじゃないか?って内心疑ってた」
それでも足を運び続けた。
「けど次は・・・次こそは
沙月の想いを聞けるかもしれねー
俺の気持ちを伝えれるかもしれねー
そう思ったら引っ込みがつかなくなっちまってな」
自嘲するように鼻で笑う。
「ふっ、笑っちまうよな」
肩をすくめながら苦笑した。
「まるで次は当たるって辞め時を
見失ってるパチンカスみてーだよな」
その例えに誰も笑わなかった。
「しまいには、肝心の霊貴冥孤は逮捕だぜ」
累は遠くを見るような目をする。
「もう・・・沙月の声を聞く事も
俺の想いを伝える事もできねー・・・」
その時だった。
信愛が静かに口を開く。
「方法はありますよ」
累は思わず顔を上げる。
「は?」
信愛は真っ直ぐ累を見つめ返した。
「言いましたよね?私は
沙月さんに累さんの事を聞いたって」
累の瞳が揺れる。
「本当・・・なのか?姉貴が言ってた
霊視や除霊が出来るって話」
「はい・・・」
信愛はゆっくり頷いた。
「ですから私から沙月さんの言葉を伝えます」
だが、すぐに首を横へ振る。
「と、言いたいところですけど」
少しだけ微笑み、続けた。
「沙月さんも本当は、自分の
言葉で想いを伝えたいはずなんで
少々変わった方法を取らせてもらいます」
累は眉をひそめる。
「変わった方法?」
信愛は穏やかな表情のまま答えた。
「私の霊気と、累さんの霊気を結合します」
「霊気の結合?」
累は首を傾げる。
コメント
1件
×××さん、こんばんは、みぅです🥀 今回のエピソード、累くんの過去がちゃんと語られて胸が苦しくなりました……「俺が弱かったばっかりに」って自分を責めるところ、すごく重くて、でもその弱さが彼を人間にしてるんだなって思いました。沙月さんに伝えられなかった想い、信愛さんの“霊気の結合”って方法でどうなるのか、すごく気になります。続き、静かに待ってますね🌙