テラーノベル
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本部広場を覆う土煙の中で、ルシフェルは静かに立ち上がった。
かつて仲間と共に笑い合ったその瞳は、今や冷徹な深淵の闇を湛えている。
角、翼、そして尻尾――異形の姿へと変貌した彼女の周囲では、大気そのものが悲鳴を上げ、雷鳴が激しく打ち鳴らされていた。
すると突然、星そのものがルシフェルへ語りかける、そんな感覚がした。
「……トドメを刺すなと言うのか、ノヴァよ」
ルシフェルは崩れ落ちたウカビルを見下ろしながら、自嘲気味に呟く。
「助かったな·····ウカビル。でも次は殺す」
彼女の背後にそびえ立つ無数の時の使者たちは、その圧倒的な禍々しさに震え、トリガーを引くことすらままならない。
「動くな! 怪物め、二度とクロノス星の土を踏ませはしない!」
隊長の声に呼応し、全警備隊が一斉にエネルギー充填を開始する。
だが、その光はルシフェルにとって、もはや何の脅威でもない。
そして星の声すらもルシフェルには届かない。
「もう……何も聞こえない」
ルシフェルがゆっくりと黒い翼を広げる。
その瞬間、翼から放たれた衝撃波が全方位を薙ぎ払い、警備隊の放ったレーザーもろとも、彼らの防御障壁を紙屑のように吹き飛ばした。
轟音と共に隊員たちが宙を舞い、広場は完全な静寂に包まれる。
彼女は、自分を信じてくれなかった星、真実をねじ曲げたウカビル、そしてこの理不尽な世界へ背を向けた。
(待っていろ……ウカビル·····、次こそこの手で断罪してやる)
黒い仮面の男が言っていたことは本当だった。
ウカビルやクロノス星のこと、黒い仮面が誰なのか、もはや彼女にとってはどうでもいいことだった。
大切な居場所を失ったルシフェルには、もはや「世界を滅ぼす」という意志だけが唯一の生きる糧となっていた。
彼女は地を蹴り、漆黒の光となって成層圏を突き抜ける。
眼下で遠ざかっていくクロノス星を見下ろし、彼女は静かに宣告した。
「いつか…必ず戻ってくる…」
宇宙の漆黒に溶け込むようにして、彼女は遥か彼方へと消えていく。
その背後には、かつての星の残骸を飲み込むかのような、冷たい闇だけが残されていた。
新惑星クロノス星の歴史に、決して消えることのない深い傷跡が刻まれた瞬間だった。
コメント
1件
このエピソード、重くて苦しくて、でもすごく引き込まれました。ルシフェルが仲間や星に裏切られ、もう何も信じられなくなって堕天する流れが切なすぎる……。「もう何も聞こえない」って台詞が胸に刺さります。翼を広げた衝撃で警備隊ごと薙ぎ払う描写のスケール感も圧巻でした。次こそ本当にウカビルを断罪しちゃうのかな。次話が待ち遠しいです。
#鬱展開
Mist-404
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古流斬
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