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ごきげんよう、シャーリィ=アーキハクトです。今私はベルとエレノアさんを連れて港湾部を歩いています。町のメインストリートも賑やかですが、ここにはそれ以上の活気や熱気を感じますね。

「エレノアさん、どの桟橋が欲しいですか?」

「そうだねぇ。『海狼の牙』以外だと…ここだよ」

エレノアさんは桟橋の一つを指します。

「理由をお伺いしても?」

「一番は、近くに商人ギルドがあるだろう?積み降ろしや積み込み、売却の手間が少なくて済むからさ。運ぶのは重労働だからね。しかも、それなりに広い空き地があるから、シャーリィちゃんが計画してる倉庫も建てられる筈だよ」

ふむ、立地的にも悪くないと。むしろ良い場所です。なぜ『海狼の牙』が保有していないのか不思議ですね。

「厄介な奴らが持ってるから、手を出せないんじゃないか?『海狼の牙』だって進んで厄介事に首を突っ込むとは思えないしな」

「ああ、なるほど。その可能性はありますね」

サリアさんなら面倒臭い事を極力避けるような気がします。ダウナー系ですからね、あの人。あの魔女かな?

「良いのかい?シャーリィちゃん。間違いなく厄介事になるよ?」

「慣れっこです」

「お嬢が行くところに厄介事は付き物でな、諦めな」

「はっ…ははは…」

エレノアさんドン引きですね。ううむ、厄介事は不本意なのですが。

「で、お嬢。あの桟橋の権利と周りの土地が欲しいんだろ?」

「もちろんです。エレノアさんが欲しいもの=私が欲しいものです。必ず手に入れます」

「ほら、決まりだ。またドンパチだな」

「諦めが肝心かい…色々と凄いお嬢さんに気に入られたもんだよ」

「今のうちに慣れとけよ、これから退屈と無縁な毎日が始まるんだからな」

「どちらにせよ、セレスティンの報告次第です。ラメルさんにも働いてもらいますかね」

その日の内にラメルさんと接触。セレスティンでは調べられない裏事情の調査を依頼しました。

「金貨四枚だな」

「では金貨五枚でお願いします」

「相変わらず気前が良いな、任せときな」

交渉成立ですね。

翌日、セレスティンが教会へ戻ってきました。

「お嬢様がご所望されるであろう桟橋の利権を調査して参りました」

指定していないのに、私が欲しい桟橋を的確に調べてきています。

「流石ですね、セレスティン」

「ご期待以上の成果を挙げるのが執事の務めでございます」

恭しく最敬礼されました。

「それで、どうでした?」

「はっ、こちらをご覧ください」

セレスティンの報告書曰く、件の桟橋と周囲の土地は海運ギルド『蒼き怪鳥』が保有しているとの事。港湾部の凡そ一割を支配するそれなりの勢力を誇り、バックにはマフィアが着いていてそれを背景に勢力を伸ばしつつあるとか。

「バックにマフィアですか。手を出せば面倒なことになりますよ、シャーリィ」

シスターが警告してくれます。

「どうしても欲しいんです、シスター。セレスティン、背後のマフィアについては?」

「残念ながら。お嬢様、今少しお時間を頂きたいのです」

「いえ、その必要はありません。裏側はラメルさんに依頼しましたから」

表の情報はセレスティン、裏の情報はラメルさんに任せれば時間の短縮になります。二度手間?何れはラメルさんも私の大切なものに加わっていただくので問題ないです。

「流石はお嬢様、既に手を打たれておいででしたか。ご慧眼、感服の至りにございます」

「セレスティンはこのまま戦闘準備に入ってください。判明次第行動を開始します」

「御意のままに」

「で、どうするんだ?お嬢。行動プランは?」

「先ずは交渉を持ちかけてみます。ある程度の資金や譲歩も行いますよ。穏便に済めば一番ですから」

「マフィアをバックにして勢力を伸ばしてるような連中に、それは無理だろうがな」

「平和的な解決を提案したと言う事実が大事なのです。問答無用ですと、信頼を失いますからね」

暁をそこらのギャングと同じと思われるのは不愉快なのです。

「あー、シャーリィちゃん。もし相手が断ったら?」

エレノアさんがおずおずと聞いてきます。

嗚呼、自分が笑顔を浮かべているのがわかります。気分が高揚する。

「もちろん、その場合は敵なので容赦なく排除して利権を手に入れますよ」

満面の笑みを浮かべて答えてしまいました。何だかエレノアさんに怖がられましたけど。

「マフィアを相手にするなら、私も手を貸しましょう。たまには使いなさい。留守だけでは錆びてしまいます」

シスターからの提案は有り難いのですが。

「状況次第ですが、出来ればシスターには留守をお任せしたいのです。シスターが居れば安心して戦えますから」

いつまでも甘えるわけにはいきません。恩返しの時なのですから。

「そうですか。貴女がそう言うなら我慢しましょう、シャーリィ。ですが、忘れないように。有名になることは敵を増やすことになります」

「はい、シスター」

シスターの教えを胸に刻みます。港湾部に勢力を伸ばしたら、改めてドルマンさんに会いに行って新兵器を融通していただかないと。構成員も増やしたいですし、なによりもお金が必要。

やるべき事はたくさんありますね。海運を始めたら、しばらくは派手に動かず力を蓄える事に専念した方が良さそうですね。出来ればライデン社と直接交渉してみたいし。

夜、教会地下牢。

「なるほど、情報提供に感謝します。これで繋がりました」

あの忌まわしい夜、ルミを失ったあの事件に『闇鴉』が関与していたことをヘルシェル博士から聞き出すことに成功しました。

ただのギャングが孤児院絡みで彼処まで上手く立ち回れるとは思いませんでしたが、『闇鴉』がバックに居たのなら納得です。

つまり、『闇鴉』もルミの仇。私が殲滅すべき敵。

「さて、ご褒美として今日は新しい道具を使ってみましょうか。大丈夫、いつも通り殺しはしないのでご安心を」

声にならない悲鳴を上げるヘルシェルに、私は笑顔のまま近寄るのでした。

暗黒街のお嬢様~全てを失った伯爵令嬢は復讐を果たすため裏社会で最強の組織を作り上げる~

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