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「ここの避難小屋は、全部土間なんですね」
前に泊まった山小屋は、土間のほかに板の間があったけれど、ここはちょっと違う。
それぞれ真ん中で繋がっている土間が3部屋。
壁際に座るところとなる、幅50センチ位の板の間があり、2部屋の中央にはテーブルがあるという造りだ。
「ここは、確か避難小屋ではなくて休憩所という名目なんです。悪天候の場合は避難小屋として使うのでしょうけれど」
「この前のような、板の間やストーブがあったりする小屋の方がらしいですよね」
「でも、ストーブは徐々に無くなっていっているようです。新しい避難小屋は、ストーブが無くなっていますね」
そんな話をしながら10分蒸らして、御飯は完成。
シチューも、もう温めているだけの状態だ。
「こっちの火は、暖房代わりに消さずにおいておきましょう」
ということで、鍋だけバーナーから外す。
それぞれの食器にシチューと御飯を盛り付けて、
「いただきます」
と、御飯タイム。
「うん、やっぱり美味しい」
「いつもながら、この御飯のパラパラ加減が絶妙なのだ」
「シチューも温かくて美味しいのです」
そんな感じでいただく。
最後の最後まで食べきった後、
鍋や食器は洗い場が無いので、ビニル袋に包んでしまい込んだ。
「さて、名残惜しいけれど帰りますか」
「温泉も待っているのだ」
靴にアイゼンを装着し、
ザックを背負って小屋の外へ。
暗い小屋から外へ出ると、雪景色の白さを一段と強く感じる。
そして空がとても青い。
「何か、帰るのが勿体ないよね」
「また来ることが出来ますわ。今年中か来年かはわかりませんけれど」
「取り敢えず、温泉へ行くのだ」
そんな感じで下山開始。
前方の景色はなかなかいい。
大山と関東平野、そして右側に江ノ島を含む相模湾が見える。
帰りは、歩き出して少しアイゼンの調子を確かめた以外は、林道まで一気に降りた。
「下りは、何かあっけなかったね」
「それくらいの距離ですからね。ここでアイゼンは外してしまいましょう」
アイゼンを外してザックへ。
あとは、登山道より傾斜が緩い林道をサクサク歩くだけだ。
結局、ほぼ1時間で山頂から来る前まで戻ってきてしまった。
「これくらいで楽しめるなら、また来たいね」
「でも、他にも楽しい所は色々あるぞ」
「それに、木曜くらいまで雪が降って、かつ晴れた週末でないと、この風景になりませんからね。今回は天気に恵まれました」
「なにはともあれ、温泉なのだ」
靴を履き替え下の雨具も脱いで、車の荷室に仕舞う。
こういう気軽な雪ハイキングもいいなと思う気持ちと、今度は温泉で何時間待たされるかな、という不安をのせて。
先生の運転する車は走り出した。