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第十六話:魅了の真実と、甘い代償夕暮れの校庭。
俺と朱音は、少し離れた距離を保ちながら静かに歩いていた。「……ねえ、タカシ」朱音の小さな声。魅了の力が消えた彼女の手は、少し震えながらも俺の手をギュッと握り返してくる。「10分間だけ人間になる薬……すごく不思議。だってさ、サキュバスとしての本能……男の人から精気を吸いたいっていう欲求が、キレイさっぱり消えてるんだもん」「……そうか」「うん。……でもね」朱音は立ち止まり、夕日を背にして俺を見上げた。その瞳は潤み、頬は夕焼けよりも赤く染まっている。「力も本能も消えてるのに……タカシに触れられると、胸がキュッてなって、頭がクラクラするの。これってさ……」「朱音……」「サキュバスの魅了じゃなくて……私の『本当の気持ち』なんだよね……」直後、彼女の身体からふわりと淡い光が溢れ出した。パサリ……背中に広がる大きな漆黒の翼。頭から生えるツノ。10分の制限時間が終わり、朱音は元のサキュバスの姿へと戻った。「あ……」魔力が戻った瞬間、人を惑わす甘く危険な香気が校庭に満ちる。だが、朱音は妖艶に微笑むどころか、真っ赤な顔で恥ずかしそうに両手で顔を覆った。「うぅ……っ! 思い出しちゃった……! サキュバスの古い伝承のこと……っ!」「伝承……?」俺が首をかしげると、朱音は隙間からチラリとこちらを見ながら、蚊の泣くような声で囁いた。「サキュバスってね……本当に好きな相手と……その……『えっちな事』をしたあと、一時的に完全に魔力が消えてただの人間になっちゃうの……っ!」「……は!?」「本気で愛した男の人に全部を捧げると、精気を吸うどころか、自分の魔力を全部相手に与えちゃうんだよ……! だからサキュバスにとって、それは一生に一度の『究極の契約』なの……っ!」朱音の思いがけない告白に、俺は思わず絶句した。つまり、白銀さんが作った「10分間の薬」は、サキュバスが本気の恋をした時に起きる現象を擬似的に再現したものだったのだ。「私……タカシとなら……魔力が消えてもいいって、本気で思っちゃったじゃんバカぁ……っ!」真っ赤になった朱音はそう叫ぶと、翼を羽ばたかせて空へと飛び去っていった。夕闇が深まる校庭で一人取り残された俺は、サキュバスたちの「初めて」と「本当の愛」の重さを突きつけられ、立ち尽くすのだった。
コメント
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第16話読み終えたよ〜!!朱音の「本当の気持ち」の告白、めっちゃエモすぎた😭💕 薬で人間になったときの純粋な台詞が刺さりすぎて何度も読み返した…。しかも元に戻った直後の恥ずかしがりながら伝承暴露するシーン、ギャップ萌えでキュン死するかと思った!サキュバスの愛の重さ尊い…次回も楽しみにしてるよ〜🌸
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#ギャグ
梨本和広
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桜咲かな
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