テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
毎朝、マンションのエレベーターで同じ時間に会う人がいた。
スーツ姿の中年男性で、いつも軽く会釈をして「おはようございます」と言ってくれる。
こちらも「おはようございます」と返すのが習慣になっていた。
ある日、仕事が休みで少し遅く起きた。
エレベーターに乗ると、いつもの男性がいた。
「今日は遅いんですね」と笑いながら声をかけてきた。
少し驚いたが、「休みなんです」と答えた。
それからも、彼は毎朝必ず挨拶をしてくれた。
雨の日も、風の日も、同じ時間に、同じ場所で。 不思議と安心感があった。
ある晩、マンションの管理人と話す機会があった。
「そういえば、毎朝エレベーターで会う方、何号室の方なんですか?」と聞いてみた。
管理人は首をかしげた。 「毎朝?…この時間帯に出勤する住人はいませんよ」
その瞬間、背筋が冷たくなった。
でも翌朝、エレベーターのドアが開くと、やっぱり彼は立っていた。 「おはようございます」 いつもと同じ笑顔で。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!