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金曜日の夜。ソラが消えてから、ちょうど1週間が経った。
善哉はひとり、街をふらついていた。
仲間がひとり、またひとりと消えたあと。
気づけば、自分だけが取り残されていた。
「……まあ、飲むしかねぇよな」
――――
入ったのは、以前にも来たことがある駅裏の立ち飲み屋。
焼き魚と、ぬる燗。いつも通りだ。
特別なものじゃない。けれど、落ち着く。
2杯目を飲み終えたころには、すっかり身体が緩んでいた。
「はぁー……帰るかな……」
そう言いながら、横のベンチに腰をかける。
ふとした静けさ。タバコに火を付けようとした時、
風が止まったように感じた。
――――
善哉はそのまま、ゆっくり目を閉じた。
…………
……どれくらい、眠っていたのか。
気づくと、またあの世界だった。
――――
広がる、白く静かな空間。
見覚えのある、寿司屋のカウンター。
あのときの魚の匂い。火の揺らぎ。
静かすぎる空気の中で、善哉はゆっくりと起き上がる。
カウンターには、一枚の名刺が置かれていた。
善哉はそれを、何気なく手に取った。
そこには、はっきりとこう書かれていた。
――――
寿司割烹 ととや
「……見えた、名前が……」
その瞬間。
善哉の視界が、白く染まった。
音が消える。
重力が抜ける。
風が巻く。
そして善哉も、消えた。
1部 完