テラーノベル
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【120,000円】
その数字を見たまま。
陸は、しばらく動けなかった。
「……12万」
昨日は8万円。
その前は6万円。
たった数日で、金額がどんどん増えている。
普通なら。
嬉しいはずだった。
でも。
今は違う。
「これ……何なんだよ」
陸は画面を閉じた。
もう辞めよう。
今度こそ。
そう決めた。
スマホを開く。
【本日の案件を辞退します】
送信。
既読。
すぐには返事が来なかった。
「……よし」
陸はスマホを机に置いた。
これで終わり。
そう思った。
――ピロン。
通知。
【23番】
【辞退理由を確認します】
「……」
陸は返信した。
【もうやりたくないから】
既読。
数秒後。
【承知しました】
たったそれだけだった。
「……終わった?」
陸は拍子抜けした。
もっと何か言われると思っていた。
脅されるとか。
怒られるとか。
そんなことは何もない。
これなら。
普通に辞められる。
陸はスマホを置いて、テレビをつけた。
そのときだった。
――ピロン。
また通知。
【23番】
【本日の案件には参加しなくて構いません】
陸は少し安心した。
続けて。
【ただし、参加者情報の外部への共有は禁止されています】
「……?」
さらに。
【参加者について第三者へ相談することも禁止されています】
陸の手が止まった。
そして最後に。
【違反した場合、今後の参加資格を失います】
「参加資格……?」
陸は画面を見つめた。
クム
485
#狂愛
柏木さくら
4,367
2,753
意味が分からない。
でも。
これくらいなら大丈夫だ。
そう思った。
翌日。
陸は久しぶりに友人へ連絡した。
「なあ、ちょっと聞きたいんだけど」
電話の向こうから声がする。
『何?』
「最近、変なバイト始めてさ」
そこまで言った瞬間。
――ピロン。
陸のスマホに通知が届いた。
【23番】
【誰に話していますか?】
「……」
陸は息を止めた。
電話の向こうから、
『どうした?』
と聞こえる。
陸は慌てて通話を切った。
心臓が速くなる。
「……なんで?」
今。
電話をしていることを。
どうして知っている?
陸はスマホを見た。
新しい通知。
【相談は必要ありません】
そして。
【あなたには、十分な報酬をお支払いしています】
「……」
その文章を見て。
陸は初めて気づいた。
自分は。
仕事をしているんじゃない。
仕事をさせられている。
そんな感覚だった。
その日の夜。
陸は参加者用のグループを開いた。
人数がまた減っていた。
8番がいない。
11番もいない。
残っているのは。
21番と陸だけ。
「……また?」
陸は震える指でメッセージを送った。
【21番】
既読がついた。
【何?】
【8番と11番は?】
しばらく返信がなかった。
やがて。
【聞かないほうがいい】
【なんで?】
既読。
そして。
【俺も今日、辞める】
陸は画面を見つめた。
【本当に?】
返信は来なかった。
数分。
十分。
三十分。
既読もつかない。
陸は何度も画面を確認した。
そして。
午前0時を過ぎた頃。
グループから21番の名前が消えた。
陸は言葉を失った。
その直後。
個別メッセージが届いた。
【23番】
【本日、21番は参加を辞退しました】
陸は画面を見つめた。
そして。
その下に続いた一文を見て。
スマホを落としそうになった。
【あなたも、辞退しますか?】
部屋は静まり返っていた。
陸は何も答えられなかった。
コメント
1件
おお、これめっちゃ背筋冷えたわ……。辞退しようとしたら逆に監視されて、仲間が次々消えていくの、完全にホラーじゃん。最後の「あなたも、辞退しますか?」の問いかけが怖すぎる……陸、無事でいてくれ😭