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#普通
野々さくら
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ありあ
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飛鳥の口から語られた過去は、あまりにも残酷だった。
その内容に、信愛たちは言葉を失う。
誰もが息を呑み、ただ飛鳥の話を聞くことしかできなかった。
最初に口を開いたのは茜だった。
「なによそれ・・・」それは震える声だった。
さくらも顔を曇らせ、信じられないというように呟く。
「血の通った人間のやる事じゃないでしょ」
飛鳥は自嘲気味に目を伏せる。
「だって仕方なかったの」
少し間を置き、静かに続けた。
「田原坂中学では、鈴蘭が絶対だった。
逆らえば次は私たちが、次のターゲットになる」
その言葉に、焔垂は眉をひそめる。
「だからってな──」
拳を握り締め、飛鳥を真っ直ぐ見据えた。
「こんな事をしていい理由にはなんねーだろ!」
飛鳥は何も言い返せなかった。
ただ唇を噛み、俯くだけだった。
沈黙が流れる。
やがて焔垂は低い声で続ける。
「あんたらがやった事は・・・」
怒りを押し殺すように言葉を紡ぐ。
「いじめって軽い言葉で
片付けていいもんじゃない
こんなの・・・」
それ以上、言葉が続かなかった。
胸の奥から込み上げる怒りに、拳は小刻みに震えていた。
飛鳥は静かに目を閉じる。
「その後も千歳へのいじめは続いて・・・」
苦しそうに息を吐く。
「ついに千歳は・・・自殺した」
その一言に、信愛の表情が凍りついた。
「自殺・・・」
飛鳥は小さく頷く。
「あの交差点で」
「え!?」
茜が思わず声を上げる。
さくらも目を見開いた。
「あそこって千歳さんの自殺現場だったの!?」
飛鳥は静かに頷く。
「そう・・・あの日千歳は自殺したの
私たちの目の前で・・・」
その言葉に信愛は思わず息を呑む。
「目の前で!?」
焔垂も言葉を失っていた。
飛鳥は震える声で続ける。
「千歳は走ってくる車に
自分から走っていって自殺したの
『あの言葉』を遺して・・・」
焔垂が顔を上げる。
「あの言葉?」
飛鳥は今でも耳に焼き付いているその言葉を、一語一句忘れずに口にした。
「『絶対に呪ってやる』
『また逢える日を楽しみにしてる』
って・・・」
信愛はその言葉を静かに繰り返す。
「また逢える日・・・」
飛鳥は頷いた。
「だからあの事故は千歳の復讐だったんだって
あなた達の話を聞いて・・そう思ったの」
重苦しい空気が辺りを包む。
◇ ◇ ◇
飛鳥と別れた一同は、交差点へと戻って来た。
そこだけは時間が止まってしまったような、そんな静けさが漂っていた。
信愛は交差点を見つめ、小さく呟く。
「辛かっただろうね・・・千歳さん」
茜も神妙な面持ちで頷く
「だよね・・・」
さくらはため息をつきながら口を開いた。
「それに飛鳥ってヤツが言ってたいじめ
実際はもっと酷い事やってそうだよね
ああいう奴らって大抵、自分がした
一番酷い事って言わないから」
「あれより酷い事って・・・考えただけで恐ろしいよ」
焔垂の言葉に誰も反論できなかった。
信愛は交差点を見つめたまま、静かに目を閉じる。
「千歳さん・・・」
その場にいた全員が、言葉を失う。
そして、誰からともなく静かに黙祷を捧げた。
コメント
1件
×××さん、読ませていただきました。飛鳥の告白、重かったですね…「仕方なかった」という言葉に込められた無力感と、その後の焔垂くんの怒りが胸に刺さりました。千歳さんの遺した言葉を交差点で反芻するシーン、とても印象的です。最後の黙祷の静けさが、この話全体の苦さと哀しみをぎゅっと閉じ込めているようでした。続きが気になります。