テラーノベル
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昨夜から、施設内で停電が増えていた。
電気が消えるたび、誰かの悲鳴が聞こえる。
暗闇になると、“存在”が不安定になる。
皆もう、それを理解していた。
私はまた、一睡もできないまま朝を迎えた。
机には、昨夜見つけた名前が書き写されている。
昨日までいたはずの、思い出せない誰かの名前。
でも、
今朝になると、その文字が読みにくくなっていた。
見えているのに、頭が認識できない。
焦って何度もなぞる。
🇯🇵「ちが……」
「忘れちゃだめっ……」
なのに、書けば書くほど、 文字が知らない形に見えていく。
イギリスがおかしくなったのは、いつからだったんだろう。
最初は、本当に普通だった。
紅茶を飲みながら皮肉を言って、
🇬🇧「こんなのすぐ元に戻るでしょう」
って笑ってた
。
皆が不安になってる時も、
🇬🇧「幽霊でも出るなら面白いですね」
なんて言っていた。
でも。
その笑顔は、少しずつ減っていった。
食堂へ向かう途中。
廊下で、誰かが壁に頭を打ち付けていた。
?「思い出せ!!」
?「なんでだよ!!」
あと…
自分の名前を壁に刻んでいる国がいたり
別の場所では、泣きながら国旗を描いている国もいる。
でも色が思い出せず、 途中で手が止まっていた。
周囲の国たちは遠巻きに見ているだけ。
止められない。
自分も同じになるかもしれないから。
食堂はさらに酷かった。
会話がない。
皆、紙やスマホに自分の情報を書き込んでいる。
国旗
人口
首都
言語
名前
忘れないように。
自分を保つために。
そして、窓際をみたら。
イギリスさんが居た
でも。
もう半分以上透けていた。
背景が身体を貫通して見えている。
輪郭はノイズみたいに揺れていた。
それでもイギリスは、私を見つけると少し笑った。
🇬🇧「……おはようございます…」
声まで遠い。
ラジオの雑音みたいだった
🇯🇵「なんでこんなになるまで……!」
声が震える。
イギリスは困ったように目を細めた。
🇬🇧「だって」
「怖かったんだもん」
その言葉が、子供みたいで。
胸が締め付けられる。
イギリスの腕には 全部、同じ文字があった
「イギリス」
「イギリス」
「イギリス」
何百回も。
でも途中から、文字が歪んでいた。
それに、肉も、見えているくらいに傷つけて、自分を忘れないように…
🇬🇧「昨日さ」
イギリスがぽつりと呟く。
🇬🇧「廊下で、フランスに話しかけたんですよ」
少し笑う。
🇬🇧「でも、無視されちゃった」
息を呑む。
🇬🇧「聞こえてないのかなって思ったんです」
「だから肩叩いた…」
震える声。
🇬🇧「そしたら、びっくりした顔されたんですよ…」
イギリスは俯く。
🇫🇷『……誰?』
🇬🇧「って…言われて…」
その一言だけで、 どれだけ傷ついたのか伝わってきた。
🇬🇧「ああ、始まったんだって思った」
イギリスは静かに笑う。
でも目には涙が溜まっていた。
🇬🇧「皆、私を忘れてく」
私は必死に名前を呼ぶ。
🇯🇵「イギリスさん…!」
すると少しだけ輪郭が戻る。
イギリスは安心したみたいに目を閉じた。
🇬🇧「貴方の声、好きですよ…」
その時。
ドイツさんが、不思議そうにイギリスを見る。
🇩🇪「……誰だ、その人」
背筋が凍る。
スペインさんも眉を寄せた。
🇪🇸「前からいた?」
イギリスの手が震える。
指先が、さらさら崩れ始める。
白い砂になって落ちていく。
🇬🇧「ねぇ」
イギリスが小さく言う。
🇬🇧「もう一回、名前呼んでっ…」
私は泣きそうになりながら答える。
「イギリス」
🇬🇧「もう一回」
「イギリス」
🇬🇧「……もう一回」
声が掠れていく。
何度も呼ぶ。
叫ぶみたいに。
消えないでって願いながら。
でも。
突然。
頭の中が真っ白になる。
名前が出てこない。
主人公の顔から血の気が引く。
🇯🇵「え……」
わかる。
わかるのに。
どうしても思い出せない。
イギリスはその顔を見る。
数秒、黙っていた。
それから。
泣きそうに笑った。
🇬🇧「そっか」
その声は、優しかった。
優しすぎた。
🇬🇧「……貴方まで忘れちゃったなら」
「もう、仕方ないですよね…」
私は首を振る。
🇯🇵「違う!!」
「違うから!!」
でも名前が出ない。
どれだけ叫んでも。
イギリスの身体が崩れていく。
肩が消える。
腕が砂になる。
輪郭が空気に溶ける。
🇬🇧「あの……」
イギリスが掠れた声で言う。
主人公は涙で滲む視界の中、顔を上げる。
🇬🇧「私、ちゃんと存在できてたかな」
喉が詰まる。
🇬🇧「国としては、最悪だったかもしれないけど」
少し笑う。
いつもの皮肉っぽい笑い。
でも震えていた。
🇬🇧「貴方と話してる時間は、好きだったよ」
涙が零れる。
🇬🇧「だから」
イギリスの声が崩れる。
🇬🇧「最後に君が覚えててくれたなら」
「それだけで——」
言葉が途切れる。
身体が一気に崩壊する。
🇯🇵「待って!!」
手を伸ばす。
でも掴めない。
白い砂になって、指の隙間から落ちていく。
最後に残ったのは、 涙を流しながら笑う顔だけだった。
🇬🇧「……ありがと」
次の瞬間。
イギリスは消えた。
静まり返る食堂。
周囲の国たちは、不思議そうに床を見るだけ。
🇺🇸「Japan、なんで泣いてるんだ?」
アメリカ…さんが言う。
答えられない。
胸が苦しい。
息ができない。
大切な誰かが消えた。
それだけはわかる。
なのに。
🇯🇵「……誰、だっけ」
名前が思い出せない。
声も。
顔も。
全部、白く塗り潰されていく。
それでも涙だけは止まらなかった。
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食べれるすぽんじ@🐢投稿
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コメント
2件
やめてぇぇぇぇ!! 急展開すぎて… それに…、イギリスぅぅ…お前!!いい奴だったよ…
読んだ……読んだよ……😭💔 もう最初から最後まで胸が苦しすぎる……! 「怖かったんだもん」って子供みたいに言うイギリスさん、自分を忘れないように腕に名前を何百回も書き続けてたってところがもう辛すぎて……。 最後に主人公も名前を思い出せなくなって、「そっか」って泣きそうに笑うシーン、声が出なかったよ……「ありがと」って消えるイギリスさん、エモすぎて涙が止まらん😢✨ 存在を忘れられる恐怖と、それでも誰かに覚えていてほしいって願う切なさがズシリと響いた……続きが気になりすぎる!! ゴリぃぃぃぃラァさん、この悲壮感と優しさのバランスが天才的すぎるよ……!