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忘却の青

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忘却の青

2 - 第2話-理由

♥

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2025年04月02日

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結局、翔太と会えたと思ったのに連絡先とか聞かずに帰ってきてしまった。


高校時代、連絡先は交換していて、離れた後も連絡はとっていたのに、ある日突然音信不通になってしまったのだ。


でも翔太は、俺のことを知らないみたいだった。有り得るのは記憶喪失。もう一度翔太と会いたい。


それから──



まさか同じ職場で再会するとはおもわなかった。


初めての業務説明の場で、翔太が俺と同じ部署に配属されたと知ったときは、心臓が跳ねるような感覚だった。


💙「これからお世話になります、渡辺翔太です」


挨拶する姿を見て、俺はあの頃の翔太を思い出した。


俺のことは覚えていなくても、やっぱり翔太は翔太だ。


💙「あ、あの時の…」


そう言いながら翔太は俺の方に来た。


💚「あぁ、あの時はすみません。人違いでした」


少し苦笑いになりながら、翔太と会話する。


💙「いえいえ、これからお互い頑張りましょうね」


翔太と敬語で話すの、ちょと変な感じ。

猫を被っているのか、いつもなら見れないぐらいのニコニコな可愛いスマイル。

いつもなら、少し素っ気ない感じで、でも優しくて。



昔のことが思い出される。



仕事終わり、翔太が一緒に帰ろうと誘ってきた。



💙「阿部って、阿部亮平だよね…」


仕事終わりに二人で並んで帰る道すがら、翔太はぽつりと呟いた。


💚「当たり前じゃん、急にどうしたの?笑」


俺は笑いながら翔太に問いかけた。


💙「阿部と話していると、なんか、すごく懐かしい感じがする」


俺の胸が僅かに締め付けられる。


💚「そっか… 」

翔太は少し考えるように視線を落とした。


💙「あのさ、実は、事故にあったことがあって…… その、逆行性健忘ってやつなんだ」


💚「…え?」


聞いたことはある。

逆行性健忘。記憶喪失の一つ、その人との思い出がごっそり抜けてしまったり、「見たことある気がするけど、誰かわからない」状態になることもある。


💙「ごめん。もっと早く言うべきだった…」


💚「事故って、大丈夫なの?」


💙「うん。大学に入ってすぐの頃だったかな。大した怪我はないよ。でも…」


💚「良かった、でも、俺との思い出は消えちゃったってことかな?」


💙「そうみたい。家族とか友達にはいろいろ話してもらったんだけど、阿部のことだけ思い出せなくて……」


言葉を詰まらせる翔太に、俺は静かに微笑んだ。


💚「そっか。でも、またこうして会えたんだから」


翔太は驚いたように俺を見た。


💙「……うん。」


少しずつでいい。


もう一度、翔太の隣にいられるのなら。


たとえゼロからでも、やり直せる気がした。


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