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2021年の10月下旬。少し肌寒くなってきた頃で、薄めの羽織りものをしないと外は寒いだろう。

そんな中、俺___クロノアはぺいんと、しにがみと会うため名古屋に来ていた。もちろん集合場所はぺいんと宅で、スタッフもネタを聞いているけれど、これは俺らの中での話なのでスタッフが集まることはしなかった。


「お久しぶりです。 」


そういって最後にぺいんと宅に入ってきたのはしにがみくんだった。少し気まずそうな顔をしているが、多分それはみんなそう。


「あっ、みんな揃った?じゃあどっか店でも行くか!」


ぺいんとは本当はみんなが揃わなくて悲しいはずなのに、それを見せないように笑顔で対応していた。

そんな彼に、優しい声かけはできなかった。

ただ…


(_____俺にリーダーなんて、務まらないよ。)


心の中でそう言いながら、この足は強制的に外へと向いてぺいんととしにがみくんの後を追いかけていた。


……………


あるカフェで、俺はコーヒー、ぺいんとは緑茶、しにがみくんはタピオカを各々手に持って飲んでいた。


「…お前、今更タピオカとか…ブーム遅れすぎじゃね?w」

「別にいいでしょ?!ww」


2人は笑い合いながら会話を交わしていた。そんな2人の会話を聞きながら、俺はフーッとコーヒーに息を吹きかけ、一口ごくりと飲む。体全体に染み渡るように暖かくなり、カップからは湯気が立ち昇っては消えていた。


「…で、10周年記念…本当に歌にするの?」


そう俺が声をかけると、楽しげな声はその場から消え去った。2人が真剣な顔をして黙り込む。それでもやっぱり沈黙を破ったのは元リーダーのぺいんとだった。


「…俺は、トラゾーの案を採用したい。やりたい。歌いたい。」


緑茶のカップを力強く持ちながらぺいんとは真剣な目でこちらを見てそう言った。それでも納得のいかない俺としにがみくんはその意見に反対した。


「でも、そのせいでまた…みんなの精神が壊れたら、今度こそ終わるかもしれないんですよ…?!」


しにがみくんの言うことは正しい。今は絶賛みんなは元気一杯というわけではなくて、2019年にも色々方針を変えて活動再開の目処を立てた。だからみんな一段と仲は良くなってきているし、撮影も多くなって楽しくなっている。

けれど、これは主にぺいんとの”みんなで日常組を続けたい”と強い思いがあったから決まったことで、次にみんなの精神や仲が崩れてしまえば今度こそ終わりになるかもしれない。それをしにがみくんと俺は恐れていた。


「…しにがみくんと俺は怖いんだよ。またこうやってみんなで話せなくなるのが。」


そう言うと、ぺいんとは俯いた。少しの間沈黙が生まれるけれど、その次には力強い声で俺たちに言葉をかける。


「でもっ…このトラゾーの案を無駄にしたくないんだよ!それに、この歌でトラゾーを元気づけたいんだ!あとは_______」


そこからぺいんとは何かを話そうとしたけれど、しにがみくんに制止された。なんでかって、そんなのわかりきっている。いくらトラゾーとぺいんとがその思いを押し切ろうとしても今はまだ採用されることはないのだ。

当たり前のことだ。

“みんなが賛同しなければ動画にできない”…そういうルールを決めたのは、俺たちなのだから。

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