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【あんたのせいでしょ】 作 夢宮 楓
『あんたのせいでしょ?』
『……ごめん……なさい』
『あーごめんなさ〜いですむと思ってんの?』
『……』
私は、いけないことをした。
そう私は、人を、階段から突き落としてしまったのだ。
『あんたのせいで、私の脚も、夢も全て失ったのよ?どうしてくれんの?』
『……』
彼女の目の周りは赤く腫れている、きっと泣いたのだろう。私よりも、もっと。
『……何か言ったらどうなのよ!!』
『……っ』
『は?……あんた泣いてんの?』
『……ひっ、ごめ……んなさ……い』
私は、怒鳴られるだけで、昔の嫌な思い出を思い出してしまい、泣いてしまう。
怒鳴られるだけで、頭の中に鮮明に思い出すのだ。母親に怒鳴られ、殴られた。あの感覚を……。
『……っ……っ』
『あー、もういいわよ、もう泣かないでよ。そっちの方が嫌だし……』
『……っぅ……』
『ねぇ、私、あなたがしたこと許せないの……』
『ごめん……なさ……い』
『だから、1つ、私が今から言うこと聞いて欲しいんだけど?』
『……っ……なっ……なに……?』
オドオドしながら、彼女をみる。私ができることを考えると、死ぬことしかできない。
しかし彼女が言ったのは、私が考えていたことよりも、もっと不思議なことだった。
『私の友達になって、そばにいてくれない?』
『……え?』
『1人だと、まだ慣れないから不自由なの、あなたが責任をもって、そばにいて、私の手伝いをしてほしいの』
『……あの……』
『ダメ?……できないって言うの?私の脚や夢を奪っておいて?』
『やっやります。もしそれで少しでも気が済むのなら、私、精一杯お手伝いさせていただきます!!』
『……じゃあしっかりと、これからよろしくね』
『うん』
私は、彼女が、女神にみえた。優しくて、いい子なんだって……そして何より、私がしてしまったことについて……もっと自分をせめた。
『なんてことしちゃったんだろう』ってね。
数日がたった。彼女は学校に復帰した。
『おはよう〜』
『おはよう』
学校で、みんなからみられる私への目線はすごく、痛かった。
『静奈、ここ坂だから、少し手伝ってくれない?』
『あぁ、うん。わかった』
少し傾斜がついた坂の道、私は彼女が乗ってる車椅子を押した。
『ありがとう』
彼女はニコって私に笑いかけてくれた。
病院に毎日、お見舞いに行っていた私はこの前、2人で自己紹介をしたの。
『私は、加原智美(くわはらともみ)、あんたと同じクラス、よろしくね』
『……うん』
彼女は、みんなから、とても人気のクラスのアイドルだった。見た目は、綺麗で可愛くて、少しギャルっぽい?見た目をしていた。
『あんたの名前、教えて、自己紹介』
『あ……うん、私は、戸谷静奈(とたにせいな)』
『じゃあ、静奈って呼ぶからね』
『うん』
『私のことは……智美って呼んで』
『あ、うん、わかった』
『じゃあ、呼んでみて?』
『とっとっ智美……ちゃん』
『ちゃん付けなし〜、もう一回!』
『とっ智美』
『静奈、あんたかわいいな……、名前呼ぶだけで顔真っ赤になってるよ』
『……なっ』
あはははって明るく笑いながら、私に言う彼女、私は心臓がなぜかドクンドクンと大きく鼓動をうっていた。
『静奈、ねぇ静奈ってば!!』
『……え?あっごめんなさい。少しぼーとしてた』
『……なーに考えてたの〜?もしかして好きな人とか?』
『ちっ違うよ、ただ、その……(ゴニョゴニョ)』
『ふ〜ん、まぁいっか、いつかは聞くからね〜静奈の好きな人♪』
『……そっそんな〜』
『ぷっあははは、可愛すぎる〜最高〜♡』
『っ……もう、とっ智美ったら』
『ぷっあははは、名前呼ぶのまだ慣れないの?』
『……うん、まだ慣れない、けど頑張るから』
『静奈ってそういうところが可愛いわ』
『……そうかな?』
『うんうん』
彼女は笑顔で良くしてくれる。私は忘れない、私がしたこと、どんなに時間がたっても、私は忘れない。彼女にしてしまったことへの償いはこの先ずっとすると心に決めたんだから。
しかし、私の思いも、あえなく、終わってしまうのだった。
『ねぇ静奈、私さ、静奈と遊園地行きたい』
『遊園地?……行ってなにするの?』
『……それはね、内緒』
『わかった。いこう』
『やった〜』
彼女のこの素敵な笑顔も……私は忘れない。
絶対に忘れない。
予定、日曜に遊園地に行くことに決まった。
待ち合わせは彼女の家の前。
土曜日の夜、私はいつも通り智美に携帯で電話しようとしたが、その日はなぜか、繋がらなかった。
遂に日曜日になった。私は支度をして、彼女の家の前で待っていた……が何時間経っても彼女はでてこなかった。
『どうしたんだろう……ひょっとして、私、日にち間違えた?……どっどうしよう』
(ピーピピピーピーピピー)
あ、電話がなってる。
『あっもしもし、智美……?』
『……うわぁぁぁ(遠くから聞こえる)っ!!』
『とっ智美、どうしたの?大丈夫っ?』
……少したった後、男の人の声が電話から聞こえてきた。
『……あ、どうも、静奈さんでしょうか?』
『……え?はい……』
『私は智美お嬢様の執事の立沢と申します。』
『智美は?智美になにかあったんですか?』
『あ、いえ……ただいつもの発作かと』
『ほっ……さ?』
『あ、え?知らなかった?申し訳ありません、今のは聞かなかったことに……』
……発作なんて、私の前では起きたことないし、智美が苦しんでるなんて……みたことない。
『そっそんな無理ですよ!!ていうか今、智美は病院にいるんですか?』
『あっはい……、あ、いえ上西病院なんか……に……はっ、今のも聞かなかったことに……』
『向かいます。ではっ!!』
智美っ、私のせいね、きっと私のせいで……。
ザーザーと雨が降ってきた。私は上西病院に走って向かっていた……。
信号が点滅、赤信号になった。
私は赤信号が変わるまでただひたすら、智美のことを考えていた。
/ドンッ/
『……え?』
急に私の体が前にでた。
『……』
私はなにが起こったのかよくわからなかった。
『車がきてるわ!!危ないっ!!』
その声で私は理解した、私は誰かに背中を押されたのだ。
まだ信号は赤信号のまま、うまく立ち上がれない……次の瞬間、トラックが私を撥ねた。
……私のせい、私のせいだったのよ、全て。
私がしたことの報い……ごめんなさい。
『あんたのせいでしょ』
……そうね。私のせい。
智美ごめんなさい、智美ごめんなさい。
私……。
『次のニュースです。上西病院前の道路で、高校生が車に撥ねられました。その高校生はすぐに、病院に運びこまれましたが、まもなく死亡したとのことです。次のニュースで』
/ピッ/
……静奈が死んだ。……私のせい?。
『立沢、あなた……』
『申し訳ありません。私があんなこと言わなければ、きっと彼女はトラックに撥ねられ死亡しなかっただろうに……』
『もう、いいわ、少しの間出ていってもらえるかしら?』
『はっはい、失礼いたします』
パタン。扉が閉まった。
……ねぇ私のせい?静奈ごめんなさい。私が発作おきたから……私のせい……静奈ごめんなさい。
『うっ……あぁぁ……』
私は久々に大声で泣いた。
静奈、あなたと遊園地に行って言いたいことがあったの……。
『これからもずっと友達でいてって、私、静奈のこと知ってもっと大好きになったからって……』
私のせいで、静奈、私じゃん、償わなきゃいけないのは、静奈、私のせいね。静奈ごめんなさい。
『もしもし、はい、言われた通りにしました』
『……よくやったな』
『はいありがとうございます。では』
後ろ姿の、あなたはいったい。
私を押したのだあれ?
終
【作品について一言】
犯人分かりましたか?(ヒント、犯人は、その場にいた人しかわからないことを言ってます)コメントにはネタバレを書かないようにお願いします。
【登場人物】
戸谷静奈(17歳)女子高校生。智美を階段から突き落としてしまうが智美に友達になってと言われて友達(償うために)性格、真面目でいい子です。昔、お母さんに暴言、怒鳴られ殴られていたことによりそれに対して自分を守ろうとする防御反応として泣いてしまうことがある。
加原智美(17歳)女子高校生、静奈と同じクラス。夢はバレエダンサーが、静奈に階段から突き落とされて脚を切り、脚を失う。ただ、根はとても心の広い子で、ぶつかっても、静奈を心から憎むことはできなかった。友達になって欲しいと言ったのは、静奈がどんな人かを知りたかったのも1つの理由。突き落とされた時のトラウマで、時々、叫んでしまう(それが発作)。
立沢(36歳)智美の執事(男性)智美のことが好きな男性。片想いである。智美に近づく人や、智美に酷いことをした人は許せない。ある意味、嫉妬深い人物。ただ、智美や他の人の前では、バレないように過ごしている。
謎の人?(?歳)静奈を、交通事故に見せかけ、殺すよう命令した人。