テラーノベル
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それは、鷹騰社長との付き合いがスタートして、三ヶ月余りが過ぎた頃だった──。
お風呂から上がって自分の部屋でくつろいでいると、ふいに携帯が着信音を鳴らした。
聞き慣れたその音に、一瞬びくっとする。
間違えようもない彼のために設定した特別な着信音に、まさかと思いながら画面を覗くと、そこには……、
「川浪 春樹」の名前が表示されていた。
「春樹……」今になってなんだろうと感じる。
しばらく電話に出るのをためらっていたけれど、なかなか切れずにいるのに、何か話があるんだろうかと通話ボタンをタップした。
「……舞か?」
スピーカーから懐かしくも感じられる声が響く。
「うん……。どうしたの、春樹……何か、話があるの?」
かつての駅でのシーンが蘇り、歯切れが悪くなる私に、
「……元気にしてるか? おまえ…」
どこか優しげな声が返る。
「してるよ……」
答えると、喉元を切ないような思いがにわかに駆け上がった……。
「今さらかもしれないが、あの時は悪かったな…。……俺もちょっと頭に血が上ってたから、あんな言い方しかできなくて……。話ぐらい、ちゃんとすればよかったよな……」
聞こえるすまなさそうな声に、スマホを耳にあてたままで「ううん……」と、首を横に振る。
「……もう、いいよ。私も、悪かったんだし……」
口にしながら、もしもあの場面で彼を引き止めて話をしていたら、結果が違っていたこともあったのかな……と、ふと感じた。
「なぁ、舞……」
「うん、何……?」
やっぱりしっかりと話をしておくべきだったのかもと感じるけれど、ただもしもそうしていたとしても、あの頃にはもう自分自身の気持ちが隠せなくなっていたことも事実だった。
きっとあそこで話が出来ていたとしても、春樹が言っていたように”言い訳”にしかならなくて、結局は彼との結末は変わらなかったようにも思えた……。
「……。……今度、俺と会ってくれないか? ちょっと話があるんだ……」
不意にそう言われて、胸がドクンと高ぶる。
「だけど……、」
彼とはもう終わったものだと思っていたし、今になって数ヶ月以上も前のことを蒸し返すつもりもなかった。
スマホを握りしめたまま、何も言えずに黙り込んでいると、
「急ぎで悪いが、あさっての土曜日0時に駅前のカフェで会いたいんだ。考えてもらえないか?」
春樹がそう畳みかけるように話した。
𝓗𝓪𝓶𝓾
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26
「うん……でも、私……」
言いよどんでいると、「そっちの事情を考えてやれなくて悪いが、俺もその後の予定があってな」と、どこか切羽詰まったような口調で話した。
「そうなんだ……だけど、そんな急に何の話があるの?」
尋ねてみるけれど、彼は「うん……」とだけ返して、
「会ったら話す。悪い……待ってるから」
そう言い残して、電話は切れてしまった……。
コメント
1件
わあ、春樹から電話…!冒頭の特別な着信音でビクッとする舞ちゃんの反応に、一瞬で引き込まれました。あの別れ方の後だからこそ、彼の「今さらかもしれないが」という謝罪の言葉が、すごく胸に沁みましたね。それでも会って話したい、と切羽詰まった口調で迫る春樹。舞ちゃんの「もう終わったものだと思っていた」という気持ちが痛いほど伝わってきて、心がぎゅっとなりました。続き、すごく気になります…!