テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「無事エサをつけたら竿を下にやって、上に上げるだけの反動でさっと仕掛けを投げる。川の幅がこれだから、この程度の投げ方で充分。道路だからフルに投げると危ないしさ。あとは待つなりちょっと引いて確かめるなり、自由にやってくれ」
そう言って先輩は、クーラーボックスの中からタッパーを取り出す。
「このタッパーの中に、氷とホタテ貝柱2個が入っている。ハゼを釣ったらこの中に入れる。氷が入っているから少しの間は大丈夫だ。そしてある程度たまったら、このクーラーボックスに入れに来ればいい。場所は駅の裏から川沿いを河口まで、自由に自転車で動いて釣ってみてくれ。移動時は針の扱いに注意しろよ。あと自転車で移動の時は、必ず竿は短くして動くように。以上だ」
各自に仕掛けとタッパーが渡される。
「氷や予備の仕掛けは、私が持っている。遠慮無く言ってくれ。なおお昼まで位が勝負だ。あまり長くやっても疲れるしさ。以上、というところで」
先輩は、最初に投げた仕掛けを、すっとあげて巻いてみる。
「調子がいいと、こうやって早速釣れたりする訳だ」
掌より、ちょっと大きいサイズの魚がかかっていた。
「では開始!」
街中でのハゼ釣りが始まる。
「どうする?」
彩香さんが、僕に聞いてきた。
「そうだね。ちょっと上流に行ってみようか」
「こっちは、もう少し下流の太いところを目指してみるのですよ」
未亜さんと美洋さんは、下流方向へ。
「私は、少しここでやってみるのだ」
亜里砂さんは、ここでやるようだ。
そういう訳で、僕と彩香さんは、上流方向へ。
ちょっと行くと、反対方向に自動車が入れない道があった。
「あそこの道が、ちょうどいいかな」
という事で、そっち側へ。
更に、その道に碑があって、少し公園のようになっていた所があった。
自転車を止めて、釣りの準備。
思ったより細く千切れそうになる貝柱相手に苦戦しつつ、何とかエサをつけて。
僕より早くエサ付けに成功した彩香さんが、軽く仕掛けを投げる。
「でもこれって食いついたか、わかりにくそうだね」
「そうだね。時々、引っ張ってみるしか無いんじゃないかな」
そう言いつつ、僕も投げてみる。
失敗。
斜め横、1メートルくらい先にしか届かなかった。
でも、ついでだから、ちょっとだけ待ってみる。
狭い川の、何処にハゼがいるかは、わからない。
遠くに飛ばした方が、有利とは限らないから。
「あ、かかった」
彩香さんは、早くも1匹目を釣りあげた。
「これって、エサと同じタッパーに入れても、良いのかな」
「多分。氷が入っているから大丈夫じゃないか。冷たいと、変温動物は弱いだろうし」
そう言いながら、僕は仕掛けを、ちょっと引っ張る。
何か、微妙な感触。
これは、ひょっとして。
リールを巻いてみると、やっぱり。
小さいハゼがついていた。
思った以上にこの川、ハゼがいるようだ。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!