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💙「来ちゃった」


💛「……………」



翔太がここのところ、また俺の家に立ち寄るようになった。

少し前に、向こうのタイミングで急に来なくなり、てっきりもうこのまま来ないのかと思っていたら、また気まぐれに立ち寄る期間が始まったようだ。


今はちょうどドラマのクランクインの前で、時間の融通が少しは利くらしい。始まったら当分来られないようなことを少し前に来た夜に、酒に酔いながら言っていた気がする。


最近ではふっかとニアミスすることもあり、俺は内心ヒヤヒヤしていた。



💛「ねえ、連絡してよ」


💙「なんで?サプライズみたいで嬉しくない?」



翔太はコーヒーを淹れる俺に、後ろから腰に手を回してくっついている。邪魔してるのかと聞いたら、応援、と笑っている。動きづらいけど、俺には可愛く感じて、つい許してしまう。



💛「俺、今日はもうちょっとしたら出るよ」


💙「マジ?どれぐらいいられる?」


💛「2時間くらいかな」


💙「えー」



言うなり翔太は、淹れ終わったコーヒーを二つ、ソファの前のローテーブルに急いで運び、早く早くと俺を呼ぶ。



💙「時間、なくなっちゃう」


💛「だから先に連絡してくれれば…」



言いかけた俺の唇を、翔太の唇が塞いだ。

コーヒーなんて要らなかったな、と翔太の服を脱がせながら、頭の隅で俺は思う。


俺がふっかと付き合っているのを知っていながら、この仔猫みたいに気まぐれな翔太は時々家へとやって来るようになった。


それこそ、意図に気づいてからは何度も追い返したが、ある冬の冷たい雨の夜に、ドラマみたいにびしょ濡れで玄関先に立っていて、思わず放って置けなくて家の中に入れてしまった。


その日に身体の関係を持ってしまってからは、俺は翔太を拒否することが出来ないでいる。

今考えれば、あれも翔太の計算だったのかもしれない。


まあ、始まりが何であれ、言い訳はしない。俺が最低な男であることには変わりはないのだから。


つい数時間前までふっかが座っていたソファに、翔太を押し倒す。回数を重ねるにつれ、罪悪感はもうだいぶ薄れてきていた。



💙「照、俺を見て」


💛「見てる」


💙「俺だけを、見て」



そう言って、俺の首に両手を回してくる色っぽい翔太の、言葉の真意がわからない。口付けをしている時、愛撫の最中、イクときですら、翔太から俺は目を離すことを許してもらえない。ふっかのことを考えて、つい上の空になると、翔太に必ず釘を刺される。


俺だけを見て、と。


翔太が何も言わないので、一度、言ってみたことがある。



💛「俺、ふっかにこのことをちゃんと話そうと思う」


💙「話してどうすんの」


💛「ふっかに謝る」


💙「照が謝っても俺は来るよ」


💛「ふっかが許してくれたら、もう本当に家に入れない。家も引っ越す」


💙「できるの?そんなこと」


💛「たぶん」


💙「たぶんじゃ、だめじゃん(笑)」



翔太に自分の中の弱さを見透かされて、笑われてしまって、結局その直後も翔太を抱いてしまって、その件は情けなくも、うやむやになってしまった。



また、ある夜の会話。



💛「俺のことが好きなの?」


💙「好きじゃなきゃこんなことしない」


💛「ふっかと別れてほしいの?」


💙「そんなことは望んでない」


💛「……………」



じゃあ、終着点はどこなのか。



俺はもう考えないようにした。

世の中の、不倫をする男というものは、こういう気持ちの悪さをどう処理しているのだろう。俺みたいに見ないふりをしてるんだろうか。


家にこうして二人でいる時以外は、翔太は見事に全く態度に表さなかった。


仕事で会う時には、ごく普通に接してくる。俺がふっかと話していると、別にそんなこと何でもないみたいに、自然と身を引いていた。


翔太といる時にふっかの名前を出すのも俺からだけだ。ふっかを気にしているふりをしながら、翔太に罪の意識をなすりつけている。

俺はそんな自分自身に反吐が出そうだった。しかし、それも見ないふり。



何も知らないふっかと。何もかも知っている翔太と。



しかしその綻びは突然、現れた。

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コメント

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こんばんは〜 昨日夜勤で来なかったら1日でいっぱい話が上がっていてこれからゆっくり楽しみます😊 って今回はひーくん優柔不断な感じがしますが💦悪い男💦 とりあえずこれからどんな綻びがあったのか楽しみに続き読ませて貰います(*´ω`人)~♬

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