私
にだって、落ち込むことはあるさ。
ただ、それがいつまでたっても終わらないだけだよ。
反省してるのかって?もちろんしているとも! 次こそは絶対に失敗しないぞ!! 立ち直ったつもりなのに、また同じミスを繰り返す。
もう二度とこんなヘマをするもんかと思っていても、気がつけば同じようなことを繰り返している。
なぜだ!?どうしてこうなる?? ああぁーーっ!!!ダメだああっ!! 結局いつもと同じじゃないか!! どうして私は成長できないんだ?! もう嫌だ!!! なんでこんなにも上手くいかないんだよぉおおお!! お前らなんか……消えてしまえばいいんだッ!! みんな死ねよッ!! そうすれば私は救われる!! 何もかもなくなってしまえばいいんだッ!! だから、早く死んでくれぇえええええええ!! さようなら……ありがとうございました。
絶望の淵へ突き落とされる。
自分の中に閉じこもり、殻を作ってしまう。
それが今の君だね。
君は本当に弱い子だったよ。
僕にはわかるんだ。
僕はずっと君のそばにいたからね。
でも大丈夫さ。
もうすぐ僕の出番が来る。
そうすればすべてが変わる。
君は今度こそ幸せになれるんだよ。
そのときまで待っていておくれ。
それはまるで夢のようだった。
自分が何を見ているのかわからないくらいに眩しい光が辺り一面を埋め尽くしている。目が痛くて開けていられないほどの輝きだ。
(……ここはどこ?)
目蓋の裏にまで刺さるような強い日差しを感じて僕は目を覚ました。
(僕は何をしていたんだろう)
起き上がろうとすると体中が軋むような痛みに襲われる。あまりの痛みに耐えきれず思わずうめき声を上げてしまいそうになったがなんとか堪えた。
今にも崩れそうなボロ小屋の中に閉じ込められているようだ。隙間風が入り込んできてとても寒い。体を包んでいるぼろ布はとても柔らかく肌触りが良いのだが、寒さのせいで体が震えるほど寒かった。
この小屋には窓がなく日の光の入らない場所なので真っ暗だった。しかしなぜか部屋の隅に置かれている燭台のおかげで部屋全体を見渡すことができた。
そこでようやく気付いたことがある。僕の目の前に誰かがいるのだ。それも小さな女の子である。しかも全裸の状態で床に転がっている。
歳は七歳から八歳ぐらいだろうか。金髪碧眼で整った顔立ちをしている。だがその表情は暗く沈んでいた。
その子は両手両足を鎖で繋がれていて身動きが取れなくなっていた。
「君は誰?」
僕はただ君に会いたいだけなのに、君は僕を避ける。
それでも僕は君を探すよ。どんなに避けられてもね。
君をこの手で救い出すまで。
僕は何度だって蘇るさ。君のいない世界でなんて生きていけない。
そうして僕らは何度でも繰り返す。
愛しい人を救えなかった悲劇を繰り返して。
また会えたら今度こそ必ず守ろう。だからどうか待っていて。
約束だよ。もう離さない。僕の腕の中においで。
君はきっと来てくれると信じてる。
ああ、やっと捕まえた!これでずっと一緒だ。永遠に離れない。
絶対に逃がさない。もうどこへも行かせない。
二度と離したりしない。何があっても守り抜く。
たとえ君が拒んできても、何を捨てても。
たとえ世界が敵になろうとも、僕だけは味方だ。
君の幸せだけが僕の望み。それ以外何も望まない。
君さえいれば他には誰も要らない。君以外何も必要無い。
君がいない人生なんて考えられない。君がいなければ息ができない。
君を愛している。誰よりも深く強く。
愛している。
「お兄ちゃん、朝ご飯できたわよー!」
階下からの母親の声に俺はベッドから起き上がる。
カーテンを開けると眩しい日差しが部屋に差し込んでくる。今日もいい天気になりそうだ。
階段を降りながらあくびをする。まだ少し眠気が残っていた。
しかし、それは一時的なものでしかない。この先のことを考えると、再び気分が悪くなる。
今はまだ朝の八時だ。こんな時間に家を出ることになるなんて、夢にも思ってなかった。今日は土曜日だから、学校の授業はない。なのになんで僕は朝早くから制服を着て、電車に乗って通学しているのか。答えは簡単だ。昨日の夜遅くまでゲームをやっていたからだ。つまり僕が悪いのだ。
駅のホームに着いてすぐ電車が来た。乗り込んでドアの近くに立つ。僕の降りる駅までは約二十分くらい。その間ずっと立っていなきゃいけないと思うと憂鬱だった。だけど仕方がない。そう自分に言い聞かせて我慢することにした。
車内にはたくさんの人がいた。スーツ姿の男性。OLさんらしき女性。子供連れの母親。学生服を着た男の子たち。みんな笑顔だったけど、どこかぎこちなかった。
『次は~終点。海星町』
アナウンスが流れて扉が開いた瞬間、人がどっと吐き出される。押し合いへしあいしながらホームに降り立った彼らは、一様にほっとした表情を浮かべていた。
「じゃあね」「また明日」なんて声をかけあって別れると、それぞれの家に向かって歩き出す。僕もその中の一人だ。
僕は三ノ宮理生。中学二年生。家族は父さん母さんの三人暮らし。成績はまあまあだし運動だって苦手じゃないけれど、特に取り柄のない普通の中学生だと思う。
「ただいまー」
玄関を開けると、「おかえりなさい」の声と共にエプロンをつけたお母さんが現れた。
「遅かったわねぇ」
「うん……ごめん」
今日は部活もなかったし寄り道もしていないんだけど、友達と話し込んでいたらいつの間にか時間が過ぎてしまっていたのだ。謝りながら靴を脱いでいると、リビングの方からパタパタとスリッパの音を立てて妹が出てきた。
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