「ねぇ、またアイツら一緒に弁当食ってるよ」
「朝も一緒に登校してたし、下校もだったよ?」
「つーか、放課後に保健室の前で涼太が翔太待ってたの、昨日も見たし」
B組には“名物”がある。
それは学級委員の宮舘涼太と、
保健委員の渡辺翔太。
性格は正反対。
涼太はおっとり穏やかで王子っぽいのに、翔太は口が悪くてツンケンしてる。
だけど――気づけばいつも隣にいる。
廊下ですれ違えば、目で追ってる。
誰がどう見ても「付き合ってるでしょ」って空気。
……なのに、本人たちは絶対に認めない。
💙「は?アイツとは別に、普通に友達だし」
❤️「翔太は俺にだけ、そうやってツンツンするのが可愛いんだよ」
💙「いや、言ってる意味が意味不明なんだけど」
❤️「そういうところが、可愛いんだよ」
💙「だから意味不明っつってんだろ!!」
――教室の隅で繰り広げられる、毎度恒例の謎の痴話げんか(※当人たちは否定)。
だがその日、涼太が熱を出して保健室へ行った。
翔太は普段の態度が嘘のようにそわそわして、保健室に何度も様子を見に行く。
先生に咎められても、「別に……心配してるとかじゃねぇし」とか言いながら、ポカリを差し入れて帰った。
次の日、復活した涼太が教室に入ってきた瞬間。
翔太は思わず口を開いた。
💙「……おせーよ、バカ」
それを聞いたクラス全員、心の中で拍手喝采。
(はいはい、まだ付き合ってないね♡)
涼太はニッと笑って、翔太の隣へと向かう。
そして何事もなかったように、翔太の席の隣に座った。
(※なお、翔太の席は「空き教室の机をくっつけて作られた特別席」で、隣に誰が来ることもない――はずだった)
💙「な、なに勝手に隣座ってんだよ」
翔太がツッコミを入れる。
❤️「だって翔太、俺が休んでる間ずっとそわそわしてたんでしょ?
隣にいないと、落ち着かないかな〜って」
💙「誰がだよ!!つーか聞いてたのかよ!!」
❤️「うん、先生から聞いた。『渡辺くん、宮舘くんの体温測るたびにちょっと顔赤くなってたよ』って」
💙「ち、ちげーし!そ、それは部屋が暑かっただけで……!」
周囲の女子が机に突っ伏して肩を震わせている。
男子たちもこっそりスマホにメモしてる。(※あとでまとめLINEに投下される)
翔太はそっぽを向いてぼそっと言った。
💙「……心配、くらいはしたけどな」
その声に、涼太の表情がふっとやわらぐ。
いつもは冗談めかしてるけど、今の翔太の声は、まっすぐで、ちょっとだけ寂しそうだった。
❤️「……翔太」
💙「ん?」
❤️「俺さ、もしかしたら――」
💙「……あ、チャイム鳴った。席もどんねぇと」
バッと話を切った翔太は、涼太の席を指さす。
その隣で、涼太はそっと笑った。
(もしかしたら、今日も告白のタイミングは逃すかもしれない。でも――)
(俺たちの“まだ付き合ってない”は、たぶん時間の問題だ)
コメント
2件
すごい面白いです! 素敵ィ!!