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日本以外の「ホテル リベルテ」の経営に携わるため、私達はしばらく海外で暮らすことになった。
お父様は、早く龍聖君に社長の椅子を譲りたいみたいで……
今回はそのための大切な修行だと、龍聖君が話していた。
向こうには鳳条グループの所有する別荘があり、写真で見たら、それはまるでハリウッドセレブが暮らす豪邸のようだった。まさかそんな素敵なお家が新居になるなんて、嘘みたいだ。
日本を離れるのはすごく寂しいけれど、龍聖君の側にいたい気持ちは曲げられない。
私は、仕事も辞め、碧や仲間のみんなともお別れをして、最後に両親の暮らす実家に向かった。
お父さんがどうしても会いたいと言ってくれて。
数年後には日本に戻ってくるものの、旅立つ前に私も両親には会っておきたかった。
実家に着くと、まず最初に敷地内にある桜の木に目がいった。桜の花びらは全部散って、今はただの「木」になっている。それでも私にとっては思い出のいっぱい詰まった大切な「木」だ。
「ただいま」
そう小さくつぶやいたら「おかえり」って、私を温かく迎えてくれている気がした。
お願いだから、この先も……どうかお父さんとお母さんを見守っててね。
「ただいま」
「琴音、おかえり」
「2人とも元気だった?」
「元気だよ。悪かったな、忙しいのに。色々準備が大変だろ?」
お父さん、今はとても顔色が良い。
何だかホッとする。
資金繰りが大変だった時は、毎日生きた心地がしていなかったと思う。
本当に……この両親の笑顔は、龍聖君がくれた贈り物だ。龍聖君の融資が無ければ……と思うと、本当に怖くなる。
「大丈夫だよ。私は自分のペースで準備してるし、慣れないことばかりだけど、今は毎日楽しく過ごしてるから。何もかも新鮮で刺激になってるよ」
「それなら良かったわ。でも琴音が海外で暮らすなんて、本当に大丈夫なのかしらね」
心配性のお母さん、いつまでたっても私は小さなこどものままなんだろう。
「心配しなくてもいいよ。そうだ、落ち着いたら1度遊びに来てね。龍聖君、絶対に喜んでくれるから」