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遥

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82 - 双子の秘密-1-

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2025年02月23日

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みんな食べ終わって飲み物を飲んで休憩。


いつになく、蒼くんと雪くんの真剣な表情。


蒼「どこから話す?」

雪「全部やろ」


蒼「じゃあまず、ごめん。樋口さんの悪い噂って言うのは嘘なんだ」


え?どういうこと?


蒼「…あの時は話すつもりはなかったから噂に留めておいたけど、俺らの…」

蒼くんが口籠る。


すると雪くんが口を開いた。


雪「なぁ、はるちゃん夕海ちゃん。2人は兄弟とかいとことかおる?」

夕「私はひとりっ子だよ。いとこは遠くの県にいるよ」

は「私は小2の妹がいる、柚菜っていうんだ」

雪「かわいい名前やね」


雪くんは優しく微笑む。

だが、雪くんの顔からすぐにすぐに微笑みは消えた。


蒼「俺らにはいとこがいた。去年まで」



え?



蒼「俺らと同じ歳のいとこだった。名前は東条琴」


知らない名前。


雪「でもな、去年亡くなったんよ」


真剣な眼差しの雪くん。

雪くんの視線は自分の胸元のネックレスに。

そのネックレスには小さな三角形のチャームがついていた。


雪「….死因は」







蒼「樋口楓によるいじめ」



まず、頭に衝撃が走った。

鈍器で殴られたような。



きっと 夕海の顔も、私の顔も、驚きに満ちた顔だろう。


蒼くんが静かに左耳のピアスを触る。



蒼「俺のこのピアスと、雪のネックレスは、琴からもらった形見、みたいなものなんだ」


雪「亡くなる前の僕らの誕生日に琴がくれたんだ。つまり、琴が亡くなる前の最後の贈り物やった」



蒼くんからいじめの内容を聞かされた。

それはもう想像を絶するものだった。


蒼「いじめの原因は妬み。アイツ、お嬢様口調だろ?分かると思うけど、実家太いんだよ。だから自然とクラスのリーダーになったらしい。

琴はなんでもできた。容姿も良かったし、人望もあった。琴の周りには人がいた…らしい。

でも、なんでも抱えるやつだった。

いじめの内容は、無視から始まり、だんだんエスカレート。強姦、暴行、犯罪強要。最後は樋口楓に金をもらった奴らが琴を順番に…輪姦、して…」


俯いて言葉に詰まる蒼くん。

その表情はよく見えないが、悔しそうな、悲しそうな表情。



雪「でも、僕たちは何も知らんかった。僕たちは関西にいたから。遠い僕たちが何ができるかはわからんかったけど、何も話してくれんかった。知りようがなかった。琴は、僕らに心配かけたくなかったんやと思う」


蒼くんは苦しそうだけど、雪くんは説明文を読むかのようにハキハキと喋る。

絶対苦しいはずなのに。

雪くんも表情は曇ったまま。


自分がされたわけじゃないのに、話を聞くだけで視界がぼやけて、歪んでくる。


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