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高村隆二は18歳で同級生の死んだ妻と出来ちゃった婚をしてから、見習い金型エンジニアとして技術を磨き一躍業界内での成功者となった
その歴然たる勢力は右に並ぶものがないほどだった、彼はまた、なかなかの趣味人であって、集めている骨董の創造のためなら巨額の金を惜し気もなく費やした
彼の寝室はとても広く落ち着いてはいたが、一見して金を注ぎ込んだとわかる豪華な内装である
隆二は今、その肘掛け椅子に深々と座り、エジプト製の葉巻をくゆらせながら、先ほど熱い愛を交わしたのに、終わればさっさと息子の部屋に行ってしまった百合の事を考えていた
彼が吸っている平べったい葉巻も、自分専用にブレンドさせたものだ、百合にプロポーズしてからこの一か月、隆二は彼女の自分も愛しているが息子との関係も続けたいとの願いを聞いてやることにした、そうしなければ百合の心が離れていってしまうと思ったからだ
その結果、自分の方が愛人で、息子よりも百合の中で立場は低いことを悟った
もう、うんざりだった、我慢の限度に達していた、一心同体だと思った愛しい恋人が今この時でも別の部屋で息子とやっているのだ
どんな気持でいるのだろう? 隆二は目を閉じ、百合に成り代わったつもりで考えた・・・まだ寝ているのだろうか? それとも息子に抱かれているのだろうか、自分の精子を体の中に残したまま・・・
気が狂いそうだ!もうこんなのは耐えられない、息子さえいなければ・・・
隆二は百合にもらった『リキッドエクスタシー』入りのウィスキーをまた煽った、どれだけ飲めば彼女と息子のことを忘れられるだろう・・・
百合が欲しい・・・愛し、愛される関係に成りたい、毎晩ベッドを温めてくれるのは百合しかいない、どうすれば息子の元へ行かさないですむだろう・・・
そう思ってまた酒に浸った