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雪「僕らな、琴が亡くなってからこっちに引っ越してきたんよ。
樋口楓は、僕らの存在は知らない。でも僕らは樋口楓の存在を知っとる。
そりゃ、琴の遺書とか、僕らに宛てた手紙とかに書いとったからね」
雪くんは変わらない表情でネックレスを握って口を開く。
雪「樋口楓は俺らの仇。俺らは樋口楓に復讐しにきた」
初めて聞く、雪くんの俺という言葉。
蒼「琴は遺書ではなく、俺たち宛ての手紙にすべてを書いていてくれた。俺らが復讐することも見越して。小さい頃から仲良かったからな。
琴が亡くなったのは中3だ。受験高校も決まっていた。もちろん樋口楓も」
雪「だから俺らは関西から琴のいたこの地域に引っ越して同じ高校を受験した」
それで今に至る、ってわけね。
胸が苦しい。
気づいたら頬を透明なあたたかいものが伝っていた。
雪「はるちゃん、ごめんなぁ。こんな話聞かせて」
蒼「夕海ちゃんも、ごめん。でもこのことは秘密にしてほしい」
雪くんは眉を下げて困ったように笑い自分の服が化粧で汚れるのも気にせず私の涙を拭ってくれた。
蒼くんはどこか思い詰めるような表情で私たちに謝罪した。
2人でうん、と呟いた。
・・・・・・・・
少し落ち着いて疑問に思ったことを聞く。
は「じゃあ2人は最初から樋口さんを知ってたってこと?」
雪「せやね」
は「なんで、同じ班になるのを了承したの?」
蒼「あそこで変に拒否してもおかしいだろ?
それに俺らはずっと待ってるんだよ」
雪「樋口楓に復讐するときをね」
この人たちは…私とは違う世界に住んでるんだ。
夕「…いじめは明るみにならなかったの?高校受験だって難しいはずだよ」
蒼「さっきも言ったが、アイツの実家は太い。そんなこと容易くもみ消せるんだよ」
夕「そっか…」
4人の間に重い沈黙が続く。
復讐…か。
彼らのことを少し、知れた気がした。