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4年制大学では
1年のときに
看護学以外に一般教養の授業がある。
経済学や経営学、中国語やフランス語、
スペイン語などを選択できる。
2年からは看護学中心の授業になる。
“看護”と言っても”患者看護”だけではない。
時代の変化に応じて
家族看護(患者の家族の看護)も勉強する。
一般的には看護の分類として
家族看護の他に
成人期、老年期、精神、小児、母性、地域、
在宅などがある。
その他に公衆衛生、栄養学、微生物学、生理学、
解剖学、薬学、心理学、環境学、生命倫理、
統計学、etc…
疾患別には循環器、呼吸器、脳外科、脳内科、
泌尿器科、皮膚科、耳鼻咽喉科、口腔外科、
形成外科、整形外科、etc…
ヘルスアセスメント、看護研究、看護実技などだ。
座学がある程度終わると
臨地実習がある。
同時に保健師国家試験も受験できるため
産業保健の授業、保健所や企業での実習もある。
さらに成績上位だけがエントリーできる
助産師コースもある。
書き出してみて驚いた。
これほどの量を学んでいたのかと。。
もう同じことはできないと誓って言える。
印象に残っている授業がいくつかある。
まずは精神看護だ。
教員が看護師時代の同期の話しをしてくれた。
当時精神科病院で働いていた同期の方は
とても親切で優しくて
患者さんにしっかり寄り添う看護をして
患者さんにも慕われていたそうだ。
どれほどかというと
病院での勤務時間以外にも
自分の時間を削って
話し相手になるほどだったとか。
精神科病院には統合失調症や躁鬱病、
アルコール中毒などの患者が入院している。
受け持っていた患者さんが
ある日突然自死したそうだ。
昨日までいつも通りに話しを聞いて
寄り添っていたつもりだったが
死を止められなかった。
気付いてあげられなかった。
そのことは自分に責任があると思ったようで
その同期の方もその後すぐに
自死してしまったそうだ。
そのことがあって
教員はわたしたち生徒に
“患者に寄り添うことは大事だけど
患者と看護師はあくまでも他人であって
一線を引くことが
自分を守ることにも繋がる。
決して気持ちを引きずり込まれないように
どうか気持ちを強くもっていてほしい。”
働いてからこの”一線を引く”ことに
どれだけ救われてきたか。
どれだけ守られてきたか。
看護師や医療者にとって
患者との関わりが長いほど、深いほど、
やはり患者の死は悲しい。
その悲しみに引きずりこまれないように
強い気持ちで
凛とした姿勢で
患者を送り出すことも
看護師の仕事だと思う。
わたしは看護師一年目のときに
初めて受け待ち患者が亡くなったとき
昨日まで優しく話しかけてくれた方が
もう二度と話すこともない
声をかけられることもない
握手することもない
体を綺麗に洗うことも
ナースコールにでることも
朝おはようございますと挨拶することも
なにもかもなくなったとわかったとき
涙が止まらなかった。
ポロポロ泣きながら
エンゼルケアをして
ご家族に挨拶をして患者さんを送り出した。
看護記録を書いていると
いつもキビキビしている師長が
全スタッフに向けて穏やかに話してくれた。
『この病棟は急患も急変も多い。
他の病棟より死亡する方も多い。
そんなときにわたしたちにできることは
いつも通りに過ごすこと。
いつも通りに仕事をして
患者さんとすれ違ったときは挨拶をして
スタッフ同士で話したり
笑顔になれることがあれば抑える必要もない。
笑っちゃいけないことなんてない。
決して落ち込んだ空気は作らず
いつも通りに仕事をしましょう。
病院には
亡くなった方もいれば
生きている方もいます。
きちんと仕事をして
家に帰りましょう。』
それから11年働いたが
患者が亡くなったときに泣くことは
一度もなかった。
師長のこの言葉のおかげで
いつも通りに仕事ができたし
仕事を終えたら
きちんと切り替えて家に帰ることができた。
“一線を引く”
自分の心を守るために。