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和樹は最近睡眠障害に悩まされていた、なぜか胸騒ぎがする・・・自分は父の様にアル中になってしまったのだろうか、ここの所、毎晩酒を飲まないと落ち着かない、まるでこの酒の中毒になっているような気がした
そしてベッドで横になりながら、胸の奥でざわめく不安に苛まれていた、最近の父の態度の微妙な変化・・・
この間の夕食の場では父が百合を捕食者の様に見つめていた
目に見えない緊張感・・・父と百合の間に何かがあるのではないかという疑念が、今の和樹の心を締め付けていた・・・
今日は飲まないと決めていたのに、和樹は百合の用意していたウィスキーのデカンタからグラスに注ぎ、一気に飲み干した
多分これにも「リキッドエクスタシー」は入っているのだろう、飲んでしまえば魔法の飲み物だった、すっと気が大きくなってゾワゾワした不安な気分はどこかに行った、それどころか自分が世界で一番偉い気分にさせられた
あの親父よりも数段僕の方が優れている
「くそっ!あの女好きめ・・・アイツが自分の父親だなんて反吐が出る!」
自分の父親でありながら、ほとほと嫌気がさしている、小さい頃から父は自分と母親に冷たく当たっていた、その度自分はいらない子なんだと思わされてきた、次第に世界で一番苦手なものは父親になっていった
百合がいないと・・・耳鳴りがするほどの異様な静けさに耐えきれず、和樹はベッドを抜け出した
酒のせいで気が大きくなっていた、ちょっと親父をからかってやろうか、ちょうど良い、これを機会に親父に今までのうっぷんをはらしにいってやろう、ついでにこづかいもせびってやろう
百合は寝付けないから庭に出てガーデンニングをしに行ってくると和樹に言った、そうだ、親父は今何をしてるだろう