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静かな朝だった。
カーテンの隙間から、わずかに光が差し込んでいる。
——外は、ある。
けれど。
それはもう、遠いものになっていた。
「……」
イギリスは目を開ける。
ぼんやりと天井を見て。
それから、ゆっくりと横を見る。
「……」
そこにいるのは、アメリカ。
すぐ隣で、まだ眠っている。
規則正しい呼吸。
安心しきった顔。
「……」
少しだけ、胸が落ち着く。
——それが当たり前になっていることに、もう疑問はない。
(……ここにいる)
それだけで、いいと感じている。
少し前の自分なら、考えられなかった。
なのに。
「……」
自然と、手が伸びる。
そっと、アメリカの服を掴む。
離れてしまわないように。
「……ん」
小さく動く気配。
「……親父?」
目が開く。
「……はい」
「何してんの」
「……」
一瞬、迷って。
でも。
「……あなたが、いなくならないように」
そのまま言う。
「……」
アメリカが少しだけ目を見開く。
そして。
「……はは」
小さく笑った。
「何それ」
嬉しそうに。
「かわいいじゃん」
「……」
否定はしない。
もう、しようとも思わない。
「なあ」
「……」
「そんな心配しなくても」
手を重ねられる。
「俺、どこも行かねえよ」
「……」
その言葉に、ほっとする。
「……よかったです」
自然に出た言葉。
「……」
アメリカは少し黙って。
それから、ゆっくりと笑う。
「親父さ」
「……」
「前と全然違うな」
「……」
「前はさ」
軽く肩をすくめる。
「外行きたい、とか」
「……」
「フランスに会いたい、とか言ってたのに」
「……」
その名前に。
ほんの一瞬だけ、何かが引っかかる。
けれど。
「……」
それはすぐに消える。
「……今は」
小さく呟く。
「……思い出せません」
「……」
一瞬、空気が止まる。
「……ほんとに?」
「……はい」
ゆっくり頷く。
「……大事な人だった気がしますが」
「……」
「……もう、いいです」
はっきりと言う。
「……あなたがいますから」
その言葉は。
完全に、迷いがなかった。
「……」
アメリカは何も言わない。
ただ。
じっと見つめてくる。
「……なんですか」
「……いや」
少しだけ息を吐く。
「すげえなって思って」
「……」
「ちゃんと消えた」
「……」
その言い方に、違和感はある。
でも。
それを深く考えようとはしない。
「なあ」
「……」
「ここ、嫌じゃない?」
「……」
部屋を見る。
閉じられた空間。
外はない。
でも。
「……はい」
即答する。
「……ここが、落ち着きます」
「……」
「……ここが、私の居場所です」
そう言い切る。
その瞬間。
アメリカは、ゆっくりと笑った。
「そっか」
満足そうに。
「よかった」
「……」
「じゃあさ」
「……」
「ここが世界でいいよな」
「……」
一瞬も迷わず。
「……はい」
頷く。
「……ここが、すべてです」
その答えに。
アメリカは、静かに息を吐いた。
「……やっとだな」
「……」
「ずっと欲しかった」
ぽつりと。
「親父の世界」
「……」
その意味を、深く考えない。
考える必要もない。
「なあ」
「……」
「もう外いらないよな」
「……はい」
「他のやつも」
「……はい」
「俺だけでいい?」
「……はい」
全部、迷いなく答える。
そのたびに。
アメリカの表情が、少しずつ緩んでいく。
「……よし」
満足したように頷く。
「じゃあ決まり」
「……」
「ずっと一緒な」
「……はい」
その言葉に。
何の不安も感じない。
ただ。
安心だけが残る。
「なあ、親父」
「……」
「好きだよ」
「……」
一瞬、目を伏せて。
「……私も、好きです」
ゆっくりと答える。
その“好き”が、何を意味しているのか。
もう、深く考えることはない。
「……そっか」
アメリカは、満足そうに笑った。
「それでいい」
「……」
その言葉に。
ただ、頷く。
⸻
外は、確かに存在している。
広い世界も。
人も。
記憶も。
すべて、どこかにある。
けれど。
この部屋の中には、必要ない。
ここには。
アメリカがいて。
イギリスがいる。
それだけで、完結している。
「……」
イギリスは、そっとアメリカに寄り添う。
もう、離れようとは思わない。
思えない。
思う必要もない。
「なあ」
「……はい」
「ここでいいだろ」
「……はい」
その答えは。
完全に、本心だった。
⸻
——ここが世界。
それ以外は、もういらない。
最終話でーす
最近主はイギが可哀想なアメイギに
ハマっております😙
暴力表現入れてもいいかなー?と思ったけど
少しずつイギリスから堕ちてく感じが書きたかったので今回のような感じにしました!
最後まで読んでくれた皆さんありがとう😭😭
もし良ければ次の作品のリクエストください
おねがいしますm(_ _)m