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和樹は当てもなく家の中を歩き回った、こんな事が世の中にありうるのだろうか?実の父親が息子の婚約者を寝取り、将来をぶち壊すなんて!!
和樹は全てが信じられなくて頭が変になりそうだった
「あの父親は・・・僕の愛する人を奪った・・・」
そう考えれば考えるほど父親の狂気に戦慄した
また部屋に戻って「リキッドエクスタシー」入りのウィスキーを煽った、そしてまたズカズカ家の中を歩き回った、じっとしていられなかった
父が憎い・・・父は僕の裏をかき、欲しいものを手に入れるためなら手段を選ばない男
「それに百合もずっと僕に隠していたなんて・・・でもそれは何か訳があるはずだ・・・そうだ、きっと百合はあの非道な父親に騙されているんだ、百合は・・・僕の天使は悪くない」
その声には怒りと共に、深い傷が滲んでいた、和樹の顔が歪んだ、嫉妬、愛、父親への複雑な感情が彼の中で爆発した
百合もあの父親の外見に騙されたのかもしれない、だって父はその気になればとても魅力的な男になれた
―お前の人生で父は邪魔だ―
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誰かが和樹の耳にささやいた
―あの父がいる限りお前は惨めな人生を送るぞ―
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和樹は自然と庭に足取りを向けた、誰かがまだ和樹にささやく
―アイツがいなくなれば百合はお前の元に戻って来るさ―
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よく手入れのいき届いた庭の奥をずんずん進むと、そこには大きな納屋があった
―そうだ!そこだよ!兄弟―
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誰かがここに自分を導いたと思った、和樹は納屋の隅に置かれた古い木製のキャビネットに手を伸ばした
そこには、父が若い頃、六甲のイノシシ狩りで名を馳せた父のトロフィーと趣味で集めていた猟銃がしまってあった、和樹は父が集めた猟銃のコレクションを眺めた、黒光りする死の武器をじっと見つめた
―キャビネットを開けるんだ!兄弟!そこにお前の欲しいモノがあるぞ―
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声の命令のまま、和樹は扉を開け、一丁の猟銃を取り出した、古びた猟銃の金属が、ランプの光に冷たく反射する、父に昔教わった通り猟銃に、弾丸を装填して、安全バーを降ろし、撃てるように確認した
鼓動が激しい、目の前が真っ赤だ
ドクン、ドクン・・・
―お前の憎い父親は離れにいるぞ!―
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和樹は向きを変え、別棟へ向かう道を戻り始めた、父がこれほど邪悪なのはきっと病気なんだ、脳梗塞になった母は父に愛想をつかされたことを受け入れられなかった、今は良くてもすぐに百合もそうなるに決まっている
―だからお前が百合を助けてやるんだ―
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百合は悪魔に魂を奪われてしまったんだ、父という名の悪魔に・・・だからあの狂った行動は決して彼女のせいではない、だから悪魔を殺せば彼女は僕の元へ帰って来る
―さぁ、ドアを開けるんだ!和樹!悪魔はここにいる―
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その声には怒りと共に、深い傷が滲んでいた、猟銃を持っている和樹を見た途端、隆二の顔が歪んだ、和樹の心中は、嫉妬、愛、絶望、父親への複雑な感情が爆発して、目の前の巨大な悪魔を倒す事だけに集中した
「百合を返せ!!」
和樹の声は狂気じみていた、銃口が隆二に向けられる、隆二は一瞬怯んだが、すぐに目を燃やした
「撃てるもんなら撃ってみろ!
和樹は一歩踏み出し、銃口を真正面から見据え、目の前に仁王立ちになっている全裸の隆二に向かって引き金を引いた
ズガ――――――ンッッ!!