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※この物語はフィクションです。

実在の人物及び団体、事件などとは一切関係ありません。


〈File87:藪に煙〉

「カグヤのお父さん、誰かに連れて行かれた……」

もう何度目かわからない。

後ろから突き落とされ、失意の底を這うような気持ちに、目の前が真っ暗になる。

リンダの言葉にウソはないとわかってて、それでも清掃用カートの中を検めずにはいられない。

残されていたのはリンダが使った清掃員風の制服や帽子、軍手だけだ。

父はいない。

それでも瞼が凍り付いたように、カートの中から目が離せなかった。

また、消えてしまった。

今度こそ本当に?

脳が痺れたように、息の仕方がわからなくなる。

「――おい、どうしたんだ?」

トイレの外で待機している智世の焦れた声が、感覚を急速に呼び戻した。

ふと、背中に触れる温もりに気が付いた。

リンダがスマホを片手に私の背中を擦って***********

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君の背骨に棲みたい

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