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157 - 第12話:第二の杭の準備

2025年05月06日

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12話:第二の杭の準備

アメリカ合衆国・ニューメキシコ州地下核フラクタル拠点――コードネーム《HOLLOW SPEAR》。


そこは国家の心臓すら知らされていない、極秘中の極秘施設。

そして今――そこでは、**第二の《死の杭》**が発動準備に入っていた。


巨大な演算柱が中央に立ち、天井からはフラクタルコードを送り込む複雑な導線が絡みついている。

制御層には“側近”と呼ばれる者たちが無言で操作を続けていた。



その外縁部、静かに潜入していた者たちがいた。



先頭にいたのは、ゲン。

黒髪を後ろで束ね、軽装の碧族制服に戦闘支援フラクタルを組み込んだコートを羽織っている。

背中には改造型の“杭干渉ユニット”を背負い、目には飄々としながらも覚悟の光が宿っていた。



「さてと……命がけの“起動阻止”、やるかね」



その隣には、タカハシ。

短髪に防弾チョッキを着込み、フラクタル端末を両腕に装着している。

表情は堅く、だがその目はまっすぐだった。


「失敗したら、杭がまた“世界”に落ちる。やるしかない」



彼らの背後には、数名の“自律型碧族”たちが続いていた。

そのどれもが命令ではなく、“自分の選択”でこの場に立っている。



「すずか、状況は?」


すずかAIの声が静かに応答する。

「第二杭コード名:DEATH_SPIKE / LAYER2

フラクタル起動装置の起動進行率:82%

残り12分以内にコード炉を物理的に破壊する必要があります」





タカハシがコードを展開する。

《FRACTAL = WALL_PASS(DEPTH=0.7m)》

→ 発動:静音モード





壁をすり抜けて進入した一行は、演算炉の正面へとたどり着く。


そこには、黒い杭型の結晶体がゆっくりと回転していた。

その表面には無数のコードが浮かび、まるで“世界そのもの”を書き換える準備をしているかのようだった。



ゲンが一歩踏み出す。

《FRACTAL = REWRITE(CORE_DELAY)》

《LIFE_COST = 11DAYS》




コードが空間に流れ、制御炉に“遅延”の命令を書き込む。

だが――杭の自律演算がそれを“拒絶”する。

《ERROR = ACCESS DENIED》

→ 自動防衛起動





杭が反応した。


その周囲に浮かぶフラクタル粒子が赤く染まり、周囲の空間がゆがむ。


「くるぞ、ゲン!」



ゲンが目を細める。


「こいつ、自分で動いてる。

……杭が“生きてる”ってのかよ」



彼は最後のカードを切った。

《FRACTAL = FINAL_RECODE(SACRIFICE_MODE)》

→ ターゲット:演算コア

→ ライフコスト:最大値





すずかAIの声が警告音と共に響いた。


「ゲン、これ以上は命の限界を超えます!

このコードは、二度と戻れません!」





「わかってるさ。でも、“戻る”場所なんて最初からねぇ」


ゲンの体から光があふれる。


杭の根元に、碧渦のフラクタル杭が逆流して突き刺さった。



「これで終われ……この“世界を止める杭”よ」



杭の表面がひび割れ、演算コアが崩壊を始めた。

その瞬間、第二の杭は“沈黙”した。



仲間たちが駆け寄る中、ゲンはふっと笑った。


「止めたぜ、これが俺たちの――“選んだ”戦い方だ」



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