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「えっ」

エミリーのその声とともに自分が何を言ったのか今更理解してベッドから飛び起きる。その拍子に机にぶつかって上に置いてあったものがバラバラと落ちてくる。

「あーあ,,何してんのよ全く,,,,,,」

「ごめんごめん」

うっすら笑いながら拾っていると俺の頭にエミリーの髪が覆い被さる。

「いいよ、言ったげる。もう200年以上も経ったんだしね」

「え、いいのかい?」

「ええ。言って得になることも損になることもないし。」

「君がそう言ってくれるのなら,,,,,,」

「それよりも早く着替えてくれない?私もうとっくに準備終わってるんだから!」

「あぁごめんごめん!」


いくら顔見知りだとしても正式な対面になるのでスーツに着替える。もうすっかり夏日を迎えた今にとっては暑いものだ。ガタガタと揺れる車の中でエミリーはずっと外を向いていた。振動によって同じく揺れている髪の毛を触りながら。いつしかホテルについた。だが、はじめてきたのだが、明らかにいつもとは違うということを感じる。ロビーに向かおうと自動ドアに近寄ると人が一斉に出てきた。

「き、救急車!!」

「クラーク!早く呼んでくださいな!」

ホテルマンがそう青ざめながら電話を片手に騒ぐ。しかし、そのホテルマンの腕を掴み阻止していたのが、

「だーかーら!大丈夫だって!!」

「ふ、フランシス?」

フランシスであったのだ。

フロア内に目を向けてみれば女性スタッフの受話器を阻止しているのはフランソワであった。

「何をしてるんだい,,」

「あ、アメリカ!止めてくれよ!大丈夫だから!」

「本当かい?」「ホントほんとほんと!!!」

ハァとため息をついてホテルマンの肩をポンと叩く。

「すまない、騒がせてしまったね。俺はアメリカだ。大丈夫。なにも問題はない。」

「そ、祖国,,!?本当に、ホテルの責任なんかにならないでしょうね,,,,,!」

「あぁ。ノーマルにもどってくれ」

「はい,,,,,お騒がせいたしました。どうか、素敵な一日を。」

ゼェゼェと息をつく2人をエミリーとともに冷ややかな目で見つめる。やがて落ち着いたフランシスから口が開く。

「来たんだな、お前ら」

「元々仕事があったんだよ。イギリスからのパーティ参加不参加が届いてなかったからね」

「あぁ!じゃあ昨日の鬼電はそれだったの?」

「そうだよ!なんで出てくれなかったんだい,,」

「そ、それはぁ,,,,,」

バツが悪そうに2人は視線を逸らす。それをよそ目にエミリーは食い気味に質問を続ける。

「それも聞きたいんだけどさ。さっきの騒ぎはなに?国内で起こったからには私たちにも知る権利はあるんだけど?」

うーんとフランス達は顔を合わせたが、もう隠しきれないかという了解でこちらを向く。

「昨日の話からしよう。」



アメリカ国内に着いた時どころか、7月に入った頃からアーサーの体調は悪かった。2日からずっとホテル内にいたんだ。アリスもなぜだかアーサーの傍から離れなかった。それを心配してフランソワがまず2人の部屋に入っていったんだよ。


「失礼するわね」

「,,フランソワ」

「ご機嫌はいかが?」

「最悪ね。こいつのせいで外に出られたもんじゃない。」

呆れながらアリスはそう言った。その声に反応してアーサーが体を起こしながら反論する。

「じゃあ出ていけばいいじゃねぇか,,,,,髭と行ってこいよ,,,,,」

シャツの襟が赤黒く染まっていた。顎にも血の跡がついていた。体制を変えたことに体が上手く適応できなかったのか、また咳き込む。それを見てアリスはまたハンカチを口にあてる。

「,,私がいなくなったら、誰があんたを介護すんのよ,,,,,」

寂しげも混じったような目でアリスはアーサーの背中を摩っていた。フランソワ自身もこの状況を近く、長く見てきたものだからできるだけアリスとは一緒にいた。少しでも気分が良くなるために。アーサーの咳の音と雨音だけが響いていた室内にドアの開閉音が鳴った。

「あ〜,,,,,もう最っ悪!この雨いつ止むんだよ,,,,,」

「やだ!濡れてる!」

「強風で傘壊れちゃったんだよ!なんて運がついてないんだろ,,,,,俺」

「人の室内に最低なコンディションで来るなよ!」

「アリス冷めてーよーー」

「もう,,,,,ほら。スリッパ。」

「ありがとー」

フランソワがしゃがんでスリッパを置いた時だ。

「ゲボッ」

アーサーが大量の吐血をした。近くにいたアリスのスカートにその血が垂れてかかるほど。

「アーサー!」

アリスも今までにない焦りを見せた。恐らくアルフレッドとエミリーが連絡してきたのはこのときだろう。

実はアルフレッドに電話した時もこんな状態だったんだ。俺の部屋で電話をかけてたらアーサーが血を吐きながら部屋に入ってきて。慌ててミュートしてたんだ。悪かったな。

今日も朝から体調が思わしくなかった。背中さすってた時に丁度清掃員が入ってきちまったんだ。そんで大騒ぎ。声がでかいレディだったからロビーにまで響いちまって。客室内はアリスに任せてフランソワと2人でなんとか秘密にってことで阻止してたらお前らが来たっていうことだ。


頭を手に押し付けため息をつく。エミリーもぽかんと口を開けている。

「なんだいそれは,,,,,というか彼は毎年そうだったのか?こんなに大変だったのか?」

「いいえ。少なくとも、一番近くて7月3日、 前日にイギリスに寄った時はまだマシだった。今回の場合、3日前の時点で今までの当日なぐらいの悪さ。そうよねフランシス。」

「あぁ。異常だと思ったよ」

フランソワが言うのだから間違いはないのだろう。エミリーがなにか思い出したように2人に聞く。

「ねぇ。アーサーはなんでそこまでしてアメリカに来たかったの?200年アニバーサリーの時に来たのは覚えているけれど,,,,,今年はいい区切りってわけでもないわよ。それに、なぜか今年は国の男女、二人とも参加が多かったわ。」

「そうねぇ,,,,,」


なんでだろうねぇとフランシスたち自身も分からないような言い方をする。大方、他の国たちは大統領が新しく変わったアメリカと関係を持ちたいからだろうが、国たちはそんなこと気にしない。上司からの命令だとしても比較的彼ら自身は友好的であるから。彼らは、俺たちがそこまで脅威的であるとは思っていないから。アリスたちもそうだったのだろうか。

一人、じっくりと今までを思い出して考えていた。するとエミリーが立ち上がる。

「会いに行ってもいいのよね」

「えっ」

「アーサーはわかんないけど,,,,,アリスは体調が悪いってわけじゃないんでしょ?」

「まぁ、そうだけども,,,,,」

「じゃあ行く!アルフレッドは!?」

「もちろん行くさ!」

「あっ!ちょ,,,,,エミリー!」

フランソワがエミリーの肩を焦って掴む。

「なに!?」

少し苛立っているのだろう。エミリーの気が高ぶっているがフランソワは構わず冷静に静かな声で諭す。

「決して無理にいかないこと。自分が無理だと思ったらすぐに降りてきなさい。私たちはここにいるから。」

雨が止んだあとに

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