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両者一歩も引かず第二ラウンドに入るが、イベントの方では既に最終ラウンドが開始され島の倒壊が始まっていた。
「さぁて…。どうしてくれようかな?」
「扱いにくいこの鎌でぶった斬るよ私は?」
「それじゃあ私もさっきあんたに付けたその打撃痕をそろそろ使おうかな?」
「あれになんか意味あったんだ。」
「地味に厄介な魔法を【魔法複合】で生み出してね。【魔法複合】『フラワー』『マーキング』『バースト』【爆華 クロユリ】」
瞬間ミーシャに殴られた箇所の痣が花の模様を作ると小さな爆発を連発していく。
「うぐっ!?」
「これが私の生み出した陰湿な魔法【爆華 クロユリ】発動条件は簡単で『マーキング』ていう魔法を使い相手の体に付着させる。そして起動するのに魔法の名前を言うとそれが合図となり爆発する。まぁ、火力はどうしても下がっちゃうんだけどそれでも上手く使えば優位に立てる面白い魔法なんだ。」
「花を模したのはなんでよ?」
「ただの飾りみたいなもんよ。戦闘にも華がないとね?」
「ダブルミーニングとかやかましいわ。」
「火力はないけどまた一度マーキングさえ付けられれば任意のタイミングで爆発出来ちゃうわけよ?爆破による衝撃で体勢を崩すことが出来れば私にもまだまだ勝機はある!」
(触られたらアウトだけど、私の職業的には近くに寄らないとダメージを出せないのも事実。
正直爆発細剣を使えば倒せるだろうけど今私が持ってる武器をしまって取り出して不意をついて攻撃…この流れをスムーズに出来ないと意味が無いし『殺人的な加速』を生み出すにも最低でも二秒は時間を必要とする。しかも今の私の実力的に地上で且つ双方がぼっ立ちとかいうありえない状況下でないと制御できないという……。
グレンさんの時に二刀流とかしたけどまぁあの加速を活かした攻撃はほっとんどしてないからもしやるならぶっつけ本番となる。ならば一番現実的なのは今持ってる鎌を何とか扱い一撃入れる事に尽力した方がいいだろうな。魔法使いなんて防御力が低いから何食らっても結構痛手だけど今のミーシャは初期装備で私の扱う鎌もアルナさんお手製のぶっ壊れた性能してる鎌だし当てさえすればこっちの勝ちは確定してる。猛攻を続けてれば唱える隙も無いはずだし、この鎌でなるべく早く早くと攻撃するのが良さげだな。)
「扱い慣れてないけどこの鎌でぶった斬る!
」
「その前に私が吹き飛ばしてやるよ!」
かなり白熱している二人の戦いを安全圏で眺める他三人は『敵』であるはずなのに争うことなく『味方』として談笑をしていた。
「あのクソ魔法使いちゃんと強いんだ…。」
「武器は見た目こそ気持ち悪いけどモンスターのレアドロップ品だし防具も初期装備だけどそれを感じさせないアクティブな動き。従来の魔法使いさんとはまた違ったタイプだね。」
「対するプリンちゃんは『剣士』なんて言ってるけど使う武器は多種多様。剣に刀、細剣に鎌と何でもこなす器用なやつみたいになってるね。」
「一応どの職種でも全部の武器は理論上扱えるけど適正じゃないものはそもそも上昇幅も狭いですし、なによりデバフが付くんですよね?」
「ふぇ?そうなの?」
「分かりやすいのが魔法使いに大剣を持たせるとかだね。基礎ステータスの筋力って数値が扱う武器より下回ってると本来の火力の半分くらいしか出ないんだよ。」
「てなると、例えば大剣の攻撃力が10だとして、『傭兵』が大剣を持てば火力10をそのまま引き出せるけど『魔法使い』が持つと5になるってことであってる?」
「そうだよ。それ以外にも今の例だと動きが遅くなる『鈍化』ていうデバフが付いたりするから基本はその職業が得意としてる武器以外はみんな持たないかな?」
「傭兵なんかは元から筋力が高いからそれを活かして大剣以外の武器で槍斧だったり大槌って武器とかを担いでる人もいるね。」
「今更ながらこのゲーム武器の種類もすごい多いね。」
「そこが魅力でもあるからねFDっていうゲームはね。」
「それじゃああの鎌使ってるお姉ちゃんは剣士なのに筋力ステータスをいじってる変なやつってことか!」
「どーかな?聞いた話じゃオススメ通りのものを上げてるって話だから『剣士』だと火力と素早さなんじゃないかな?」
「筋力はおまけみたいなもんですからね。」
「ならあのお姉ちゃんデバフ背負ってなお鎌とか振り回してるってことか!?」
「そうかもしれない。まぁもしくはそもそも今扱ってる武器はそこまで筋力っていうステータスを必要としてないとかね。」
「もしそうだとしたら凄い技術ですねぇ。こんなピーキーな性能の武器で更に軽量化もしてあるなんてゲームならではのトンデモ技術ですからね。」
「あくまで俺の予想だから真に受けないでね?」
「今度本人に直接聞いてみましょう。」
「なーんて言ってたらそろそろ決着が着きそうだよ!?」
「はぁ…はぁ……。やるねぇ?」
「そりゃ……私だって遊んでた訳じゃないもんね…。このくらい扱えないとダメよ。」
「でも、これだけ派手に動けばあんたの体力も底着いたでしょ?」
「まぁ…こんな大鎌振り回してるのとちょっと長めの木の枝持ってるのとじゃ…疲労度は変わりますわな?」
「今は蜘蛛の足持ってるんだけどね?」
「そういえばそうだった。」
「とは言っても私も『魔法使い』だからスタミナ自体は長くない訳で結構カツカツ寄りなんだよね……。」
「となると、これはアレかな?」
「刹那の見切り的な感じで決着つけるしかないよね。」
「なら、こんな鎌じゃあ私不利か。」
「変えてもいいけど、私騎士道とか知らんからその好きみて攻撃するけどね。」
「わぁお、私のお友達畜生過ぎるねぇ?」
「嫌なら諦めて鎌でやり合うしかないよね?」
「……おっけ〜。マジでやるよ私?」
「手を抜いたら現実で問い詰めるから。」
「嫌なタイプの詰め方やめてね?」
「それじゃあ行くよ!」
【スピアプ】によって自身の速度を上げて一気に近づくミーシャだが、プリンが素早く大鎌を振り真空刃を複数形成し放つ。それを素早く土の壁を形成することで遮蔽を作り出し真空刃をいなして更にできた土の壁を巧みに使い変則的な距離の詰め方をする。大振りな武器である大鎌では対応に時間がかかり無作為に攻撃するのをやめて決め打ちをする方にシフトチェンジする。
「あんたが仮にやられても順位は下がんないわよね?」
「うーん多分?まぁ、下がったら下がったでミーシャのポケットマネーで私の分も払ってよね。」
「その場合逆も然りだからね?」
「それはもちろん。まぁ、だとしても負ける方が嫌だからやられてねミーシャちゃん。」
「絶対やられないからな?」
大鎌の射程圏内に入り杖を構えるその瞬間大鎌で薙ぎ払う。
「ふぐっ!?」
「魔法を使うには構えないといけないから、その隙を着いたまで…。」
「……決着だね。」
斬られたミーシャは上半身と下半身が真っ二つになり少しするとミーシャは消えていく。
(何か…おかしい。やられたらみんな光のつぶになって空に還るのにミーシャだけはそうならない?………まさか!!)
「……勝ちを確信した人物ほど大きな隙を残す!」
足元の土が盛り上がったのもつかの間、ミーシャが地面から現れプリンの腹部目掛けて渾身の右ストレートを入れる。殴られたプリンは後方に大きく飛ぶが何とか体力が残り反撃の余地が残されていたが、殴られたその時にミーシャは【マーキング】を付けていた。
「ごふっ……不意をつかれたけどまだ私は立ててる!」
「いーや?おしまいだよプリン。【爆華 クロユリ】!」
殴られた箇所にはマーキングがあり先程の発動条件を満たした魔法は再び爆発を始める。火力は控えめではあったが僅かな体力を削るには十分な威力を有しており彼女はその爆破が決めてで光の粒となり消えていった。そしてこのタイミングでイベント終了の合図が鳴る。
「私の勝ちでこのイベントはおしまいよ。」