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「私の今予想しているストーリーだと、ルイス王太子の卒業式にイザベラを虐めたとフローラ様が断罪されて、ルイス王太子とイザベラがくっつきます。弟の婚約者に手を出していることについては問題にならないのでしょうか?」
私がイザベラ以外のヒロインを探している理由。
それは、ヒロインが弟の婚約者なのはおかしいと言う点だ。
「おそらく、そのストーリだとすると、兄上は廃嫡になるでしょう。イザベラも僕との婚約は難しくなります。僕が次期国王として王太子になり、7歳から王妃教育を受けているフローラ様と婚約することになると思います。フローラ様は人望も厚いので、イザベラを虐めたと兄上が主張したとしてもその主張が通るとは考えにくいです。公爵令嬢である婚約者を7年無視し続けた上、無実の罪を被せようとしたのだから兄上の方が逆に断罪されると思います」
ルイ王子が淡々と言う言葉に私は青ざめた。
先ほど、私を愛していると言ったのにルイ王子は私と婚約破棄になってフローラ様と一緒になっても平気なのだろうか。
「今、気が付きました。この物語、おそらく私の信者が作っています。私の信者はものすごい内面に攻撃性を持った人間が多いです。珠子は女子より15センチは身長が高く、男役のように女子から惚れられることもありました。私に本当に百合的な感じで恋をしてしまう子もいて、そういった子は取り扱いが難しかったです。少しでも傷つけると目が急に攻撃色に変わるのです。でも、私を好きでいる時は信者のように私を慕ってくれました。私が、世界を嫌いと言えば世界を焼き尽くしてくれるような慕い方です。私がアウトローな男が苦手なのは有名な話で、私が生まれながらの可愛い子に嫉妬しているのは近くで見てれば気が付くかもしれません」
私はこの物語が私をモデルにしたフローラ様と、私が大好きな正統派王子であるルイ王子とくっつけてあげようとする信者の創作だと予想した。
「つまり、珠子様の言うところのざまぁ要員は、アウトローな雰囲気を纏わされている兄上と、生まれながらに可愛いイザベラだと言うことですか?」
ルイ王子、流石に理解が早すぎるだろうと私は突っ込みたくなる。
アウトローの意味は文脈から理解したのだろうか。
「その通りです。何の罪もない人間を信仰する私のために破滅させる。信者の創作しそうな物語です。あの、私は今イザベラなのですが、ルイ王子と結ばれるにはどうしたら良いでしょうか?」
このままだとルイ王子と結ばれるのはフローラ様ではないか。
私は優秀なルイ王子に私と彼が結ばれる方法を考えてもらうことにした。
「そのストーリーだった場合は、ショタ枠の弟ル・レオの誕生を待って、僕と珠子様でレオ国を脱出するしかないでしょうね」
2年前、私が何気なく兄ルイスとルイ王子の名前が似てることをおちょくって、ショタ枠の弟ルと会わせてと言ったことを彼は覚えている。
流石に適当に会話しているのに、そこまで覚えられていると話を聞いてくれて嬉しいのと同時に怖くなってくる。
そしてイザベラを愛しているという嘘はついても、私を喜ばせるために国を捨てて逃げるとは言わないらしい。
あくまで彼はレオ国を第一に考える人だと言うことだ、そこについては嘘はつけないのだろう。
「レオ国は直系しか王位を相続できないのですね。ショタ枠の弟ル・レオは今から誕生したりするのですか?」
国王陛下と王妃様が何歳かは知らないが、ルイ王子から随分間が空いている気がした。
「可能性はありません。父上と母上は僕が誕生してから一度も一緒に寝ていません」
12歳の男の子が親の夜の夫婦関係を知っているのは普通なのだろうか。
ルイ王子は理想の王子様だが、不思議な王子様だ。
「ルイ王子正直にお答えください。人生何周目ですか?」
私は彼につめよるようにして尋ねた。
「一周目ですよ。レオ国生まれの12歳のルイ・レオです」
彼が微笑みながら返してくるが、色々と謎が多い男だ。
「あの、私のことを愛していると言いましたよね。私と結婚できずフローラ様と結婚しても良いのですか?」
それにしても新しく予想した珠子信者創作のストーリーだと私とルイ王子はくっつかない。
その事実に気がつきながら、どうしてルイ王子は平然としているのか。
やはり私を愛していると言うのも嘘なのではないのか、私は気持ちがモヤモヤしてきた。
「それは嫌ですね。信者の方に珠子様がイザベラの中に入ってしまっていることを、お祈りして報告しましょう。そうすればお話が変わるかもしれませんよ」
彼は微笑むと目を閉じてお祈りのポーズをした。
金色のまつ毛が長くて、本当に見惚れるほど美しい王子様だ。
それにしても、解決策はそれしかないのだろうか。
「私もお祈りします。ルイ王子と結婚したいです。愛しています」
私はルイ王子に改めて気持ちを伝え、一緒にお祈りをはじめた。
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