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【《《烏羽 尊Side》》】《33話~35話》
風呂場にて
湯気が満ちる浴室は、肌にまとわりつくような湿気と、かすかな石鹸の香りで満たされていた。
温かい湯が満たされた浴槽の中で、俺は雪白を後ろから抱きしめていた。
雪白の背中が俺の胸にぴったりと寄り添い、互いの体温がじんわりと伝わり合う。
静寂の中、湯が揺れる微かな音だけが響いていたが
その穏やかな空気を破るように、雪白が小さく声を上げた。
「あ、あの…尊さん?」
雪白の声は、いつもより少し震えていた。
俺は、雪白の柔らかな髪に頬を寄せたまま、静かに応じる。
「どうした」
「その…尊さんに嫌な思いさせちゃったお詫びって言ったらアレなんですけど…」
雪白は言葉を選びながら、ゆっくりと紡ぐ。
その声には、決意と、わずかな恥じらいが混じっていた。
俺は、雪白の緊張が伝わってくるのを感じながら、ただ黙って次の言葉を待った。
「…たまには、俺が尊さんのこと、気持ちよくしたいなって…!」
俺の腕の中で、雪白の体が微かに強張るのが分かった。まさか、そんなことを言い出すとは。
予想外の申し出に一瞬目を見開いたが、すぐにいつもの低い声で問い返す。
「なんだ、まだヤる気あったのか」
その言葉に、雪白は慌てて首を横に振る。
その必死さが、少しばかり可愛らしく見えた。
「そ、そうじゃなくて!俺に…たけるさんの、ちん…ちん、舐めさせて欲しくて…っ」
雪白の頬は、湯気とは違う熱を帯びて赤く染まっていた。
その必死な様子に、俺は微かに眉を上げた。
「……どういう風の吹き回しだ?」
俺の問いに、雪白は俯きがちに答える。
「今日は、俺のせいで、たけるさんに我慢させちゃったから……」
雪白の正直な気持ちに触れ、俺は少しだけ表情を緩めた。
こいつなりに、俺のことを考えているのか。
しかし、すぐに真剣な眼差しに戻り、雪白の顔を覗き込む。
「……上手くできるのか?」
その言葉に、雪白は顔を上げ、俺の目を見つめ返した。
瞳には不安と、それ以上の健気な決意が宿っていた。
「が、頑張ります!そっ……それにその……いつも俺ばっかり気持ち良くなってて……たけるさんにも気持ち良くなって欲しいから…」
雪白の純粋な思いが、俺の心を深く揺さぶった。
いつも俺が一方的に与えているとでも思っていたのか。
その健気な愛情に、俺の体は熱を帯び始めた。
俺は、しばらく雪白の真剣な瞳を見つめた後、小さく息を吐いた。
「……わかった、雪白に任せる」
俺の言葉に、雪白の顔に安堵と喜びの表情が広がった。
その笑顔に、俺の胸の奥が温かくなる。
俺の腕がゆっくりと雪白の体を解放し
浴槽の淵に座った俺のまえに、雪白はゆっくりと膝をついた。
湯から上がったばかりの肌は、湯気を含んでしっとりと艶めいている。
俺の太ももの間にしゃがみこみ、雪白は少し緊張した面持ちで俺を見上げた。
「じゃあ、早速……」
雪白は深呼吸し、ゆっくりと俺の股間に手を伸ばす。
温かい湯に浸かっていた俺の陰茎は、すでに確かな熱を帯びていた。
雪白の指先が触れると、さらに熱がこもるのを感じた。
「……失礼します」
そっと、雪白の指が俺の陰茎に触れる。
その指先から伝わる熱に、雪白の心臓が小さく跳ねたのが、俺にも伝わってくるようだった。
そして、ゆっくりと顔を近づけ、その先端に唇を寄せた。
「ん……っ、たけうしゃんの、相変わらずおっきい……」
雪白の小さな口は、俺の亀頭を包み込むのがやっとだった。
熱く、硬く、そして大きく膨らんだそれが
口の中に広がる感覚に、雪白は思わず声が漏れた。
その声が、俺の耳に甘く響く。
「咥えたまま喋るな…」
雪白ははっとし、しかし口を離すことなく
必死に頷いた。
その健気さに、俺の股間がさらに熱を帯びる。
「んっ、んっ……ふっ、んぅ……」
雪白は、俺の言葉に従い、懸命に口を動かす。
小さな舌が、亀頭の先端をなぞり、その裏側を優しく撫でる。
初めての行為に戸惑いながらも、雪白は俺を喜ばせたい一心で、ぎこちなくも健気に動いた。
口の中で、俺の陰茎が熱を増していくのが分かった。
その熱を全身で受け止めようと、雪白はさらに深く吸い込もうと試みるが
やはりその口では限界があった。
それでも、ちゅぱちゅぱと水音が響き、雪白の頬はさらに赤く染まっていく。
その姿が、たまらなく愛おしかった。
「……っ、はぁ…」
俺の喉から、苦しげな、しかし快楽に満ちた吐息が漏れた。
雪白の拙いながらも一生懸命な動きが、俺の理性を揺さぶっていた。
必死に口を開けて俺の陰茎を含もうとする雪白だったが
その小さな口では亀頭部分を覆うのが精一杯だった。
それでも健気に舌を這わせ、ちゅぱちゅぱと音を立てて吸い付く様はいじらしい。
拙い動きではあるものの、その一生懸命な姿が俺の庇護欲を掻き立てる。
俺は、雪白の頭にそっと手を置き
その柔らかな髪を撫でた。
雪白のひたむきな愛情が、俺の体を芯から熱くしていくのを感じていた。
(全く……こんなことまでして。どれだけ俺を惚れさせるつもりだ)
雪白の健気さに、俺の胸は熱くなるばかりだった。
俺を気持ちよくさせたい一心で
慣れないことに必死になっている姿は、いじらしくてたまらない。
小さな口で俺のものを咥えようと奮闘する姿を見ていると、自然と口元が緩んでしまう。
「……んっ、はぁ……たけう、しゃん…っ、ごめんなさい」
口いっぱいに俺の陰茎を含みながら、雪白が苦しげに、しかしひたむきに謝罪の言葉を漏らした。
その声は、水を含んだようにくぐもっていて、さらに俺の心を締め付けた。
俺はそんな雪白の様子を見て、つい微笑ましい気持ちになり
慰めるように彼の柔らかな髪を優しく撫でようと頭に手を置いた。
その髪は湯気を含んでしっとりと濡れていて、指先に心地よい感触が伝わる。
その瞬間だった。
「……ッ!」
まるで焼けた鉄に触れてしまったかのように、雪白の肩が大きく跳ね上がり
奉仕していた動きがぴたりと止まった。
琥珀色の瞳が見開かれ、恐怖の色に染まっている。
呼吸が浅く速くなり、小刻みに震えているのが傍目にも明らかだった。
俺の指先から、雪白の全身に走る硬直が伝わってくる。
「な、なんだ…苦しかったか?」
俺は慌てて手を離し、平静を装いながら尋ねた。
内心では予期せぬ雪白の怯え方に激しく動揺していた。
さっきまでの甘く、蕩けるような空気が一変し、張り詰めた緊張感が浴室全体を覆った。
何がこいつをここまで怯えさせたんだ。
「あ……いえ……違うんです……すみません……」
雪白はすぐに我に返ったようで、慌てて首を横に振った。
しかし、その表情はまだ硬く、顔色も少し青ざめている。
額には冷や汗が滲んでいた。
まるで、見てはいけないものを見てしまったかのような怯え方だった。
「何が違うんだ。理由を話せ」
俺は雪白の顎を掴み、無理やり自分のほうへ向けさせた。
琥珀色の瞳が潤んでいる。
そこに映るのは純粋な恐怖ではなく
何かを隠そうとしているような葛藤だった。
その瞳の奥に、深い傷があることを感じ取った。
「俺には隠し事するなって言ったろ、何か怖がらせたか?」
俺の言葉に、雪白の体がさらに小さく震えた。
「あ……その……昔……フェラしてる時に……元カレに……『ヘタクソ』って髪引っ張られて怒られたことがあって…」
雪白はぽつりぽつりと話し始めた。
声は小さく震えており、過去のトラウマが完全に解消されていないことを物語っていた。
俺の胸に、鈍い痛みが走る。
そんなことがあったなんて、初めて聞いた。
「それで…つい……思い出しちゃって……ごめんなさい…たけるさんは、違うって分かってるん、です」
最後は涙ぐみながら謝罪する雪白を見て、俺は胸が締め付けられるような痛みを感じた。