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第69話、読み終えたよ〜!✨ ライナー王とマエクスの会話がめちゃくちゃ深くて…「戦争は文明を壊すけど、同時に運ぶ」っていう視点、すごく刺さった😭💕 パーカー兄弟の勝利も熱いんだけど、ハスドルバルが「兄者のもとへ行く」って執念燃やしてるところで次回が気になりすぎる!🔥 戦争の虚しさと人間の執念、両方描けててホントエモい回だったよ〜!⋆♡
王都には、シラクスから運び出された戦利品が次々と運び込まれていた。
黄金の装飾品。
精巧な彫刻。
色鮮やかな陶器や絵画。
東の国タラッサの香りを色濃く残す美術品が、王宮の一室を埋め尽くしている。
その中を歩きながら、マエクスは一つの彫像の前で足を止めた。
「見事なものですね……。」
その眼差しには、勝利の喜びよりも、異国の文化への敬意が宿っていた。
「戦争と文明。」
静かな声が部屋に響く。
「創造と破壊……。」
「我々は、これからもこれを繰り返すのでしょうか。」
隣で同じ彫像を眺めていたライナー王は、しばらく答えなかった。
やがて、遠い過去を思い返すように口を開く。
「昔の私には分からなかった。」
「だが、今は神の意志のようなものを感じている。」
王は静かに歩き始めた。
「北の王アテイラとカタラウムで戦った時。」
「その裏で、多くの民族がガラリアへ、
そしてエウロピア全土へと移動を始めていた。」
「今では、それぞれの民族が王を戴き、新たな国を築き、互いに争っている。」
王の声は穏やかだった。
だが、その言葉には長い歳月を見つめてきた者だけが持つ重みがあった。
「ジュリアスの暗殺から始まった内戦もまた同じだ。」
「その炎は三大陸へ広がり、南の国までも巻き込んだ。」
「そして、バルカを、復讐だけを胸に生きる男へ変えてしまった。」
マエクスは何も言わず、王の言葉に耳を傾ける。
静寂の中、美術品だけが変わらぬ姿でそこにあった。
ライナー王は一体の彫像へ静かに視線を向け、ぽつりと呟く。
「戦争とは、人と人が殺し合うだけなのだろうか。」
しばらく沈黙が流れる。
やがて王は、小さく首を振った。
「違うと、私は信じたい。」
「戦争は文明を壊す。」
「だが、同時に文明を運ぶ。」
「この彫像も、この絵画も、この知識も。」
「勝者は敗者から奪い、やがて自らの文明として育てていく。」
王は窓の外へ目を向けた。
「グランもまた、タラッサから多くを学び、その知恵を受け継いできた。」
「そして、いつの日か我らの文化も、誰かへ受け継がれていくのだろう。」
再び静寂が訪れる。
その静けさの中で、ライナー王は誰に向けるでもなく呟いた。
「そして――。」
「東の大国、タラッサ王国とも戦う日が来るのだろうか。」
「バルカ様からは、なんと?」
#シェイプシフター
柊遊馬
5,227
#戦国時代
眠狂四郎
284
#戦国時代
眠狂四郎
196
#軍師
眠狂四郎
153
シラクスから帰還したヒミルコは、バルカの弟ハスドルバルに静かに尋ねた。
「ただちに陸路よりグラン本国へ侵攻せよとのことだ。」
ハスドルバルは地図へ視線を落とした。
ヒミルコは沈痛な顔をする。
「それは……。」
スパルーニャでは、スピリタスが従兄弟であるパーカー兄弟を送り込み、
各地で激しい戦いを繰り広げていた。
さらにシラクス陥落によって制海権は完全にグランの手へ渡り、
海路はすでに閉ざされている。
陸路もまた、グラン軍が要衝を押さえ、突破は容易ではなかった。
「……分かっている。」
ハスドルバルは静かに頷いた。
「海は使えぬ。」
「陸も、敵が待ち構えている。」
しばし沈黙が流れる。
やがて彼は兄の命令書を握り締めた。
「だが、私は兄者のもとへ行かねばならぬ。」
その瞳には、一片の迷いもなかった。
「やはり本国からの援軍は望めぬか。」
「バルカは今、南ナガグツに陣を構え、王都をうかがっている。」
「我らだけで持ちこたえるしかあるまい。」
ジョージとチャールズは地図を前に、小さくため息をついた。
パーカー兄弟はキッサキの戦い、エブロン川の戦いを制し、
バルカ軍と本国との連携を断つことに成功していた。
長年旧イージプの人質となっていた部族長たちを解放すると、
各地で反乱が勃発した
長年旧イージプの支配を受けてきた人々にとって、グラン軍は征服者ではなかった。
解放者だった。
だからこそ、スパルーニャの民は二人へ食糧を運び、
道を示し、時には自ら武器を手に取って共に戦った。
だが、その平穏は長く続かない。
バルカの弟ハスドルバルが、
兄との合流を目指して兵を集め決戦を挑もうとしていた。
決戦の地は、デルトナ。
パーカー兄弟軍は歩兵三万、騎兵三千。
これに対し、ハスドルバル軍は歩兵二万五千、騎兵四千、そして戦象二十頭。
おそらく、両軍が動員できるすべての兵力だった。
号令とともに戦端が開かれる。
中央では歩兵が激しくぶつかり合い、両翼では騎兵が砂煙を巻き上げながら激突した。
戦場は膠着する。
どちらも一歩も引かない。
「敵軍の士気は低い! 押せるぞ!」
右翼で騎兵を率いるチャールズが槍を掲げる。
パーカー兄弟の騎兵は、強兵と名高いバルカ軍騎兵を徐々に押し込み始めていた。
その様子を見つめながら、ハスドルバルは唇を噛む。
「くっ……。」
「騎兵が突破できねば、包囲は完成せぬ。」
兄バルカが幾度となく見せた包囲殲滅。
その勝利を、自らも再現しようとした。
だが現実は違う。
敵騎兵は崩れず、戦線は膠着したままだ。
ハスドルバルは小さく息を吐いた。
「……兄者のようには、いかぬか。」
もともと豊かな国であった旧イージプには、一つの考え方があった。
軍とは、金で買うもの。
戦場に立つのは傭兵であり、彼らは報酬のために剣を振るう。
対するグラン軍の主力は市民兵だった。
家族を守るため。
故郷を守るため。
祖国を守るため。
彼らは自ら武器を手に取る。
戦場では、誰もが一度は自らへ問いかける。
「何のために戦うのか。」
その問いに兵士たちは、それぞれの答えを見つける。
その答えこそが、士気となる。
そして、そのわずかな差が、ときに戦局を左右するのであった。
騎兵が崩れた。
その動揺は瞬く間に歩兵戦線へ広がり、パーカー兄弟軍は一気に攻勢へ転じる。
「敵が崩れた! 押せ!」
鬨の声が戦場を揺らした。
これ以上の戦闘は無益と判断したハスドルバルは、静かに軍旗を下ろす。
「撤退せよ。」
号令とともにバルカ軍は秩序を保ったまま戦場を離れていった。
その背を見送りながら、ジョージとチャールズは拳を握る。
「勝った……!」
「これでスパルーニャ軍はバルカ救援をあきらめる!」
二人の喜びは戦場全体へ広がっていった。
誰もが、この戦いで勝敗は決したと思った。
だが――。
敗走する軍の先頭で、ハスドルバルだけは振り返らなかった。
その瞳に敗北の色はない。
あるのは、ただ一つの執念だけだった。
「いかなる方法を使っても……。」
「俺は、兄者のもとへ行く。」