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◇ ◆ ◇今日は、グレッグ様とお出かけの日。
ルイーザさん達には、グレッグ様に護衛をお願いしたと伝えている。
この間、治安隊へ一人で行ったことを伝えたら、かなり心配されてしまった。
買い物に行くと伝えたら、自分も一緒に行くと言って大変だった。 そうなると、必然的にダンさんが三日月亭の仕事を一人ですることになる。さすがにそんなことは、できない。
だから、グレッグ様に護衛をお願いしたと伝えたのだ。 それを聞いて、二人とも安心していた。
そう言えば、何時ごろに来られるのかしら。時間を聞いていなかったわ。
なんだか落ち着かなくて、ものすごく早起きしてしまった。 そろそろ、外で待っていようかな。
「ダンさん、ルイーザさん、表でグレッグ様を待っていようと思います!行ってきます。」
「あぁ、気をつけてな。変な輩がいたら俺がぶっ飛ばしてやるからな!」
「グレッグ様がついてて下さるんだ。あんたの出番はないよきっと。ソフィア、気をつけて行っておいでよ。」
「そらそうだな。ソフィア、気をつけてな。」
「はい。」
二人に見送られて扉を開ける。
周囲を見回すと、ちょうどグレッグ様の姿が見えた。
「グレッグ様。」
グレッグ様のほうへと歩いて行く。
「おはよう、ソフィア。もしかして待たせたかな?」
「おはようございます。いえ、私も今来た所です。」
「そうか。では、行こうか。」
「はい。今日はありがとうございます。お願いします。」
グレッグ様の装いは、騎士服ではなく私服姿だった。 何を着ても似合うのが羨ましい。
目的のお店を決めているわけではなかったので、街中をぶらぶらと一緒に歩いていた。
「グレッグ様、今日はいつもと雰囲気が違いますね。」
「おかしいだろうか?」
「いいえ、とてもお似合いです。 ただ、護衛と伺ってたので、騎士服で来られるのだと思ってました。」
私は素直に疑問に思ったことを口にする。
「護衛か……そうだな。」
グレッグ様の返答は、歯切れが悪い。少し思案してから、続ける。
「そうだな……護衛というのは、口実というか……。いや、そう、あれだ。護衛は、あまり目立たない方がいいと思ってな。何かあった時に、相手を油断させることもできるし……かもしれない……と、思う。多分。」
グレッグ様は、珍しく言い淀んでいた。
確かに、騎士服姿だと目立つ。あれ? でも、その方が警戒して悪い人は近づいて来ないような……。
あっ、きっと、義姉を警戒しているんだ。油断させて捕まえようとしているのだわ。
本当は、私に言わないつもりだったのかも。だから、あんなに言いにくそうにしていたのね。
「オホン、ところで、ソフィア、どこか行きたい所はあるか?」
「うーん。そうですね。少し寒くなってきたので、本格的に寒くなる前にマフラーなど小物を買いたいです。 それと……スイーツ系のお店に行きたいです。
グレッグ様は、どこか行きたい所ありますか?」
「いや、特には。 ならば、先にマフラーを見に行こう。」
「はい。」
グレッグ様と共に、衣料品店へと向かった。
「私がいるとゆっくり見れないだろう? 私はここにいるから、ゆっくり見てくるといい。」
グレッグ様はそう言い残すと、近くのベンチへと腰掛ける。
この通りは、色々なお店が並んでいるので、所々にベンチが設置されている。ちょっとした噴水もあり、恋人や家族連れも多い。 こんなに人がいる所には、義姉は来ないだろう。だから、大丈夫。
「では、ちょっと見てきます。」
私は、一人で入店する。
この衣料品店は、この辺りではわりと大きなお店だ。男女両方の衣料品が置いてある。久々にこのお店へ来たので、一通り見て回った。
「このワンピース、かわいい。」
でも、似合わないかな。
なんとなく、洋服は買うのを躊躇ってしまう。似合わないんじゃないかな、と悩むのももちろんある。
でも、理由はそれだけじゃない。なんとなくだけど、ルイーザさんの娘さんの洋服を着ていると、二人が喜んでいるような気がするから。
もしかしたら、私を通して亡くなった娘さんを見ているのかもしれない。それでも……ううん、二人が喜んでくれているといいなと思う。それくらいしか、私は恩返しができないから。だから、結局いつも小物だけを購入している。
今日は、マフラーにしよう。
どれにしようか悩み、これにしよう、と手に取ろうとした時、隣の手袋に目が引き寄せられる。そこには、男性用の手袋が並べてあった。
グレッグ様にどうかしら?
黒に近い濃紺の暖かそうな手袋だった。金額を確かめる。私にも手が届く金額だった。私は手袋も購入することにした。
会計を終えて外へ出る。
グレッグ様は、先程のベンチに座っていた。
絵になる佇まいとは、こういうことをいうのだろう。自然と目が惹き寄せられる。
綺麗な人……。いけない、私なんかが抱いてはいけない感情に振り回されそうになる。ふるふると首を振り、邪な感情を追い払う。グレッグ様の元へと早歩きで向かった。
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