テラーノベル
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(ああ、もう本当に……何なんだこの可愛い生き物は……)
俺は彼女を優しく抱き寄せ、肩まで毛布をかけてあげた。
すると、リリアーヌは俺の胸に顔を預け、ふぅ、と安心したような、甘い息をつく。
「……デューク、あったかい」
「リリアーヌもあったかいよ。ずっとこうしていたいぐらいだな」
俺たちはしばらく無言で、お互いの心臓の音を聴きながら、温もりを感じ合っていた。
窓の外では、平和な王都の街並みに、祝福のような朝日が燦々と降り注ぎ始めていた。
(ああ、平和だ。本当に……)
異世界に来て、絶望の処刑ENDを回避するために必死で走り回って。
まさかこんなにも心安らげる、至福の時間を持てるなんて、前世の孤独な俺には想像もできなかった。
前世では、朝から晩まで数字に追われ
週末は虚しく休日出勤。
趣味も恋人もなく、未来はただの灰色の延長線上。
それが今は、この世界で一番愛する妻が腕の中にいて、最高の仲間たちがいて、守るべき平和がある。
「……デューク? 何か考え事?」
俺が黙り込んでいたせいか、リリアーヌが不安げな表情で俺の顔を覗き込んできた。
「ああ、ちょっとな。……色々と考えさせられることがあって」
「……なんのこと?」
「もちろん、君のことだ。リリアーヌとこうして過ごせる今の自分が、どれだけ幸せか……それを噛み締めてたんだよ」
「幸せ?」
「ああ。こんなに可愛いリリアーヌが俺の腕の中にいて、俺を愛してくれている。これ以上の幸せなんて、この世には存在しないよ」
本心からの言葉だった。
すると、リリアーヌは嬉しそうに目を細め、幸せそうに微笑んだ。
「ふふ、……私も……幸せよ。貴方がいてくれて、本当に良かったわ」
照れ隠しからか、ぐいぐいと俺の胸に顔を埋めてくる。
その甘え方が本当に小動物みたいで可愛くて、俺は愛おしさを込めて彼女の頭を何度も撫でた。
◆◇◆◇
それから数時間後…
結局、心地よさに負けて二人して二度寝してしまい
再び目が覚めたときも、まだリリアーヌは俺の隣ですやすやと寝息を立てていた。
気持ちよさそうに寝ていたので、起こさないようにそっと立ち上がろうとした、その時。
リリアーヌが、無意識に俺の服の裾をぎゅっと掴んだ。
「リリアーヌ? 起きてたのか」
「んん……どこ行くの…っ?」
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