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勉強関係の行事は、3月12日にある業者テストを除いて残っていない。
成績を決める期末テストもクラス分けテストも、すべて終わってしまった。
そんなわけで、学内はわりとのんびりした雰囲気になっている。
3年A組の何人かを除いては。
ここ深草学園は、中学はともかく、高校のレベルとしてはそこまで高くない。
進学実績もそこそこ程度だ。
だからA組の上位半分位は、他の難関校を受験する。
今回は、3年生に知り合いはいない。
でも。
「川俣先輩は、来年、他の高校を受験するんですか」
「多分な」
先輩は頷く。
「私のような普通人と違う生徒も積極的に受け入れている学校は、此処以外にもいくつかあるんだ。例えば、カヌーや夏合宿を一緒にした秋津学園とかさ。そういう処を中心に、2校くらい受けるつもりだ」
成績が学年全体の上位25パーセントに入っていれば、他の高校をすべて落ちてもこの学校に残ることが出来る。
だから滑り止め校の受験は必要ない。
「どんな学校を受験するんですか」
「ちょっと待て」
先輩は、使っている机から受験の資料らしい本を出して、ページをめくる。
「ここに赤丸をつけたのが、そういった生徒を受け入れてくれる学校だ」
女子高もあれば、共学校もある。
「これって、彩香さんが使っている制度でも受験できるんですか」
「2校までなら受験できる筈だぞ。奨学金も継続できる。ただ悠のような一般生徒は普通に受験になるし、奨学金も学校独自のものがない限り受けられなくなる。大丈夫か」
「うちの親も、高校くらいはお金を出してくれると思います。中学時代は、生活費も含めて出して貰っていないんですから」
「それにしても、何故そんな事を気にするんだ。まだまだ受験は先だと思うぞ」
「まあ、そうですけれどね」
今現在、彩香さんが1年生のトップで、僕が2番目だ。
このまま3年生になって受験する時、僕と彩香さんが同じ高校に行けるかどうか。
それが、ちょっと気になったわけだ。
「悠は、なかなか健気なのだ」
こら亜里砂さん。それ以上言うなよ。
「亜里砂は、その前に頑張って上位4分の1まで成績を伸ばすのですよ」
「私もですね」
美洋さんの言葉に、未亜さんは頷く。
「当然なのです。そこで初めて、完全な里外へ出ることが出来るのです」
なるほど、美洋さんの場合は、そういうこともあるのか。
美洋さんは、里で特別扱いされるのが嫌だと言っていたしな。
そういう扱いの全く無い、普通の学校へ行くことが目標なのだろう。
必然的に、ここ深草学園より難しい高校に行かなければならないわけだ。